インボイス登録時に原則課税・簡易課税・2割特例のどれを選べばいい?間違えると地獄な課税方式

インボイス登録の申請にあたり、消費税の課税方式を選択する必要があります。自身の行っている業種や売上と経費の関係などにより、原則課税・簡易課税・2割特例のいずれを選ぶかで大きく納める消費税額が変わってきます。ではいったい、どの課税方式を選択すれば良いのでしょうか。わかりやすく解説いたします。

インボイス登録で選べる3つの課税方式

10月1日からインボイス制度がスタートするにあたり、今月9月は最終締切の月。

というわけで、駆け込みで登録申請する人も多いかもしれませんね。

そんなインボイス制度の登録時には、この度3つの消費税の課税方式から選択するようになっています。

それは、

  • 原則課税
  • 簡易課税
  • 2割特例

の3つです。

それぞれ選択にあたり条件が設けられていますので、どれでも好きな方式を選べるというわけではありません

ということで、少し詳しく見ていきましょう。

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原則課税

2期前の課税売上高が5000万円を超える事業者は、強制的に原則課税となります。

2期前の課税売上高が5000万円以下の場合も原則課税を選択できます。

原則課税の計算式は、

売上消費税-経費消費税=支払う消費税

となります。

つまり、売上に対して経費が非常に高い事業モデルや、赤字であった場合に、原則課税を選択するメリットがあります。

簡易課税

2期前の課税売上高が5000万円以下で、簡易課税の届け出を出している場合に、簡易課税を選択できます。

簡易課税の計算は、業種により消費税にかかる率が変わり、

卸売業:10%
小売業:20%
製造業:30%
その他:40%
サービス業:50%
不動産業:60%

となっています。

例えば、サービス業の場合の計算式だと、

売上消費税×50%(サービス業の率)=支払う消費税

となります。

卸売業や小売業にメリットがあります。

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2割特例

インボイス制度導入にあたり、できた特例です。2割特例は特例なので、適用できる期間は現在のところ、令和5年10月1日から令和8年9月30日までとなっています。

2期前の課税売上高が1000万円以下で、インボイス登録により初めて消費税の納税義務が生じる事業者のみ2割特例を選択できます。

2割特例の計算式は、

売上消費税×50%(サービス業の率)=支払う消費税

多くの個人事業主やスモールビジネスオーナー、経費のあまりかからないビジネスをやっている事業者が選択するとメリットがあります。

 

各課税方式を個人事業主で比較した例

例えば売上770万円(税込)で、経費が330万円(税込)のサービス業を営む個人事業主の場合で、各課税方式による消費税額を比較してみましょう。

売上770万円(税込)の消費税額分は70万円です。経費が330万円(税込)の消費税額分は30万円です。

〈原則課税の場合〉

消費税額=70万-30万円=40万円

〈簡易課税場合〉

消費税額=70万×50%(サービス業の率)=35万円

〈2割特例の場合〉

消費税額=70万×20%(2割特例)=14万円

この場合だと、2割特例が最も良い選択となります。

しかし、卸売業の場合であれば、簡易課税の率が10%ととなるので、同じ条件では7万円となり、簡易課税が最も良い選択となります。

またサービス業であっても、経費の消費税が60万円だった場合、原則課税を選ぶと消費税が10万円と最も少なくなります。

なので、自身の事業形態や、売上予測、経費などを考慮して、課税方式を選択するようにしてください。

まとめ

インボイス登録で選べる3つの課税方式は、

  • 原則課税
  • 簡易課税
  • 2割特例

の3つです。

ただし、各課税方式を選ぶには、定められた条件をクリアする必要があります。

どの課税方式を選ぶのが最も良いかは、業種や売上に対する経費の割合によって変わってきます。

もともと年間の売上が1000万円に満たない個人事業主やスモールビジネスのオーナーは、取引企業との関係で問題がない限り、インボイス制度に登録せず、これまでどおり免税事業者のままのほうが消費税を1円も納めずに済むので良い選択かもしれません。

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