新型コロナがインフルエンザと同じ5類相当に引き下げられるとどうなる?感染症の種類とは?

新型コロナがインフルエンザと同じ5類相当に引き下げられるという発表がありました。5類になるとどう変わるのでしょうか。また、感染症の種類はどのように分類されているのでしょうか。

感染症の8つの分類について

日本において感染症は8種類に分類されています。

その8種類とは、1類から5類の5種の感染症と新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症です。

この種類分けは、1類と2類は警戒レベルのかなり高いものですが、3類と4類は少し扱いの異なるものになっています。

なので数字が少ないほうが重篤度が高いかというと、単純にそういうわけでもありません(この辺がちょっとややこしい)。

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感染症の分類と考え方

各感染症の実施できる措置等と分類の考え方について、少し説明します。

まず、1類から3類までの感染症に関しては、特に危険性の高いものに分類されます。

これら3種に対して実施できる措置等としては、次のとおりです。

1類感染症

対人:入院(都道府県知事が必要と認めるとき)等
対物:消毒等の措置
交通制限等の措置が可能 感染力と罹患した場合の重篤性等に基づく総合的か観点から見た危険性 2類感染症 の程度に応じて分類

2類感染症

対人:入院(都道府県知事が必要と認めるとき)等
対物:消毒等の措置

3類感染症

対人:就業制限(都道府県知事が必要と認めるとき)等
対物:消毒等の措置

「4類感染症」に対する考え方は、1類~3類感染症以外のもので、主に動物等を介してヒトに感染するものです。

4類感染症

動物への措置を含む消毒等の措置

「5類感染症」に対する考え方は、国民や医療関係者への情報提供が必要なものです。

5類感染症

発生動向調査

「新型インフルエンザ等感染症」に対する考え方は、新たに人から人に伝染するインフルエンザであって、国民がまだ免疫を持っていないことから全国的かつ急速にまん延し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると考えられるものです。

新型インフルエンザ等感染症

対人:入院(都道府県知事が必要と認めるとき)等
対物:消毒等の措置
政令により1類感染症相当の措置も可能
感染したおそれのある者に対する健康状態報告要請、外出自粛要請 等

「指定感染症」に対する考え方は、既知の感染症で、1類から3類感染症と同等の措置を講じなければ、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれのあるものです。

指定感染症

1類から3類感染症に準じた対人、対物措置(延長含め最大2年間に限定)

「新感染症」に対する考え方は、ヒトからヒトに伝染する未知の感染症であり、重篤かつ国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれのあるものです。

新感染症には、「症例積み重ね前」と「症例積み重ね後」とがあります。

新感染症(症例積み重ね前)

厚生労働大臣が都道府県知事に対し、対応について個別に指導・助言

新感染症(症例積み重ね後)

1類感染症に準じた対応(政令で規定)

感染症法の対象となる感染症

感染症の各分類における感染症の一覧です。

1類感染症

エボラ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱
痘そう
南米出血熱
ペスト
マールブルグ病
ラッサ熱

2類感染症

急性灰白髄炎
ジフテリア
重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルスに限る)
結核
鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであり、その血清亜型がH5N1であるものに限る。以下「鳥インフルエンザ(H5N1)」という)

3類感染症

腸管出血性大腸菌感染症
コレラ
細菌性赤痢
腸チフス
パラチフス

4類感染症

E型肝炎
A型肝炎
黄熱
Q熱
狂犬病
炭疽
鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く)
ボツリヌス症
マラリア
野兎病
ウエストナイル熱
エキノコックス症
オウム病
オムスク出血熱
回帰熱
キャサヌル森林病
コクシジオイデス症
サル痘
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
腎症候性出血熱
西部ウマ脳炎
ダニ媒介脳炎
チクングニア熱
つつが虫病
デング熱
東部ウマ脳炎
ニパウイルス感染症
日本紅斑熱
日本脳炎
ハンタウイルス肺症候群
Bウイルス病
鼻疽
ブルセラ症
ベネズエラウマ脳炎
ヘンドラウイルス感染症
発しんチフス
ライム病
リッサウイルス感染症
リフトバレー熱
類鼻疽
レジオネラ症
レプトスピラ症
ロッキー山紅斑熱

5類感染症

インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)
ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)
クリプトスポリジウム症
後天性免疫不全症候群
性器クラミジア感染症
梅毒
麻しん
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
アメーバ赤痢
RSウイルス感染症
咽頭結膜熱
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
感染性胃腸炎急性出血性結膜炎
急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く)
クラミジア肺炎(オウム病を除く)
クロイツフェルト・ヤコブ病
劇症型溶血性レンサ球菌感染症
細菌性髄膜炎
ジアルジア症
侵襲性インフルエンザ菌感染症
侵襲性髄膜炎菌感染症
侵襲性肺炎球菌感染症
水痘
性器ヘルペスウイルス感染症
尖圭コンジローマ
先天性風しん症候群
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
破傷風
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症
バンコマイシン耐性腸球菌感染症
百日咳
風しん
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
へルパンギーナ
マイコプラズマ肺炎
無菌性髄膜炎
薬剤耐性アシネトバクター感染症
薬剤耐性緑膿菌感染症
流行性角結膜炎
流行性耳下腺炎
淋菌感染症

指定感染症

鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH7N9であるものに限る)

新感染症

※現在は該当なし

新型インフルエンザ等感染症

新型インフルエンザ
再興型インフルエンザ

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新型コロナが5類相当に引き下げられると

いま現在2類相当の感染症として扱われている新型コロナが、季節性インフルエンザと同じ5類相当に引き下げられることになるとのことで、話題となっています。

これまでは「新型インフルエンザ等感染症」に分類され、危険性の度合いなどから1類と2類の中間に位置されていましたが、今後取り扱い等が簡素化される「5類感染症」として扱われるよう移行されるというのです。

政府の見解としては、移行は5月8日を予定しているとのことです。

これまで新型コロナウイルスがなぜ2類感染症相当に分類されていたかというと、致死率など危険度の高いSARSやMERSといった過去に流行した新型コロナウイルスが2類に分類されていたため、この経緯を継承したものでした。

3類と4類は少し特殊な分類の感染症なので、オミクロン株BA.5が49%まで減少したことを機に、5類感染へと分類の移行が考えられたのです。

新型コロナが5類相当に引き下げられると具体的にはどう変わるかというと、これまでは検査や治療費、ワクチン接種は無料(公費負担)となっていましたが、5類になることで季節性インフルエンザとおなじ扱いになり、ワクチンも一部負担となります。

入院勧告や就業制限、外出自粛、健康状態の報告などの要請もなくなり、一般医療機関の受診や入院可能となります。

またこの移行により、

  • 治療費の自己負担が発生するため、経済状況等により患者が治療を受けない・受けられない人が増える
  • 自宅待機がなくなることで、病院施設内でクラスター発生リスクがある
  • 行政による健康観察が失くなるため、診療所の業務負担が増える

といったことが考えられます。

まとめ

新型コロナの5類移行、どうなんでしょうね。

これまで猛威を振るっていたオミクロン株BA.5が減っているとはいえ、新たな変異株は登場してきます。

その新たな変異株がどういった感染力を持つかといったことは、誰にもわかりませんからね。

それと、5類に移行されることで、気持ち的に感染対策に対する意識が低下しそうな気がします。

5月までにはまだ少し時間があるので、その間に再び感染者が急増するようなことがあれば、また変わるかもしれません。

今後の動向もよくチェックし、引き続き感染対策を続けたいと思います。

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