年金生活どう変わる?2022年からの「年金制度改正」による変更点など
50代にもさしかかると、気になるのが老後の資金。現在の年金受給額の世帯平均と、2022年からの年金制度改正により可能となる年金受給額の増額の可能性について調べてみました。
もくじ
今現在の年金生活の実態
現在、既に年金を受給している世帯は、どれくらいの年金を月額にしてもらっているのでしょう。
平均額を見てみると、60~69歳の世帯が約28万3000円、70歳以降の世帯が約23万円だそうです。これは夫婦二人の世帯の平均額です。
厚生労働省のモデル世帯の場合、年金月額は22万496円(2021年度)となっています。このモデル世帯とは、夫が厚生年金に40年加入、妻が第3号被保険者を含め、国民年金を40年納めたケースです。
しかし、実際の年金受給額は、この厚生労働省のモデル世帯寄りも少なく、同条件の世帯では20万1667円と、月にして2万円くらい少ないようです。
40年間厚生年金を納めてもらえる額が夫婦で月に20万円程度。
昨今の景気から考えると、現在50代の私たちはこれよりも年金額が増えるとは到底考えられません。
やはり貯蓄額を増やすしかないのでしょうか。と言えども、リタイアまでの年月もそう長くない上に子供の学費もかかる時期、どうすれば…。
2021年の金制度改正
2021年5月に「年金制度改正法」が成立し、これまでと年金にまつわるルールに変更がありました。
主な改正点は次の4つです。
- 被用者保険加入の適用範囲拡大
- 在職中の年金受給の在り方の見直し
- 受給を開始する時期の選択肢が拡大
- 確定拠出年金(DC)の加入可能要件の見直し
それぞれ簡単に説明しますと、
被用者保険加入の適用範囲拡大
これまで夫の扶養だったパートタイマーの妻(月収8万8000円)も、今後は社会保険の加入義務が出てきます。これは従業員100人以上の規模で企業で社会保険加入義務がなされるためです。
そうなると、妻の手取りは減ってしまいますから、毎月の家計は厳しくなってきます。将来的には年金受給額が上がるので、長い目で見るとデメリットだけではありませんが。
ただ、子供の学費がかかる世代にとっては、将来よりも今の収入の方が大きな問題に感じる場合が多いでしょう。
今後は扶養内を外れて、妻もガッツリ稼ぐ方向にシフトしていくこも考える必要がありそうです。
在職中の年金受給の在り方の見直し
特別支給の老齢厚生年金を受給しながら、働いて賃金得ている人に対し、年金と賃金の合計額が月28万円を超えている場合、これまでは一部の年金の支給が停止されていました。
これを、2022年4月からは、年金と賃金の合計額が月47万円にまで引き上げられます。
また、65歳を超えて会社勤めをしている場合、最長70歳まで厚生年金に加入し続けることができるようになります。そうすることで、将来の受給額を増やすことができます。
65歳以降に支払った厚生年金は、現在は退職後の70歳から増額される仕組みですが、これが令和4年4月からは、毎年10月に受給額に反映され増額した額が加算され支給されるようになるそうです。
受給を開始する時期の選択肢が拡大
現在は65歳からの受給を70歳からの受給まで伸ばすことが可能で、65歳以降1ヶ月受給開始を遅らせるごとに0.7%ずつ増額され、最高5年遅らせることで実質42%増額できます。
それが、2022年4月1日以降に70歳に到達する方からは、受給開始年齢を80まで遅らせることが可能になり、これまで同様65歳以降1ヶ月受給開始を遅らせるごとに0.7%ずつ増額されますので、最高10年遅らせると、65歳から受給するよりも実質84%増額できるようになります。
75歳まで働けるかはちょっと想像できませんが、これまでの年金加入年数が少ない人や所得が少ない人にとって、受給年齢を遅らせることで増やせるのは少し希望が持てますね。
体が動くうちは働けるだけ働こうと考える人も増えそうです。
確定拠出年金(DC)の加入可能要件の見直し
現在、iDeCoに加入できるのは60歳未満の公的年金の被保険者ですが、これが2022年5月から65歳未満に拡大されます。
現在50代場合、掛金拠出期間が短いためにiDeCoへの加入をあきらめていた人も多いかと思います。
この改正により65歳まで加入可能となれば、iDeCoの加入も考える余地がありそうです。
また、受給開始時期も60歳~70歳までだったものが、2022年4月から60歳~75歳までと変更されます。
なぜ年金制度が改正されたのか?
それにしても、このたびなぜ年金制度が改正されたのでしょうか?
皆さんも薄々勘づいていいるでしょうが、今後さらに高齢者や女性の就業が進められるからです。
つまり、多くの人がこれまで以上に長い期間働く社会になることが見込まれるということです。
そうなると定年年齢が後ろ倒しとなり、年金受給年齢もより遅くなっていくのです。そのことを考慮して、年金制度も改正しようというわけですね。
長寿化に伴い、その分だけ労働人生も長くなる。そういう時代が如実にやってくるということの表れでもあります。
まとめ
こうして私たちの人生は、長寿に伴い、労働年月も長くなるというわけです。そうなると、今後、ますます健康であることが重要になってきますよね。
確かに、今は80代や90代でも若々しく元気な方を見かけます。70代を過ぎてもバリバリ働いている方も沢山いらっしゃいますからね。
50代なんかであまり老後のことばかり考えるのではなく、まだまだ現役の中堅どころとして頑張らなくちゃいけないのかもしれません。
でも、あまり無理しても滅入ってしまうので、個人的にはぼちぼち頑張るくらいがこれからの未来にはちょうど良い感じがしているのですが。どうなのでしょう。