仮面舞踏会とか日本舞踊などの言葉はあるけど「舞踊」と「舞踏」は何が違うのか知りたい
「仮面舞踏会」や「日本舞踊」など、何気なく使っている言葉ですが、よく考えると、「舞踏」と「舞踊」では具体的に何が違うのか、実はよく知りません。
ちょっと気になってしまったので、「舞踏」と「舞踊」の違いを調べて知り得た情報を、今回は歴史的背景や現代的な解釈も含めて、シェアします。
あくまでも概要レベルで、専門的な知識をお持ちの方には及ばないことを、予め伝えておきます。
もくじ
「舞踏」の基本的な定義
まず「舞踏」という言葉は、日本語で「舞う」という動詞と「踏む」という動詞から成り立っています。
ここでの「舞う」は、風に舞うような自由で優雅な動きを指し、「踏む」は力強いステップや足取りの意味です。
つまり、「舞踏」は踊りの中でも、特に強調された動きやリズム感を重視する表現形式として定義されます。
ゆえに舞踏の特徴としては、劇的で力強い身体表現、しばしば劇的なテーマやメッセージを含むことがあります。
日本においては、1960年代に土方巽(ひじかたたつみ)や大野一雄(おおのかずお)らによって始められた「暗黒舞踏」が有名です。
舞踏は、西洋的なダンスとは異なる「身体の感覚」を重視し、自由で個性的な動きや自己表現を大切にします。
「舞踊」の基本的な定義
一方、「舞踊」という言葉は、「舞」と「踊」の二つの動詞から成り立ちます。
「舞」は、しばしば伝統的で形式的な踊りを意味し、「踊」は一般的により動的で活発な踊りを指します。
したがって、「舞踊」はこの二つの側面を併せ持つ、より広範な意味での踊りを指す言葉との解釈です。
舞踊は、形式や規律に基づいた踊りのスタイルを持ち、しばしば特定の音楽や文化的な背景に合わせて行われます。
たとえば、日本舞踊は、能や歌舞伎といった日本の伝統芸能と密接に関連しており、踊りの動きや衣装、音楽なども歴史的な文化要素を反映しています。
「舞踏」の歴史
舞踏の起源は、20世紀の中頃、日本のアバンギャルド芸術運動の一環として生まれたとされています。
1950年代から1960年代は、日本の若いアーティストたちが西洋の伝統的なダンスや演劇に反発し、自分たちの身体を使った新しい表現方法を模索した時期です。
その流れで1960年代、土方巽と大野一雄によって「暗黒舞踏」という新しい形態が確立されています。
暗黒舞踏は、個人の身体感覚や内面の表現を重視し、従来のダンスの美意識を否定するような過激なスタイルを取り入れており、その後、舞踏は日本国内外で発展し、多くのアーティストに影響を与えています。
「舞踊」の歴史
一方、舞踊の起源は古く、人類の歴史と共に存在しています。
宗教的な儀式や祝祭、戦いの準備など、さまざまな場面で踊りが行われいることは、今も珍しいことではありません。
特に日本においては、舞踊は神道や仏教の儀礼の一部として発展した背景があります。
特に平安時代から室町時代にかけて、貴族や武士の間で「舞楽」や「雅楽」などの舞踊が発展したことは、学校で学んだような学んでないような、もはや記憶が・・・。
江戸時代には、歌舞伎や能といった形で庶民にも広がり、日本舞踊の原型が形成さています。
明治時代には西洋のバレエやダンスの影響も受け、新しいスタイルの舞踊も生まれています。
現代における「舞踏」
現代の舞踏は、多様な表現を取り入れた身体の表現方法として進化しています。
暗黒舞踏を基盤にしつつも、より広範な身体表現や舞台芸術として、多様なジャンルとのコラボレーションが行われています。
代表的な舞踏家には、土方巽、大野一雄、三上博史などが挙げられ、土方巽の「病める舞姫」や大野一雄の「私のお母さん」などが代表的な作品です。
現代における「舞踊」
現代の舞踊は、伝統的なスタイルを継承しつつも、自由な表現を追求しています。
クラシックバレエやモダンダンス、ストリートダンスなど、さまざまなジャンルが存在し、それぞれが独自の文化や技法を持っています。
現代舞踊は、身体だけでなく、視覚芸術や音楽、映像など他のメディアとの融合で進化が止まりません。
また、ダンサー自身の個性や創造性が重視され、多様な文化背景や社会問題をテーマにした作品も多く見られるようになっています。
パリ五輪で採用された「ブレイキン」も、歴史的背景は全く異なりますが、ある意味、自由な表現の追及という意味では「舞踊」のひとつとされてもよいのかなと感じます。
まさに激しく「舞って」「踊って」ましたからね。
まとめ
「舞踏」と「舞踊」は、それぞれ異なる歴史的背景と特徴を持つ表現形式だということがわかりました。
「舞踏」は特に個人の身体表現や内面の探求を重視し、アバンギャルドな要素が強いのに対し、「舞踊」は文化的な伝統や形式を重んじ、さまざまなスタイルで発展してきた違いがあります。
現代においても、それぞれが独自の進化を遂げつつ、多様な形で表現されています。
ダンスと舞踊あるいは舞踏とは何が違うのかという、新たな疑問も生まれましたが、それはまた別の機会に。
一説には、舞踊や舞踏は人の呼吸に合わせた自然なリズムに対して、ダンスは美を追求するための人工的なリズムであるとのことですが、もはやド素人には意味が分かりません・・・。