脳幹出血と脳死について 脳出血との違いや脳幹出血の原因と症状、脳死と植物状態の違いなど
脳幹出血と脳死について。脳死と植物状態との違いや、脳幹出血と脳出血との違い、脳幹出血の原因と症状などについて調べてみました。
もくじ
脳幹出血とは
脳幹出血とは、呼吸や血圧など生命活動の基本保っている脳幹に生じる出血のことで、脳出血のうち約10%を占めます。
脳幹は脳の奥深くに位置する小さな組織なので、脳幹出血の場合、手術を行うことはほとんどありません。
また、脳出血とは、脳の血管が破れて出血が起こり、脳を壊したり圧迫することで、さまざまな症状が現れる病気です。
脳出血は、出血部位により、
- 被殻出血
- 視床出血
- 脳幹出血
- 小脳出血
- 大脳皮質出血
に分類されます。
脳死とは
脳死とは、大脳・小脳・脳幹など脳全体の機能が失われた状態で、回復する可能性はありません。
心臓をはじめ全ての臓器が自分の力で動くことはなく、薬剤や人工呼吸器などによってしばらく心臓を動かすことはできますが、多くは数日以内で心臓も停止します。
欧米をはじめとする世界のほとんどの国では、大脳・小脳・脳幹のすべての機能が失われた状態を「脳死」と呼び、「脳死は人の死」とされています。
脳幹出血の原因
脳幹出血の原因として最も多いのが、高血圧です。
食生活の乱れや運動不足、ストレス、喫煙習慣、糖尿病、高脂血症などにより、高血圧になりやすくなります。
そして、高血圧を放置していると、脳内の血管に動脈硬化が進み、ふとした瞬間に血管が破れやすくなります。
脳幹出血は、血圧が悪化する50代から起こりやすく、気温が下がると血圧が上がりやすいので、昼と夜の寒暖差が激しい時期に起こりやすくなります。
脳幹出血の症状
以下のような症状が現れたら、脳幹出血を含む脳卒中の発作の前触れかもしれません。数分で治まったとしても、一刻も早く専門医を受診するようにしてください。
脳の障害は時間が経つほど大きくなり、障害が大きくなると後遺症も重度になり、命の危険も高まります。
- 突然意識を失って倒れる
- 激しい頭痛
- 吐き気
- めまい
- 足がもつれる
- 手足がしびれる
- ものが二重に見える、見えにくい
- 食べ物や飲み物が飲み込めない
- 言葉が出ない、話せない
脳幹出血を発症すると、吐き気・めまい・頭痛などの症状が現れ、出血量が多い場合には意識消失・呼吸停止が起こり、命に関わることもあります。
症状には、意識障害・呼吸障害・四肢麻痺・眼球運動障害などがあります。
脳出血ではほとんどの場合片麻痺を起こしますが、脳幹出血の場合は左右両方に麻痺が起こることがあるのが特徴です。
脳死と植物状態の違い
脳死と植物状態の違いとは何でしょうか。
脳は構造と役割によって、大脳・小脳・脳幹の大きく3つに分けられます。
大脳は、知覚・記憶・判断・感情・運動の命令などの心の働きを司ります。小脳は、運動や姿勢の調節を司ります。脳幹は、呼吸・循環機能の調節、意識の伝達など、生きていくために必要な働きを司ります。
植物状態とは、脳の中の脳幹の機能が働いている状態で、自ら呼吸したり血液を体中に送ったりすることができることが多く、回復する見込みもある状態です。
脳死は脳の機能が失われてしまった状態で、今後回復が見込めない状態のことです。たとえ心臓が動いていたとしても、脳幹と呼ばれる脳の中枢が働かなくなった状態では、10日ほどで心肺も停止し死亡に至ります。
まとめ
脳卒中を起こし、意識を失っても、脳幹が働いていれば回復する見込みはあるとのこと。
しかし、脳死と判定された場合には、それから10日ほどで、心肺も停止してしまいます。
脳卒中を起こした場合は、とにかく早く病院に運び、適切な措置をすることで助かることがありますので、発作に気づいたら、一時的に回復したとしても病院で診察を受けるようにしてください。
そして動脈硬化を避けるためにも、普段から食事や運動などの生活習慣に気を配り、特に肥満傾向にある方は高血圧対策に取り組むようにしましょう。