労災保険のメリット制について メリット制の計算方法や継続事業・一括有期事業・単独有期事業ごとによる特徴

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労災保険のメリット制は、事業主の保険料の負担を平等にする仕組みです。労働災害を減らす努力をすれば、労災保険料を少なく抑えることができます。ここでは、メリット制の計算方法や、事業ごとのメリット製の特徴などについて説明します。

メリット制とは

メリット制とは、労災保険料を算出する際に必要な労災保険率を決定するための仕組みです。メリット性により、事業場での労働災害の発生状況に応じ、保険率が調整されます。

業種によって災害の危険性は異なるため、労災保険の割合は事業の種類によって決められています。同じ業種であっても事業場の環境や災害防止のための取り組みなどにより、労災保険料が公平になるようメリット性によって調整されます。

これにより、労働災害の発生が少ない事業場では、労災保険料は割安になりますが、反対に発生が多ければ保険料は割高となります。

メリット制は事業ごとに災害リスクが考慮され、継続事業・一括有期事業・単独有期事業によって分類されます。

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メリット制の計算方法

メリット制が適用された労災保険料率「メリット料率」の計算では、最初に「メリット収支率」を求める必要があります。

メリット収支率は期間中の保険給付を、期間中に支払った保険料で割った数値をパーセントで表したものです。

メリット収支率を算出したら、厚生労働省が公開している「増減表」で「メリット増減率」を確認します。

メリット増減率を下記の式に当てはめることで、メリット料率は算出できます。

(業種ごとの労災保険率ー非業務災害率)×(100+メリット増減率)÷100+非業務災害率

※現在、非業務災害率は全ての業種で一律0.6/1000

継続事業のメリット制

継続事業とは、事業期間が設定されていない事業のことです。ほとんどの企業が継続事業に該当します。

保険料率は40%の範囲で増減されます。

継続事業の要件

継続事業の要件は、次のとおりです。

  • 労災保険に加入して3年以上が経過していること
  • 100人以上を雇用しているか、20人以上100人未満を雇用していて災害度係数が0.4以上であること

※雇用人数は3年間の平均人数
※災害度係数は雇用している人数に、業種ごとの労働保険率から非業務災害率を引いたものを掛けた値

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一括有期事業のメリット制

一括有期事業には、建設事業や立木の伐採事業が該当し、複数の工事や伐採を年間で一括して1つの事業として行うものです。

一括有期事業は事業規模に応じて適用される増減表が異なり、事業規模が小さい場合に増減幅が30%になります。

一括有期事業の要件

一括有期事業の要件は、次のとおりです。

  • 労災保険に加入して3年以上が経過していること
  • 過去3年間の各年度の保険料が40万円以上

単独有期事業のメリット制

単独有期事業とは、事業の開始と終了が予定されている大規模な工事を行う事業のことです。ビルやトンネルの工事などに単独有期事業のメリット制が多く適用されます。

単独有期事業のメリット制は、事業を開始する際に概算保険料を申告し、事業が終了してから精算を行います。

メリット収支率の計算期間は、通常事業開始から事業終了の3か月後となりますが、それまでに保険給付の労災者がいる場合は、事業開始から事業終了の9か月後を計算期間とします。

単独有期事業の要件

単独有期事業の要件は、下記のいずれかの条件に該当する場合です。

  • 確定保険料の額が40万円以上
  • 建設事業で請負金額が1億1千万円(税抜)以上
  • 立木の伐採事業で素材の生産量が1,000立方メートル以上

まとめ

事業主にとってメリット制の長所は、労働災害の発生が少ない事業場では、労災保険料の負担が軽くなる点でしょう。

なにより、日々の業務の中で労働災害が発生しないよう、事業場の安全管理に努めることで、労災保険料の負担は軽減することができます。

安全対策への取り組みは、日々しっかりと心がけたいところです。

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