「10年または10万キロで車を買い替えるべき」と聞いたことはありませんか?
もちろん、これはひとつの目安にはなりますが、実際のところ“もったいない”と感じる人も多いでしょう。
近年は車の性能も飛躍的に向上し、長く乗れるクルマが増えてきました。
そこで本記事では、車の買い替えタイミングについて、古い常識を見直しながら「いつがベストなのか?」を掘り下げて解説します。
ライフスタイルやコスト、安全性や環境負荷など、さまざまな視点から最適な乗り換え時期を考えてみましょう。
車の買い替えは本当に「10年・10万キロ」が目安なのか?
この章では、一般的に知られている「10年・10万キロ説」がどのような背景から広まったのかを整理し、現在の事情と照らし合わせながら再検討していきます。
「10年・10万キロ説」の由来
この説は、1990年代以前の車の耐久性やメンテナンス技術に基づいています。
当時はエンジンや足回りの消耗が早く、10万キロを超えると高額修理が発生しやすいとされていました。
また車検や税金の負担が増すタイミングとも重なっていたことから、コストパフォーマンスの観点でもこの節目がひとつの基準とされていたのです。
今の車はもっと長持ちする
現代の車は製造技術の進歩により、10万キロではまだまだ現役というケースが一般的になっています。
実際、メーカーが想定している設計寿命は15万キロ以上という車種も多く、エンジンのトラブルも少なくなってきました。
定期的なオイル交換やメンテナンスを怠らなければ、20万キロ以上走行する車も珍しくありません。
「買い替え時期は人それぞれ」の時代へ
所有する目的や走行環境によって、車の寿命や買い替え時期は変わってきます。
通勤や営業などで毎日100キロ以上走る人と、週末だけ運転する人とでは劣化のスピードも違います。
一律に「10年・10万キロ」と決めつけるのではなく、使用状況に応じた判断が求められます。
乗り換えのベストタイミングとは?
ここでは「いつ乗り換えるべきか」について、性能、費用、安全性などの観点から多角的に検討していきます。
車検のタイミングで見直す
車検時は車の状態を総点検するタイミングでもあります。
ここで多額の修理費が見込まれる場合や、車検代が高額になりそうなときは、買い替えを検討する絶好の機会です。
特に10年以上経過している車は、部品の経年劣化が進んでいることが多く、維持費が跳ね上がる可能性があります。
燃費・維持費が悪くなったと感じたら
ガソリン代や税金、保険料、メンテナンス費用がかさんでくると、経済的負担が増えていきます。
燃費が悪くなった車を長く乗り続けるよりも、燃費のよい新車やハイブリッド車に買い替えたほうが、トータルコストは下がる場合もあります。
また、自動車税は排気量や初年度登録からの経過年数によっても増額されるため、古い車ほど維持費が高くなりがちです。
安全装備や最新機能の有無で判断
最近の車には、自動ブレーキや車線逸脱防止機能など、安全運転をサポートする装備が標準搭載されています。
これらがない旧型車では、事故リスクや運転時のストレスが増える可能性があります。
「万が一」の場面に備えるという意味でも、新しい車の安全性能は大きな魅力です。
「買い替えない」という選択肢も
乗り換えを急ぐ必要はなく、今ある車に愛着があり、メンテナンスも問題なければそのまま乗り続けるのも立派な選択肢です。
リセールバリューよりも価値を見いだす
年式が古くなるほど、下取り価格は下がっていきます。
それでも、頻繁に使うクルマでトラブルがなければ、買い替えによるコストや手間をかけずに済みます。
自分にとっての「使いやすさ」や「思い出」を重視する人も少なくありません。
必要なメンテナンスを怠らなければ長持ち
エンジンオイルやタイヤ交換、バッテリーのチェックなど、日常的な整備を怠らなければ、車は10年を超えても十分に使えます。
実際、地方では20年以上同じ車に乗っているという人も珍しくありません。
「まだ乗れる車を買い替えるのはもったいない」と感じるのであれば、無理に手放す必要はありません。
環境の視点で考える車の買い替え
車の買い替えは環境負荷にも影響を与えます。
この章では、エコカーやライフサイクルアセスメントの考え方も踏まえた視点を紹介します。
製造と廃棄にも環境負荷がかかる
新車を製造する際には、多くのエネルギーや資源が必要です。
一方で、古い車を処分する際にも廃棄コストやCO2排出が発生します。
そのため、「エコだから新車に買い替える」という選択が、必ずしも環境に優しいとは限りません。
本当にエコな乗り換えとは?
環境負荷を減らすには、燃費性能の高い車に乗ることが有効ですが、まだ使える車をすぐに捨てるよりも、しっかりメンテナンスしながら長く乗る方が結果的にエコになる場合もあります。
最近ではLCA(ライフサイクルアセスメント)の観点から、製造から廃棄までの環境負荷を考慮する人も増えています。
自分にとっての「エコとは何か?」を改めて見直すきっかけにもなるでしょう。
まとめ
車の買い替えタイミングは「10年・10万キロ」という基準にとらわれず、車の状態や使用目的、ライフスタイルに合わせて判断することが大切です。
メンテナンスをきちんと行えば、長く乗ることも可能ですし、安全性や経済性を考えて新しい車を選ぶのも正解です。
環境負荷への配慮も含め、今後のカーライフをどう設計したいかを考えることが、最も後悔のない選択につながります。