心拍数120は危険な病気のサイン?脈が速くなる不整脈と考えられる頻脈・徐脈・期外収縮について
正常な心拍数は1分に60~100回とされています。正常な数値の範囲を下回ったり上回ったりした場合は、なにか病気が潜んでいるサインなのでしょうか。正常な脈拍と不整脈の見分け方や、心拍数120の場合に考えられる頻脈・徐脈・期外収縮などの病気についてお伝えします。
正常な脈拍と不整脈
安静時の大人の脈拍数は1分間に60~100回程度で、リズムも一定に保たれています。しかし、何らかの理由でこのリズムに乱れが見られる場合、それは不整脈と呼ばれます。
不整脈は頻脈・徐脈・期外収縮の3つに大別されています。
1分間に100回以上の脈を頻脈、50回未満の脈を徐脈、正常な脈の途中で不規則になるのを期外収縮といいます。
不整脈があると、動悸や息切れ、めまい、失神といった症状が現れることもありますが、中には全く自覚症状のない人もいるようです。
頻脈とは
頻脈とは、脈が不規則になる不整脈のうち、正常よりも脈が速くなる不整脈のことえす。
発熱時や貧血時などに、頻脈が現れる場合もあります。
脈が速くなりすぎると、心臓が効率的に血液を送り出すことができなくなります。そしてあまりに速くなりすぎてしまうと、心臓から全身へ血液を送れない状態になることがあります。
一般的には、1分間の脈拍が100回以上の場合に「頻脈」とみなされます。
120回を上回るような高度な頻脈の場合は、何かしらの病気が関係している可能性が考えられます。その場合は、専門医療機関での精密検査を受けることをおすすめします。
また、頻脈が起こる場合は「心房細動」と「心室細動」という、命にかかわる2つの病気の可能性も考えられます。
次に頻脈の際に考えられる「心房細動」と「心室細動」について、もう少し詳しく解説していきます。
頻脈の症状
頻脈の症状として、次のような症状があげられます。
- 動悸
- 息切れ
- 胸痛
- めまい
- 立ちくらみ
- 失神
- 痙攣をともなう失神
- 脈の乱れの自覚
脈が早く、上記の症状がある方は、すぐに診察を受けるようにしてください。
心房細動とは
通常、心臓は1分間に60~100回程度のリズムで動いていますが、これは右心房にある洞結節(どうけっせつ)という部位から出る規則的な電気信号によってコントロールされているためです。
しかし、複数の電気信号が心房の中を走り回り、心房が1分間に400~600回の速さで細かく震えるような動きを起こすことがあります。それが「心房細動」です。
心房細動が起こると、脈の乱れや動悸、めまいなどの症状が現れることがあります。ただ、これらの症状は半数程度の人にしか現れず、半数は自覚症状がないので気づきにくいそうです。
発見が遅れて慢性化してしまうと、血液が心房の中でよどみ、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。
この血栓が脳に運ばれ血管を詰まらせてしまうと、脳梗塞を引き起こします。
心房細動がある人は、心房細動がない人と比べて、約5倍も脳梗塞が起こる確率が高まります。
また、心臓の心室の収縮力が徐々に低下して心臓のポンプ機能が弱まってしまうため、心不全を引き起こす原因にもなります。
実際、心房細動がある人は心房細動がない人と比べて、心不全を起こす確率が約4倍も高まるといわれています。
心房細動は60歳代から急増し、国内には100万人以上の患者がいるとされています。
心室細動とは
心室細動とは、心室が細かく震える頻脈のことで、1分間に300回以上の速さで心室が不規則に震える状態のことをいいます。
この状態になると心室がポンプ機能を失うため、全身に血液供給が行えなくなります。心室細動が起こると数秒で意識を失い、また数分で呼吸が止まってしまいます。
血流が止まるため、脳や腎臓、肝臓などの重要臓器に障害をきたします。心室細動が起きたら速やかに治療を行わないと、短時間のうちに危険な状態に陥ってしまうのです。
心室細動は、すでに心筋梗塞や狭心症、心筋症、心不全などの心疾患を持つ人に主に発症します。
中には遺伝的要因で起こる人もいますので、家系内に40~50歳代で心臓が原因で突然死した人がいるという場合は、定期的に心臓の健康状態をチェックするようにしてください。
頻脈の原因
一般的に、頻脈を起こす原因として、次のようなものがあげられます。
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 心不全
- 虚血性心疾患
- 高血圧
- 糖尿病、
- 甲状腺疾患
- 疲労の蓄積
- ストレス
- 睡眠不足
- 飲酒
- 喫煙
また、心拍数が速く血圧が高いと、心疾患のリスクが高まるとされています。
心拍数だけでなく、普段から血圧にも注意し、心疾患の予防に努めてください。
まとめ
正常な脈拍数は、1分間に60~100回程度です。
1分間に100回以上の脈は「頻脈」とされ、心疾患に対する疑いが生じてきます。
特に脈拍数が120回を上回る場合は、「心房細動」や「心室細動」などの病気の可能性が生じてきます。
動悸や息切れ、めまい、失神などの症状がないか、注意してください。また、自覚症状のない場合でも、脈拍が120を超えるようでしたら、一度専門の医療機関にて検査を受けることをおすすめします。
不整脈の主な原因は加齢や遺伝的要素が大きく予防もしにくいものですが、リスクを下げるには、過労やストレス、運動不足、睡眠不足、喫煙など、生活習慣に気を配ることにより予防効果は高まります。
もしも不摂生を行っているという自覚があるのであれば、ここで自身の生活習慣を見直し、健康的な生活へと改善するよう心がけてください。