航空業界はCA・GS・パイロットが注目されるもフライトの路線を開拓する人の話がスゴかった!
空を舞台に活躍する航空会社の仕事。
誰もが思い浮かべるのは、華やかなパイロットや客室乗務員(CA)、そして人気上昇中の空港カウンターやゲートで旅客のサービスや手続きを行うグラウンドスタッフ(GS)の姿では?
ですよね?
筆者も同類なのですけど、娘が修学旅行先で、スキーインストラクターの前職がスゴかったという話を詳しく聞いて、まだまだ世間知らずを痛感したと同時に、その内容が興味深かったので、ブログという形でシェアします。
その前職とは、空港路線の開拓というものです。
では早速、その舞台裏をお伝えします。
もくじ
路線開拓の仕事内容
完全に裏方です。
端的に言うと、例えば、羽田空港と地方の空港との間に、自社の飛行機を飛ばせば収益も上がるし地域への貢献も大きいという判断の元で、そこにフライト計画を盛り込むといった仕事です。
当然、国内だけでなく海外路線も含みます。
新設の空港はもちろん、既存の空港に自社のカウンターがない、つまりは初就航を目指す場合は、そこで働くスタッフの採用または異動から福利厚生まで、面倒を見るというのも業務に含まれます。
超激務じゃない?
しかも大きな予算を動かせるということでしたから、かなり責任の重い仕事ともいえます。
マーケティングと言えばいいのか、販路拡大というのか、実はよくわかっていません。
「路線開拓」は、記事を書く上で便宜的に用いただけですし、航空会社内でも呼称は異なる可能性があります。
CA・GS・パイロットについ、注目してしまいますが、このような仕事なしに航空会社は成り立たないです。
なぜ、想像できなかったのだろう・・・。
で、この話、スキーのリフトにたまたま乗り合わせた時に聞き出したというのですから、娘のコミュ力もすごい。
路線開拓のステップ
あくまでも想像にすぎません。
航空会社は運輸業で、旅客や貨物を国内外に運ぶサービスですから、まず、販路を増やすことが求められます。
その流れで販路拡大と置き換えて、必要なステップについて書いてみます。
聞いた話から、推測しているだけですので、もしも読まれている方が就活生ならば、直接、航空会社に問い合わせてくださいね。
市場調査と分析:潜在的な需要を見極める
第一歩は、市場調査と競合の分析だと考えます。
潜在的な旅客需要の調査
- 人口動態、経済状況、観光動向などを分析し、特定の地域間の潜在的な旅客需要を予測
- アンケート調査やインタビューなどを通じて、顧客のニーズや旅行動向を把握
競合分析
- 競合他社の路線ネットワーク、運航頻度、運賃などを分析し、自社の競争力を評価
- 競合他社の戦略や動向を把握し、自社の路線計画に反映
路線計画と収益予測:最適な路線を設計する
市場調査と競合分析の結果に基づいて、具体的な路線計画を策定、収益の予測というステップが、考えられるかなと。
路線ネットワークの設計
- 潜在的な需要や競合状況などを考慮し、最適な路線ネットワークを設計
- 既存の路線ネットワークとの接続性や相乗効果も考慮
運航計画の策定
- 運航頻度、運航時間、使用機材などを決定
- 空港の発着枠や施設の利用状況なども考慮
収益予測
- 需要予測や運賃設定などに基づいて、路線の収益性を予測
- 投資回収期間や収益性を評価し、路線の実現可能性を判断
空港や関係機関との交渉:実現に向けて調整する
路線計画がまとまったら、関係機関との交渉を行います。
空港との交渉
- 発着枠の確保、施設利用、費用負担などについて交渉
- 空港のインフラ整備や拡張計画などについても協議
関係機関との調整
- 国土交通省などの関係機関と協議し、必要な認可や許可を取得
- 航空協定や国際的な規制などについても考慮
販売戦略と広報活動:路線を成功に導く
路線の開設が決まったら、販売戦略と広報活動を展開します。
販売戦略の策定
- ターゲット顧客層に合わせた運賃設定や販売促進活動を実施
- 旅行会社やオンライン旅行代理店などと連携し、販売チャネルを拡大
広報活動
- プレスリリースや広告などを通じて、路線の開設を広く告知
- 地域住民や観光客などに向けて、路線の魅力を発信
路線開設後の評価と改善:常に最適な路線を目指して
路線開設後も、定期的に路線の評価と改善を行います。
搭乗率や収益の分析
- 実際の搭乗率や収益を分析し、当初の予測との差異を検証
- 必要に応じて、運航計画や運賃設定を見直し
顧客満足度の調査
- 顧客アンケートなどを通じて、顧客満足度を調査
- 顧客からのフィードバックを参考に、サービス改善や新たなサービスの開発
路線開拓に求められるスキル
航空会社の路線ネットワークを拡大し、会社の成長を牽引する「路線開拓」のイメージが伝われば幸いですが、一体どのようなスキルや経験が求められるのか?
これも推測でしかありませんが、路線開拓のプロフェッショナルとして活躍するために不可欠なスキルと経験について、挙げてみることにします。
【分析力】羅針盤
路線開拓の最初のステップは、市場調査と分析です。
- どの都市間に潜在的な旅客需要があるのか?
- 競合航空会社の状況は?
- 地域の経済状況や観光動向は?
これらの疑問や課題について、さまざまなデータを分析し、収益が見込めそうな有望な路線候補を見つけ出すためには、高度なデータ分析力が不可欠と考えます。
いわば、
- 市場調査データ、統計データの解釈能力
- 潜在的な需要や収益性を評価する力
- 多角的な視点でのデータ分析と解釈
については、求められるのかなと感じます。
【企画力・構想力】航路を描く
市場調査で有望な路線候補が見つかったら、次に必要なのは具体的な路線と事業計画をデザインする力です。
- 市場分析に基づいた現実的な路線計画の策定
- 綿密な収益予測と事業計画の根拠付け
- 空港の発着枠、競合状況、運航コスト、機材制約などを考慮に入れる広い視野
- 斬新な発想と戦略的な思考
航路設計図を描くように、詳細な事業計画を創造的に描き出す企画力・構想力は、路線開拓の中核とも言えるでしょう。
【交渉力・コミュニケーション能力】荒波を乗り越える
路線開拓は、社内外の多数の関係者との連携があってこそ実現します。
- 空港管理者(空港会社や国・地方自治体)との発着枠交渉、使用料とマーケティング協力に関する協議
- 航空当局(国土交通省など)への路線開設認可申請
- 社内の運航部門、客室部門、整備部門、販売部門などとの調整
- 地元自治体や観光協会などとの連携
円滑なコミュニケーションを基盤に、各関係者と信頼関係を築き、互いにウィンウィンとなる着地点を見つけ出す交渉力・コミュニケーション能力は、プロジェクトを成功に導くナビゲーションスキルです。
【航空業界に関する知識】空の世界を知る
航空業界は、専門用語と独特のビジネス慣習があると考えます。
路線開拓担当者には、業界の深い理解が不可欠です。
- 航空ビジネス、空港運営、航空法規など、航空業界全般に関する幅広い知識
- 収益管理、機材選定、ネットワーク戦略など、専門分野における知識
- 業界の最新トレンドや省エネ、環境問題に対するアンテナ (情報収集能力)
航空業界に関する豊富な知識 は、プロフェッショナリズムの証です。
業界の専門家として敬意を集め、効果的な路線開拓を実現するための強力な武器となります。
【語学力】世界と繋がる
国際線の路線開拓も希望するならば、語学力 は必須です。
- ビジネスレベルの英語力 (読み書き、会話)
- 担当地域に応じた外国語 (中国語、韓国語、フランス語 など) の習得
- 異文化理解と多様なバックグラウンドを持つ人々とのコミュニケーション能力
語学力は、グローバルな舞台で活躍するためのパスポートといえます。
グローバルな視点で路線ネットワークを拡大し、航空ビジネスのグローバル化に貢献するための重要なツールです。
【PCスキル】情報武装する
現代のビジネスシーンにおいて、PCスキルは基本的な能力です。
路線開拓業務でも、PCスキルは業務効率化と高度化に不可欠といえます。
- データ分析ツール (Excel など) の高度なスキル
- プレゼンテーション資料作成スキル (PowerPoint など)
- 文書作成スキル (Word など)
- 情報収集と発信のためのインターネットリテラシー
PCスキルは、情報武装のための鎧となります。
データを効果的に分析し、分かりやすく可視化し、スムーズに情報を伝達することで、業務を大幅にスピードアップできます。
即戦力として活躍するために
路線開拓は、高度な専門性が要求される職種です。
そのため、即戦力となる経験者が優遇される傾向があると考えると、採用初年度から、いきなりの配属は現実的ではない気がしますが、こればかりはわからないですね・・・。
即戦力として認められるには、
- 航空会社、空港、旅行会社など、航空業界での業務経験
- 営業、マーケティング、企画など、ビジネススキルを活かせる業務経験
- コンサルティング会社などでの分析、提案業務経験
- MBA (経営学修士) などの経営関連の学位
という観点から、同業他社からの転職が考えられます。
もちろん、未経験からチャレンジすることも不可能ではないとしたら、少なくとも関連知識やスキルを習得し、熱意をアピールすることが重要です。
まとめ
航空会社イコール、CA・GS・パイロットという固定観念に、いつの間にか支配されていました・・・。
物事の表面的な部分だけを見て、すべてを知ったような感覚を持ってはダメですね。
よく考えると、路線開拓のような仕事、必要不可欠なんですよね、運輸業としては。
経営の核となる部分ですから、まさに縁の下の力持ち、知る人ぞ知る職業だといえそうです。