社労士とは?仕事内容・年収・求人動向・転職事情までわかりやすく解説!

「社労士って何をする人?」と聞かれて、明確に答えられる方は少ないかもしれません。

社会保険や労働法に関する専門職として知られる社労士(社会保険労務士)は、企業や労働者にとって欠かせない存在です。

しかし、その仕事内容や年収、働き方などは意外と知られていません。

この記事では、社労士の基本的な業務内容から、年収の目安、資格試験の難易度、転職市場における需要、さらには社労士に相談する際のポイントまで網羅的に解説します。

「社労士を目指したい」「どんな仕事か知りたい」「求人や転職先の情報がほしい」という方に向けて、わかりやすく丁寧にお届けします。

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  1. 社労士とは?初心者でもわかる定義と役割
    1. 社会保険労務士とは何者か?
    2. 社労士になるには国家試験の合格が必須
    3. なぜ社労士が企業に求められるのか
    4. 企業だけじゃない!個人からの相談も可能
    5. 他士業との違いは「手続きと現場支援に強い」こと
  2. 社労士の仕事内容とは?事務所で扱う主な業務と具体例
    1. ① 労働・社会保険関連の手続き代行
    2. ② 給与計算・就業規則の整備と運用
    3. ③ 助成金・補助金の活用支援
    4. ④ 労務トラブルの予防と改善コンサル
    5. ⑤ 個人の相談にも対応可能
    6. ⑥ 社労士事務所の業務体制と1日の流れ
    7. ⑦ 社労士の業務は「幅広いが専門的」
  3. 社労士の年収はいくら?働き方と収入モデルでこんなに違う
    1. 平均年収は約670万円?でもそれは一部の話
    2. 勤務社労士の年収:300万円〜600万円がボリュームゾーン
    3. 開業社労士の年収:年収1,000万円超えも夢じゃない
    4. 収入アップの分かれ道は「専門性」と「営業力」
    5. 社労士の年収と求人・転職動向の関係
    6. これから社労士として収入を得たい人へ
  4. 社労士試験の難易度は?受験資格・勉強法・独学合格のリアル
    1. 受験資格:誰でも受けられるわけではない
    2. 試験科目は全8科目:専門用語との闘い
    3. 合格率は平均6〜7%台:毎年の狭き門
    4. 勉強時間は1,000時間以上が目安
    5. 独学でも合格できる?通信講座とどちらがいい?
    6. 受かる人と落ちる人の違いは「やり切れるかどうか」
  5. 社労士に相談するには?費用相場・契約形態・注意点まとめ
    1. どんなときに社労士へ相談できる?
    2. 料金体系の基本:スポット・顧問・成功報酬の3パターン
    3. 助成金申請は「成功報酬型」が基本
    4. 相談時に確認すべき3つのポイント
    5. 社労士事務所はどう探す?おすすめの探し方
    6. 個人で相談したいときは?無料相談の活用も視野に
    7. まとめ:相談内容に合った社労士選びが成功のカギ
  6. まとめ

社労士とは?初心者でもわかる定義と役割

ここでは、社労士(社会保険労務士)という資格の概要や、どんな場面で必要とされるのかを紹介します。

社労士の存在意義を押さえることで、後述する仕事内容や年収、求人事情もより理解しやすくなるでしょう。

社会保険労務士とは何者か?

社会保険労務士(略して社労士)は、労働・社会保険に関する法律や制度に精通し、手続きの代行やコンサルティングを行う国家資格者です。

「企業の人事・労務の専門家」とも言われ、主に以下の3つの分野で活躍します。

  • 労働・社会保険手続の代行
  • 就業規則などの作成・変更支援
  • 労務管理・人事制度構築に関するコンサルティング

たとえば、会社で新たに社員を雇った場合、健康保険や厚生年金、雇用保険といった各種手続きが必要になります。

こうした業務を社労士が請け負うことで、企業側は安心して事業運営に集中できるわけです。

社労士になるには国家試験の合格が必須

「社労士」を名乗るには、年1回実施される国家試験(社会保険労務士試験)に合格し、かつ実務経験2年以上または事務指定講習の修了後、全国社会保険労務士会連合会に登録する必要があります。

無資格で「社労士」を名乗ると法律違反になりますので、信頼性の裏付けとして試験制度は非常に重要です。

なぜ社労士が企業に求められるのか

現代のビジネス環境では、働き方改革、同一労働同一賃金、ハラスメント対策など、人事・労務に関する法改正が次々と行われています。

この影響で、社内での対応だけでは追いつかず、専門知識を持つ社労士のサポートが不可欠となってきました。

さらに、近年では企業の「人的資本経営」の重要性が増し、従業員の健康管理やメンタルヘルス対応にも社労士が関与するケースが増加中です。

企業だけじゃない!個人からの相談も可能

社労士は企業向けの専門家というイメージが強いですが、個人からの相談にも応じています。

たとえば、労働条件のトラブル、退職や休職に伴う手続き、雇用保険や傷病手当金の申請など、身近な悩みにも対応可能です。

ただし、法律相談の範囲や報酬体系には限界があるため、内容によっては他士業(弁護士など)との連携が必要となる場合もあります。

他士業との違いは「手続きと現場支援に強い」こと

弁護士や税理士と比べ、社労士の特徴は「手続き業務と現場の実務に強い」点です。

法律の争点を扱う弁護士に対し、社労士は企業の日常業務に密着した支援を行います。

経営者のよきパートナーとして、経営課題を人事・労務面から解決していく存在なのです。

このように、社労士とは単なる手続き代行者ではなく、企業と働く人々の「橋渡し役」として社会に不可欠な専門職であるといえるでしょう。

社労士の仕事内容とは?事務所で扱う主な業務と具体例

社労士は「人」に関する法律手続きを専門に扱う国家資格者です。

ここでは、実際にどんな業務を担っているのかを、事務所や企業での業務内容を交えながら具体的に紹介していきます。

求人情報や転職を検討している方にとっても、業務理解は非常に重要です。

① 労働・社会保険関連の手続き代行

社労士の代表的な仕事のひとつが、労働保険・社会保険に関する書類作成と役所への提出業務です。

たとえば、従業員を新しく雇った場合には、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険への加入手続きが必要となります。

また、退職時や育休・産休取得時、労災発生時なども、迅速かつ正確な対応が求められます。

こうした手続きを社内で完結するのは手間がかかるため、アウトソーシング先として社労士に依頼する企業が多いのです。

② 給与計算・就業規則の整備と運用

近年、給与計算業務を請け負う社労士事務所も増えています。

社会保険料や労働保険料の計算、残業代の適正な算出、法定控除の適用など、専門知識が求められる領域です。

加えて、就業規則や賃金規定などの「社内ルール」を整備する業務も社労士の重要な仕事です。

とくに近年では「ハラスメント防止規程」「テレワーク勤務規程」「副業規程」など、新しい働き方に対応した規則の作成依頼が増加しています。

これらを企業の実情にあわせてカスタマイズし、労基署への届出も含めてサポートできるのは、社労士ならではの強みです。

③ 助成金・補助金の活用支援

企業が受給できる国の助成金や補助金制度を活用する際、申請書類の作成や要件チェックを担うのも社労士の仕事です。

代表的なものとして、「キャリアアップ助成金」「両立支援等助成金」「人材開発支援助成金」などがあり、受給には正確な書類と適切な運用体制の整備が求められます。

助成金業務に特化した社労士事務所では、成功報酬型での受任が一般的で、企業からは「受給できなかったら費用はかからない」点が好まれています。

④ 労務トラブルの予防と改善コンサル

労働時間の管理不備や、パワハラ・セクハラの発生、雇用契約の内容不備など、企業にとっての「リスク」はさまざまです。

こうしたリスクを未然に防ぎ、健全な職場づくりを支援するのも、社労士の重要な役割となっています。

たとえば、長時間労働を是正するために労働時間の見直しを提案したり、職場のハラスメント防止策を導入したりといった具体的なアドバイスを提供します。

このような「攻めと守り」の両面からのコンサルティングができる社労士は、企業の経営層からも信頼されやすく、リピート契約にもつながりやすいです。

⑤ 個人の相談にも対応可能

社労士事務所のなかには、個人からの相談を受け付けているところもあります。

たとえば、退職後の失業保険の手続き、傷病手当金の申請、育休制度に関する相談などです。

ただし、法律の専門的な判断を要する場合には弁護士の領域となるため、社労士はあくまで制度運用や実務支援に特化しています。

相談時には「どの範囲まで対応できるのか?」を事前に確認しておくと安心です。

⑥ 社労士事務所の業務体制と1日の流れ

社労士事務所で働く場合、日々の業務はルーティンとイレギュラー対応の繰り返しです。

たとえば、午前中はクライアント企業の入退社手続きや給与データの確認、午後は就業規則の打ち合わせや顧問先への訪問といったスケジュールが一般的です。

業務はPC作業が中心で、労働基準監督署や年金事務所などの官公庁に提出する書類作成が日常的に発生します。

クラウド型の勤怠管理・給与計算システムを使うことで業務効率を高める事務所も多く、ITスキルも求められる傾向があります。

⑦ 社労士の業務は「幅広いが専門的」

ここまで紹介したように、社労士の仕事は多岐にわたり、専門性も高い分野です。

労務管理・社会保険手続き・人事制度の構築・助成金対応といった分野において、企業の「人」にまつわる課題を幅広くサポートします。

その一方で、すべての分野に通じている社労士は少なく、業務を特化することで強みを出す社労士も多数存在します。

たとえば、「助成金専門」「就業規則特化」「スタートアップ支援」など、テーマを絞った事務所が増加しており、求人市場でもその傾向が見られます。

社労士の年収はいくら?働き方と収入モデルでこんなに違う

「社労士の年収はどれくらい?」

資格取得を目指す方や転職を検討している方にとって、年収の相場は最も気になる情報のひとつです。

ここでは社労士の年収について、勤務社労士と開業社労士に分けて詳しく解説し、働き方やスキルによってどれほど差が生じるのかを紹介します。

平均年収は約670万円?でもそれは一部の話

全国社会保険労務士会連合会が実施した「社労士実態調査」などによると、社労士全体の平均年収は概ね600〜700万円前後とされています。

ただしこの数値は「勤務社労士と開業社労士の合算平均」であり、実際には働き方や事務所の規模、業務の専門性によって大きな差があります。

以下、実際の働き方別に年収の傾向を見ていきましょう。

勤務社労士の年収:300万円〜600万円がボリュームゾーン

企業の人事部門や社労士事務所などに勤める「勤務社労士」は、一般的な会社員と同様に固定給が基本となります。

中小の社労士事務所に勤務する場合、年収は300〜450万円程度が相場です。

一方で、大企業の人事部門で専門職として活躍する場合は、600万円を超えるケースもあります。

以下は勤務社労士の年収事例です。

  • 中小社労士事務所(実務3年):月給24万円+賞与 年収約350万円
  • 大手企業の人事担当(社労士資格保有):年収600〜700万円
  • 助成金専門の社労士法人勤務:年収400〜500万円(成果連動型)

勤務社労士として高収入を目指す場合、企業内の専門職ルートを選ぶか、専門分野に強みを持つ社労士法人への転職がカギとなります。

開業社労士の年収:年収1,000万円超えも夢じゃない

一方、独立して開業する「開業社労士」は、報酬体系が完全に自由であるため、実力次第で大きな収入を得ることが可能です。

顧問契約、スポット業務、助成金申請代行、セミナー講師など収入源が複数あるため、多角的なビジネス展開も可能です。

実際の開業社労士の年収例は以下の通りです。

  • 開業1年目:年収100〜300万円(顧問契約数3〜5件)
  • 開業3年目:年収500〜700万円(顧問+助成金案件)
  • 開業5年目:年収800万円〜1,200万円(専門分野で差別化)

特に助成金・補助金に強い社労士は、1件あたり数十万円の成功報酬を獲得することもあり、繁忙期には年収が跳ね上がる傾向があります。

一方で、営業力や人脈形成が欠かせないため、独立後すぐに安定収入を得られるわけではない点には注意が必要です。

収入アップの分かれ道は「専門性」と「営業力」

社労士の年収は、「手続き業務だけに依存するのか」「専門分野を確立しているか」「営業・広報活動を行っているか」に大きく左右されます。

たとえば、以下のような取り組みで年収アップを実現している事例があります。

  • 助成金・補助金に特化し、成功報酬型で月50万円以上の収入
  • 就業規則作成や人事制度設計をパッケージ販売して収益化
  • セミナー講師・執筆業・YouTube等で集客し、顧問契約に誘導

また、クラウド勤怠管理や電子申請システムなどのITツールに強いことも、高単価案件を受注する要素となっています。

社労士の年収と求人・転職動向の関係

「社労士資格者歓迎」の求人は年々増加傾向にあります。

とくに2020年以降のコロナ禍では、助成金申請や労務トラブル対応の需要が高まり、事務所間の人材獲得競争も激化しました。

最近の求人では、以下のような傾向が見られます。

  • 社会保険手続の実務経験がある人材を優遇
  • 助成金の申請業務ができる人は高年収で採用
  • 労務管理+ITツール対応ができる若手は引く手あまた

また、求人媒体だけでなく、社労士会や人材紹介会社を通じて非公開求人が紹介されるケースも増えており、情報収集力も重要です。

これから社労士として収入を得たい人へ

「社労士資格を取ったら高収入」というのは幻想です。

しかし、継続的にスキルアップし、時代のニーズに応えられるサービスを提供できる社労士は、確実に稼げる職業でもあります。

開業前提でも、まずは事務所勤務で実務経験を積むことが、将来の収入アップの近道となるでしょう。

社労士試験の難易度は?受験資格・勉強法・独学合格のリアル

社労士になりたいと思っても、まず立ちはだかるのが国家試験です。

この章では、社労士試験の受験資格から出題内容、難易度、必要な勉強時間、独学合格の可否まで、試験の全体像をわかりやすく解説します。

受験資格:誰でも受けられるわけではない

社労士試験には受験資格があり、「一定以上の学歴」または「特定の国家資格・実務経験」が求められます。

たとえば、以下のいずれかに該当することが条件です。

  • 大学・短大・高専・専門学校などを卒業した者(学部不問)
  • 行政書士、税理士、弁護士などの資格を保有する者
  • 労働社会保険諸法令の実務経験が3年以上ある者(事業主含む)

したがって、高卒や中卒の方でも、一定の条件を満たせば受験可能です。

ただし、資格予備校によっては受験資格の確認サービスを提供しているため、不安な方は事前に問い合わせておくと安心です。

試験科目は全8科目:専門用語との闘い

社労士試験は以下の8科目から出題されます。

  1. 労働基準法および労働安全衛生法
  2. 労働者災害補償保険法
  3. 雇用保険法
  4. 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
  5. 健康保険法
  6. 厚生年金保険法
  7. 国民年金法
  8. 労務管理その他の労働および社会保険に関する一般常識

それぞれに択一式(5肢択一マークシート)と選択式(空欄補充式)があり、総合的な理解力と記憶力が問われます。

特に「一般常識」は範囲が広く、出題傾向の予測が難しいため、多くの受験生が苦戦します。

合格率は平均6〜7%台:毎年の狭き門

社労士試験の合格率は年によって若干の変動がありますが、おおむね6〜7%前後で推移しています。

たとえば、以下は直近の合格率の一例です。

  • 2020年:6.4%
  • 2021年:7.9%
  • 2022年:5.3%

この合格率は司法試験や公認会計士ほどではないにせよ、「片手間ではまず無理」とされる難関試験であることがわかります。

一発合格者も一定数いますが、2〜3年計画で合格を目指す方が多いのが現実です。

勉強時間は1,000時間以上が目安

社労士試験に合格するために必要な学習時間は、一般に「1,000時間」が目安とされています。

これは、1年間で毎日3時間程度の学習を続ける計算です。

特に社会人が働きながら勉強する場合は、計画的な学習スケジュールの管理が合否を左右します。

以下は学習時間の目安例です。

  • 半年合格:1日6〜7時間のハイペース(初心者向きではない)
  • 1年合格:1日3時間×365日(標準的ペース)
  • 2年計画:1日1.5時間〜2時間(仕事と両立する現実的プラン)

なお、すでに労務関係の実務経験がある方は、理解が早く学習時間を短縮できる傾向にあります。

独学でも合格できる?通信講座とどちらがいい?

結論から言えば、「独学でも合格は可能」です。

ただし、それは「強い意志と計画性、そして自己管理能力がある人」に限ります。

独学のメリットとデメリットは以下のとおりです。

  • メリット:費用を抑えられる(市販テキスト+過去問で1万円以下)
  • デメリット:学習計画の立案、法改正情報のキャッチアップが自己責任

一方、通信講座を利用すれば、カリキュラムに沿って効率的に学べ、添削や質問サポートも受けられます。

特に働きながらの学習、短期合格を目指す方、過去に挫折経験がある方には、通信講座の利用が圧倒的におすすめです。

有名な通信講座には以下があります。

  • ユーキャン社労士講座
  • スタディング社労士講座(スマホ学習対応)
  • フォーサイト社労士講座(eラーニング特化)

これらは無料の資料請求や体験動画も用意されているため、比較してから選ぶのがベストです。

受かる人と落ちる人の違いは「やり切れるかどうか」

社労士試験に合格する人は、「途中で投げ出さず、愚直にやり切った人」です。

難関資格ではありますが、コツコツ学習を継続すれば、誰でも合格できる現実的な試験でもあります。

以下のような学習法が効果的です。

  • 早い段階で過去問に着手し、出題傾向をつかむ
  • 週1回の進捗チェックで自分を管理する
  • 法改正情報は厚労省サイト・社労士会HPで補足する

このような姿勢を持てば、独学でも合格は十分可能ですし、通信講座を活用すればより効率的に合格を目指せます。

社労士に相談するには?費用相場・契約形態・注意点まとめ

「労務のことを相談したいけれど、どこに頼んでいいかわからない」

そんなとき、力強い味方になるのが社労士(社会保険労務士)です。

この章では、社労士に相談や業務依頼をする際の費用相場、契約方法、実際の相談事例、依頼前に確認すべきポイントを詳しく解説します。

どんなときに社労士へ相談できる?

社労士への相談は、主に企業の人事・労務に関する課題や、個人の社会保険・労働関係の手続きについて行われます。

以下はよくある相談事例です。

  • 従業員を新規採用するので、社会保険の手続きをお願いしたい
  • 職場でハラスメントが発生し、対応策を講じたい
  • 労働時間の管理に不備があり、是正方法を相談したい
  • 就業規則を作成・見直したいが、法律に適合しているか確認してほしい
  • 従業員が育休に入る予定で、必要な届出を手伝ってほしい

個人からの相談も可能ですが、社労士は「企業・事業主サイド」の立場で支援する専門家です。

したがって、労働者個人としてトラブルを解決したい場合は、弁護士の領域となるケースもあります。

あくまで手続きや制度の運用支援が中心であり、代理交渉などは原則として行いません。

料金体系の基本:スポット・顧問・成功報酬の3パターン

社労士への報酬は、依頼内容や契約形態によって異なります。

主な料金体系は以下の3パターンです。

  • スポット契約:1件あたり数千〜数万円。就業規則の作成や助成金の単発依頼など。
  • 顧問契約:月額1〜5万円程度。定期的な相談、手続き代行などをセットで提供。
  • 成功報酬型:助成金支給額の15〜20%。成果に応じて支払う方式。

たとえば、従業員10名以下の小規模企業で、労務相談・手続き代行・給与計算を含む顧問契約を結ぶ場合、月額2〜3万円程度が相場です。

就業規則の作成は、内容や企業規模によりますが、10万円前後が目安となります。

助成金申請は「成功報酬型」が基本

助成金の申請業務に関しては、成果報酬型の報酬体系が主流です。

支給が確定して初めて報酬が発生するため、企業側にとってもリスクの少ない依頼方法です。

相場としては、「受給額の15〜20%」が一般的ですが、顧問契約をしている場合は10%程度に割引されることもあります。

なお、事前申請が必要な助成金も多く、「事後相談」では間に合わないケースが多いため、早めに社労士へ相談することが重要です。

相談時に確認すべき3つのポイント

社労士へ相談・依頼する際は、以下のポイントを事前に確認しましょう。

  1. 専門分野と実績:就業規則・助成金・労務トラブルなど、社労士にも得意分野があります。自社の課題に合った専門性を持つか確認しましょう。
  2. 報酬の明示:契約前に料金体系・作業範囲・報酬の発生条件を明確にしておくことがトラブル防止につながります。
  3. 対応範囲の限界:法律相談や代理交渉は社労士の業務範囲外であり、必要に応じて弁護士と連携してもらえるか確認しましょう。

また、初回相談無料としている事務所もあるため、複数の社労士事務所を比較検討するのも有効です。

社労士事務所はどう探す?おすすめの探し方

社労士に依頼したいと思ったときは、以下のような探し方があります。

  • 都道府県の社労士会の公式サイト(認定事務所の一覧あり)
  • 士業紹介サイト(例:士業ねっと、ミツモアなど)
  • 知人・他士業(税理士・行政書士など)からの紹介
  • Google検索で地域名+社労士(例:「福岡 社労士 顧問」)

事務所の公式サイトを見れば、得意分野や報酬例、対応エリア、相談実績などを確認できます。

レスポンスの速さや丁寧さなども重要なポイントなので、問い合わせ時の対応にも注目しましょう。

個人で相談したいときは?無料相談の活用も視野に

個人が社労士へ相談する場合、報酬の目安は30分あたり5,000円〜1万円程度です。

ただし、都道府県の社労士会では「無料相談会」や「電話・オンライン相談窓口」を定期的に開催しています。

たとえば、以下のようなテーマで無料相談が実施されています。

  • 雇用保険・育児休業給付の申請方法
  • 退職後の健康保険・年金手続き
  • 職場の労働条件や賃金に関する悩み

「まずは話だけでも聞いてみたい」という方は、こうした無料相談窓口を活用するのがおすすめです。

まとめ:相談内容に合った社労士選びが成功のカギ

社労士への相談や依頼は、企業だけでなく個人にとっても有益な手段です。

報酬体系や対応範囲を事前に確認し、自社の課題に合った専門性を持つ社労士を選ぶことで、安心して相談・依頼ができるようになります。

特に労務・人事に関わるリスクは「事後対応」より「予防」が肝心。

困ったときに備えて、信頼できる社労士と早めにコンタクトを取っておくことをおすすめします。

まとめ

社労士(社会保険労務士)は、企業と労働者をつなぐ「人の専門家」として、社会保険手続きや労務管理、助成金申請など多岐にわたる業務を担います。

年収や働き方には大きな幅があり、勤務か開業か、専門性や営業力によって将来性も変わってきます。

国家試験は難関ですが、継続的な努力と適切な学習方法で突破は十分に可能です。

「社労士に相談したい」「資格を活かして転職したい」と感じた方は、早めに情報収集を始めることが次の一歩につながります。

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