キレる老人が抱える高次脳機能障害とはどんな症状?原因や特徴 高次脳機能障害は治るの?

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街なかなどでキレる老人を見かけたことがある人もいるかも知れません。尋常でないキレかたをしている人は、そういった怒りっぽい性格なのではなく、ひょっとすると高次脳機能障害を起こしているのかもしれません。高次脳機能障害にはどんな症状が見られるのか、また原因や特徴、そして高次脳機能障害は治るのかといったことについてお伝えします。

キレる老人が抱える高次脳機能障害とは

時々キレる老人というのを見かけることがあります。なぜあんなにも激昂しているのだろうと、周囲の人も不思議に思うほど、当人は激しくキレていたりします。

傍から見ていると、「もういい大人なんだからさぁ…」なんて残念な気持ちになってしまいますが、実はこれ性格の問題ではなく脳の病気の場合があるのです。

その病気が「高次脳機能障害」というものです。

高次脳機能障害とは、脳の一部が損傷してしまい、思考や記憶、感情などの脳の機能に障害が起きるものです。

一見、外からは分かりにくいため、周囲の人からも理解されにくく、誤解を招いてしまいトラブルに見舞われることがあります。

ひょっとすると、電車の中でキレている老人も、高次脳機能障害を発症しているのかもしれません。

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高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害の症状としては、

  • 何度も同じ事を話す
  • 気が散ってしまい仕事などでミスがとても多くなる
  • 感情のコントロールがきかない

などのような症状が見られます。

場合によっては、日常生活にも大きな悪影響を与えてしまいます。

高次脳機能障害の原因

高次脳機能障害を発症する原因のおよそ8割が脳血管障害によるものです。

特に60歳以上となると、9割が脳血管障害により発症します。残りの1割は脳外傷によるものです。

脳外傷とは、交通事故や転倒などにより外傷性脳損傷を起こすことです。

また、脳卒中や脳炎、低酸素脳症などにより、脳が損傷を受けて高次脳機能障害を起こすこともあります。

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高次脳機能障害の特徴

高次脳機能障害の4大特徴が、

  • 注意障害
  • 記憶障害
  • 遂行機能障害
  • 社会的行動障害

です。

注意障害

注意障害として見られる症状としては、

  • 細かいところに意識が向かない
  • 1つのことに集中できない
  • 落ち着きがない
  • 複数のことを同時に行えない
  • 見落としが増える
  • 1つのことを始めたら他のことに気がまわらない

といったものです。

そのため仕事などではケアレスミスなどが頻発してしまいます。

記憶障害

記憶障害には、

  • 新しいことが覚えられない
  • 同じことを繰り返し聞く
  • 覚えたということすら忘れてしまう

といった症状があります。

職場などでは、覚えが悪い人、学習しない人などと思われてしまいます。

遂行機能障害

遂行機能障害とは、物事を計画通りに行えないことを指し、

  • 先を予測できない
  • 段取りが考えられない
  • 手順通りの作業ができない
  • 効率の良い作業ができない

といったことが起こります。

行動が行きあたり場あたりとなる傾向が強くなるため、ミスも増え計画性のない人と評価されてしまいます。

社会的行動障害

社会的行動障害には、

  • 後先考えずに思いつきで行動してしまう
  • その場の空気が読めない
  • イライラや怒りの感情をすぐに表に出してしまう
  • 感情を抑えられる我慢ができない

といった症状が見られます。

そのため、周囲からは行動が幼く見えてしまい、大人げないと思われてしまいます。

また、感情に左右されやすくなるため、気分が乗らないと仕事をしないなど、自分勝手な人だと思われてしまいます。

以上のような状況を招いてしまうがゆえに、生活や仕事において様々なトラブルや支障が生じ、主に対人関係において問題を起こしてしまうケースが増えてしまいます。

高次脳機能障害は治るのか?

では高次脳機能障害は治るのかということですが、一般的に高次脳機能が完全に治ることはないとされています。

しかし、発症後1年以内の時期であれば、リハビリにより著しい改善が見られるそうです。

その後は改善スピードが落ちてしまい、発症後2年を経過すると、ほぼ症状の改善は見込めなくなると言われています。

ただその後でも、適切な支援によっては症状が目立たなくなったり、症状があるものの日常生活や社会生活を穏やかに送ることができるようにもなるそうです。

まとめ

もしもキレている老人を見かけたら、その方は高次脳機能障害を発症しているのかもしれません。

家族などで高次脳機能障害の特徴的な症状が見られた場合は、速やかに病院にて検査を受けることをおすすめします。

高次脳機能障害は、発症から早期の適切なリハビリこそが、社会復帰への早道となります。

また、年を取ってやたらと頑固になったと言われているお父さんも、ひょっとしたら脳血管障害が起き、性格が変わってしまったように見えているのかもしれません。

周囲の人も含め気持ちよく暮らしていくためにも、異変に気づいたら一度診察を受け、適切な支援などを受けるよう努めてください。

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