「空冷ワーゲン」とはどんな車?どんな種類があるの?代表的な5モデルと各モデルの相場について
「空冷ワーゲン」とはいったいどんな車なのでしょうか。そして、どんな種類があるのでしょうか。代表的な空冷ワーゲンの5モデルの特徴と、各モデルの中古車相場、維持についてお伝えします。
もくじ
空冷ワーゲンとは
空冷ワーゲンとは、空冷式エンジンを備えたフォルクスワーゲンのことです。
現在の車は全て水冷式エンジンですが、かつては空冷式のエンジンを載せた車もかなりありました。
フォルクスワーゲンの車も、今では全て水冷式エンジンとなっていますが、1978年まで(メキシコでライセンス生産されていたビートルは2003年まで)は空冷式エンジンを搭載したモデルが存在しました。
そんな空冷エンジンを搭載したかつてのフォルクスワーゲンは、通称「空冷ワーゲン」と呼ばれており、ビンテージワーゲンとして世界中のファンに今も愛され続けています
空冷ワーゲンの種類
空冷式エンジンを搭載していた時代のフォルクスワーゲンは、大きく5つのモデルが存在しました。
それは、
- タイプ1
- タイプ2
- タイプ3
- タイプ4
- カルマンギア
の5モデルです。
※厳密にはその他にも空冷エンジンを搭載したモデルはあるのですが、流通量もかなり少ないので、ここでは紹介を割愛させていただきます。
各モデルについて、もう少し詳しく見ていきましょう
VWタイプ1
フォルクスワーゲンタイプ1とは、「ビートル」の愛称で知られているモデルのことです。
日本でも1970年代に爆発的に売れ、「かぶと虫」の愛称で呼ばれたりしていました。海外では「BUG(バグ)」とも呼ばれていますが、いずれも昆虫をイメージするような丸くて愛らしいスタイルで世界中にファンがいる車です。
おそらく世界で最も有名な車と言っても過言ではないでしょう。
VWタイプ1は1938年にデビューし、本国ドイツでは1978年まで製造され、その後ブラジル、メキシコと2003年までライセンス生産されました。
65年間に総生産台数21,529,464台が作られ、単一モデルとしては世界一の記録を持っています。
構造がシンプルなうえ、世界中にファンがいることもあり、現在もパーツ供給にほとんど困ることはありません。そのため、旧車の中でもかなり維持しやすい車と言えるでしょう。
タイプ1は年式により、スプリット、オーバル、6V、ビッグバンパーと呼ばれるように、年代により特徴的なマイナーチェンジが行われてきました。
状態にもよりますが、より古い年式のもの、そしてクーペよりもガブリオレ(コンバーチブル)の方が相場価格は高く、現在の中古車相場は88万~500万円程度となっています。
VWタイプ2
タイプ2はいわゆるワンボックスの形をしたモデルで、通称「ワーゲンバス」と呼ばれているモデルです。
このタイプ2も世界中にファンがいるため、元々はヒッピー御用達の車みたいな、旅好きの若者に愛された車なのですが、未だに人気は衰えないため現在ではかなり高額で取引される車となってしまいました。
タイプ2はコンポーネントをタイプ1のものを基本的に利用しており、デビューは1950年でドイツ本国では1979年まで製造されました。
以降、ブラジル、スペインでライセンス生産が引き継がれ、空冷エンジンを搭載したモデルは2006年まで作られました。
タイプ2は大きくアーリーモデルとレイトモデルとがあり(初期と後期でデザインが大きく変わったためそう呼ばれている)、アーリーモデルのほうが全体的に丸い形をしています。
また、タイプ2は様々な形状のタイプが作られ、マイクロバス仕様の他に、商用車やトラックタイプのものもあります。
基本的にはアーリーモデルの方がより高く、タイプ2の相場は268万~680万円と、タイプ1と比べてもかなり高額となっているうえに、玉数もかなり少なくなってきています。
ボディパーツ以外はビートルの部品が利用できるので、手に入れてしまいさえすれば、わりと維持するのは難しくないでしょう。
VWタイプ3
タイプ3はタイプ1の上位モデルとしてデビューしたより乗用車に近い四角い形をしたモデルです。
1961年から1973年まで、途中フロントのデザイン形状が変更されながら製造されました。
ボディのバリエーションにセダンタイプとハッチバックタイプとワゴンタイプの3種類があります。
タイプ1の人気が衰えなかったために、このタイプ3の売上はさほど伸びず、わりと短命で消えていきました。
しかし今見るととてもおしゃれなデザインで、特に1969年までのフロントが丸いタイプはかなりデザイン的にも優れていると思います。
空冷ワーゲンは人気に波があり、一時はこのタイプ3がとても人気だった時期もあるのですが、最近はさほどでもないため、わりとリーズナブルな価格に落ち着いています。
タイプ3の相場は168万円~385万円程度で、ボディ形状はワゴンタイプのバリアントが一番人気があります。
VWタイプ4
タイプ4もタイプ3同様乗用車型の車ですが、タイプ3よりも一回り大きなボディとエンジンを積んだ車です。
タイプ4は1968年から1974年までとわずか6年間しか作られませんでした。
ボディ形状はセダンとワゴンとがあり、セダンの方には2ドアモデルの他に4ドアモデルも用意されていました。
この時期は同じドイツのオペル・レコルトのほうが人気があり、タイプ4のセールスは伸びずに早々と打ち切りとなってしまいましたが、タイプ4のコンセプトは後のパサートに引き継がれます。
タイプ4は製造期間も資産台数も少ないため、市場には殆ど出回っておらず、そのため相場も定かではありません。
VWカルマンギア
カルマンギアは空冷ワーゲンの中でも、少し毛色の違う車で、デザインも非常に美しくスポーツカーのようなスタイリングをしています。
それもそのはず、基本のコンポーネンツはタイプ1をベースとしているものの、デザインはドイツのコーチビルダーであるカルマン社とイタリアのカロッツェリア・ギア社によりデザインされていますので、どこかデザインにイタリア調の香りが漂っています。
カルマンギアは1955年にデビューし、1975年まで作られました。
デザインは非常に美しいものの、エンジンは非力なタイプ1の物が乗せられていたため、当時はポルシェなどより価格も安価であったことから、「プアマンズポルシェ(貧乏人のポルシェ)」などと揶揄されたりもしました。
しかしポルシェとカルマンギアとでは目的が異なりますので、カルマンギアにはカルマンギアの魅力がとてもある車です。
ボディ形状はクーペモデルの他にカブリオレ(コンバーチブル)があります。
流れるようなデザインが特徴的なカルマンギアですが、1971年にアメリカの衝突基準に則り通称5マイルバンパーと呼ばれる無骨なバンパーが搭載され、せっかくのデザインが崩されたため、71年以降のモデルは少し人気が落ちます。
カルマンギアの相場は245万円~456万円とわりと高めですが、もともとがタイプ1などと比べると高級なモデルでした。
まとめ
空冷ワーゲンとは空冷式エンジンを搭載した時代のフォルクスワーゲンのことで、主に5つのモデルがあります。
そのモデルは、
- タイプ1
- タイプ2
- タイプ3
- タイプ4
- カルマンギア
です。
タイプ1は通称「ビートル」のことで、タイプ2は「ワーゲンバス」と呼ばれ、広く知られています。
タイプ3とタイプ4は乗用タイプのモデルで、カルマンギアはイタリアのカロッツェリア・ギア社によりデザインされたスポーツカーのような美しいデザインの車です。
空冷ワーゲンは今でも世界中にファンが大勢いるため、昨今のビンテージカーブームもあって、かなり価格が高騰しています。
特にワーゲンバスは、昔からは考えられないほどの高額で取引されるようになってしまいました。
この中で最も手に入れやすいのは、高年式のビートルでしょう。
空冷ビートルはボディーパーツ以外の部品が今でも手に入れやすいため、車自体を手に入れたら、維持は他の旧車に比べそう大変ではないと思います。
ただかなり古い車ではあるので、個体差も激しく、ボディがしっかりした車を見つけることが、長く楽しめるコツになると思います。