映画『ドライブ・マイ・カー』を観た感想 キャスト、小説との関係など【ネタバレあり】

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映画『ドライブ・マイ・カー』を観てきました。その感想について、詳しくお伝えします。また、出演キャストや村上春樹さんの短編集『女のいない男たち』に含まれる、映画と小説との関係なども。ネタバレ要素ありますのでご注意ください。

映画『ドライブ・マイ・カー』について

先日、やっと映画『ドライブ・マイ・カー』を観てきました。

映画『ドライブ・マイ・カー』は、村上春樹さんの短編集『女のいない男たち』に収められている作品が原作となっています。

しかし、映画の『ドライブ・マイ・カー』は、小説の『ドライブ・マイ・カー』とは少しずつ設定等が異なり、そして、短編集に含まれるその他の作品の内容も含んだものになっていました。

これはおそらく濱口竜介監督自身も脚本に相当関わっているが故だと思います。

具体的には、『シェラザード』の内容が大きく取りこまれていました。

また、原作の『ドライブ・マイ・カー』にも『女のいない男たち』内の他の作品にも含まれない内容が、映画のストーリーにはずいぶんと含まれていました。

上映時間は約3時間ほどもあり、通常の映画よりかなり長いです。

ただ、来場している人のほとんどは、村上作品に興味のある人たちでしょうし、村上ワールドにどっぷりとつかりたいと思っている人たちであると予想できますから(私も含め)、上手くハマれば3時間は至福の時間になることは間違いありません。

しかし、上手くハマれなければ、それはかなり苦痛を伴うものとなるのではないかと思われます….。

それだけ映画で村上ワールドを表現するということは、かなりのリスクをも伴うことのように思われます。

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実際に映画を観た感想として

さて、映画『ドライブ・マイ・カー』の感想ですが、結論から言うと「とても良かった」です。

全体のトーン、光の感じなど、村上ワールドも見事に表現されていると思いました。

原作の『女のいない男たち』には含まれていないスピンオフ的な要素や、映画には小説には登場しない登場人物たちも数名登場してきます。

そういった、小説を読んだものからすると想定外の要素も、映画作品に深みを増すうえで意味のある重要な役割を担っており、きちんと伏線も回収したまとまりの良さは見事だなと思いました。

はじめは、短編小説をどのようにすれば3時間もの長編作品に仕上げることができるのかと疑念を抱いていましたが、予想を良い意味で裏切り、3時間という長さを飽きさせない仕上がりになっていました(さすがに短いとは感じませんでしたが)。

そして何より、突き放した感じで映画が終わらず、希望のある前向きな結末だったところも、個人的には嬉しかったです。

主人公は役者であり脚本家という設定で、映画の中では演劇論を語るなど、なかなか役者泣かせなストーリーであったと思いますが、そこは役者陣の見事な演技力と監督を始めとする制作陣の熱意(愛?)とのコンビネーションにより、見事に表現されていました。

おそらく中には公開期間中に、何度か劇場に足を運んだ人もいるのではないかと思われるほど、村上ワールドが十分に表現されていたと思います。

劇場での公開が終わり、DVDやVODで視聴可能となった暁には、私自身も2度、3度と、繰り返しこの作品を観ると思います。

濱口竜介監督には、今後もぜひ村上作品を取り上げ、映画化していただきたいと思います。

映画『ドライブ・マイ・カー』のキャスト紹介

では、最後に映画『ドライブ・マイ・カー』のキャストをご紹介します。

『ドライブ・マイ・カー』
監督:濱口竜介
脚本:濱口竜介、大江崇允
原作:村上春樹『ドライブ・マイ・カー』(短編小説集『女のいない男たち』所収)
音楽:石橋英子
公開:2021年8月20日

キャスト
家福悠介:西島秀俊
渡利みさき:三浦透子
家福音:霧島れいか
高槻耕史:岡田将生
イ・ユナ:パク・ユリム
コン・ユンス:ジン・デヨン
ジャニス・チャン:ソニア・ユアン
ペリー・ディゾン
アン・フィテ
柚原:安部聡子

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まとめ

この作品に出演している俳優の中では、西島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさん以外は、知らない方ばかりでした。

しかし、その私の知らない役者さんたちの演技が、これまた素晴らしかったのが、もう1つの『ドライブ・マイ・カー』の大きな感想です。

三浦透子さんの朴訥ながらも繊細な演技と、イ・ユナ役のパク・ユリムさんの難しい役どころの演技が特に目を引きました。

公園でのシーンで、パク・ユリムサンさんとジャニス・チャン役のソニア・ユアンサンとの実技演習をするシーンでは、おそらく本人たちさえも実際に「何か」を感じたのではないかといった、一種の「魔法」が下りた瞬間が垣間見えたように思います。

こういう、どこか役者たちのアドリブが生んだと思わせる役者魂みたいなものが、この作品の中には随所に顔を出し、鬼気迫りつつもピュアな空気感を作り出しているように感じました。

まだ観ていないという方は、ぜひ一度、観てみてください。できれば原作と一緒に。

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