新型コロナウイルスの抗体カクテル療法とは 効果や副作用・今後の普及について
新型コロナウイルスの新たな治療法、抗体カクテル療法とはどういったものでしょう。その効果や副作用はどうなのか、また今後、抗体カクテル療法が新型コロナの初期治療として普及するうえでの課題などについても考えてみました。
もくじ
抗体カクテル療法とは
抗体カクテル療法とは、新型コロナウイルス感染症の新たな治療法です。
「カシリビマブ」と「イムデビマブ」という新型コロナウイルスに対する2種類の中和抗体を点滴薬に投与します。
そうすることで、新型コロナウイルスが人の細胞へ侵入する前に、ウイルスの作用を失くそうというわけです。
ただし、重症化を未然に防ぐための治療なので、発症から7日以内に抗体カクテル療法を行う必要があります。
PCR検査で陽性反応が出たときには、既に感染して3日程度は経過している可能性が高いため、陽性反応が出たらすぐに抗体カクテル療法を行う必要があるでしょう。
抗体カクテル療法の効果
抗体カクテル療法の効果については、海外の臨床試験データによると入院や死亡リスクを7割程度減らすことができたとあります。
現在、抗体カクテル療法の治療対象者は、50歳以上で基礎疾患のある人を中心に、酸素投与を受けていない軽症者となっています。
点滴は1回で済み、時間はおよそ30分程度と、短時間で済みます。
現在日本でも抗体カクテル療法を行ったところ、重症化することなく経過は良好とのこと。
今後、体制が整うことで、新型コロナウィルスの初期治療法として、非常に期待が持てそうです。
抗体カクテル療法の副作用は?
今回、日本で承認された抗体カクテル療法は、中外製薬により申請を受けたものです。
これまでの国外での抗体カクテル療法は重症者・中等症者向けでしたが、中外製薬の抗体カクテル療法は初の軽症者・中等症者向け療法となります。
副作用としてはアナフィラキシーショックなどがあげられていますが、これはワクチン接種でも同様の副作用としてあげられていたもの。
それ以外の主だった副作用は、抗体カクテル療法には特にないようです。
抗体カクテル療法を普及させるための課題
新型コロナウィルスの初期治療法として、非常に期待が持てそうな抗体カクテル療法ですが、現在、日本での対象者は50歳以上の基礎疾患を持つ軽症者とのことで、多くの人はまだ抗体カクテル療法を受けることができません。
点滴に2つの抗体を混ぜ、30分程度で完了するという、わりと短時間で行えるお手軽な治療にもかかわらず、すぐに台頭できない理由として、場所もそうですが人が圧倒的に足りないからだそうです。
日本で抗体カクテル療法を行うには、患者の体内検査を行う必要があるため、現在のところ自宅療養者には投与できないとのこと。
これが効くとわかっていても、すぐに誰もが受けられるない理由です。
ただ、現在入院中の患者は、中等症以上の重症化した患者となるなので、すでに酸素投与を受けている状態。
となると、病床のある病院ではなく、抗体カクテルステーションなるものを設置し、そこで感染初期の軽症者に対し、抗体カクテル療法を行う環境を全国に作っていくことこそが、重要な緊急課題かと思われます。
まとめ
今流行中のデルタ株は、発症から重症化までのスピードが早いため、ワクチン接種が進む中でも感染者数が拡大しています。
若い人の重症化も見られるだけに、効果的な対応策がのぞまれる中、この抗体カクテル療法は希望の光となりそうです。
ワクチン接種の推進と抗体カクテル療法とのダブルで重症化を抑えることができれば、入院もままならない現在の医療状況も、徐々に脱することができるかもしれません。
そのためにも、PCR検査と抗体カクテルとがセットで行えるステーションの設置及びそのための人員確保が望まれます。