転職市場のミドル世代・シニア世代って具体的には何歳から何歳まで?まだ転職チャンスある?

ミドル世代・シニア世代の転職イメージ

転職市場で用いられる「ミドル世代」「シニア世代」という言葉。

ぶっちゃけ、何歳から何歳までのこと?って思います。

大抵、どことなくふんわりとミドル世代は40代以降かな、シニア世代は60代からなのかなというイメージを持つだけで、そこで終わりますよね。

モヤモやしません?

ということで今回は、転職市場における「ミドル世代」「シニア世代」が、それぞれ何歳から何歳までなのかという素朴な疑問と、その世代の転職事情などについてお伝えします。

筆者も気になってるテーマなので。

ミドル世代とシニア世代の具体的な年齢幅

早速、ミドル世代とシニア世代の年齢幅について書きますけど、法的根拠をチェックしてみました。

キーワードは、「高年齢者」「中高年齢者」「中高年齢失業者」で、それぞれ具体的な年齢幅などを記しています。

ここから、なんとなくミドル世代とシニア世代の年齢幅が見えてきました。

高年齢者

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、高齢者雇用安定法)の第二条第一項において、

この法律において「高年齢者」とは、厚生労働省令で定める年齢以上の者をいう。

と記されています。

その「厚生労働省令で定める年齢以上の者」というのは、高齢者雇用安定法施行規則の第一条で、

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号。以下「法」という。)第二条第一項の厚生労働省令で定める年齢は、五十五歳とする。

と明らかにしていますので、55歳以上が高年齢者ということになります。

マジかよ、ちょうど筆者の年齢じゃんか・・・。

高年齢者なのね、いつまでも若いと思うのは、おこがましいというか、恥ずかしいことなのかもね・・・。

だけど、気持ちは若くてもいいじゃないか!

いつでも心は、ガラスの十代(©光GENJI)なのさ!

中高年齢者

高年齢者と同様の形で、中高年齢者は45歳になっています。

根拠は、高齢者雇用安定法第二条第ニ項第一号と高齢者雇用安定法施行規則第二条です。

法律名がなげーよ・・・。

ミドル世代とシニア世代

ここでの解釈としては、

  • ミドル世代:45歳以上55歳以下
  • シニア世代:55歳以上

というのがコアとなる層なのかなと考えます。

転職サイトやキャリアをサポートする企業によって、たぶん、違いはあるでしょうけど、大体、納得していただけるのではないかなと考えます。

ちなみに30代から44歳までは、ヤングミドルとか次世代ミドルとか、そんな言い回しになるんですかね。

それより若い層が、あのZ世代に該当すると言えます。

キャリアの不安が増しがちなミドル・シニア世代

さて、ミドル・シニア世代ともなると、この先のキャリアを含めたライフスタイルや人生に、漠然とした不安を感じやすくなるころです。

かつては当たり前だった終身雇用という言葉も今は昔で、テクノロジーの進化と同様に職場環境も目まぐるしく変わることも、珍しいことではありません。

昨日まで通用したスキルが明日には陳腐化するかもしれない・・・。

というのは考えすぎだとしても、若手の台頭や早期退職というリストラの呼びかけ、経営に絡むことなく定年を迎えるといったことが見えてくると、5年後、10年後の自分の姿は大体想像が付きます。

給与や役職に見合った評価が得られていたとしても、伸びしろに関しては頭打ちなら、結構、つらいものがあるのかなと。

転職の意欲はあっても、

  • 若手優遇を謳う求人ばかりが目に飛び込んでくる
  • 自身が持てない
  • 新しい環境に飛び込むことへの不安
  • 自分を必要としてくれる企業があるのかという疑問

など、ミドル・シニア世代が抱えるキャリアの悩みは、深いものがあるといえます。

ミドル・シニア世代の転職市場:厳しい現実と希望の光

ミドル・シニア世代が転職市場に足を踏み入れる際、まず直面するのは、年齢という現実がもたらす特有の厳しさです。

しかし、その厳しい状況の中であっても、希望の光も存在していることが見えてきます。

厳しい現実:データが示す年齢の壁

転職市場全体で見ると、年齢が上がるにつれて転職の成功率は低下する傾向にあります。

厚生労働省の調査データなどを見ても、年齢層が高くなるほど、転職決定率が低下し、転職活動期間が長期化する傾向が明確に示されています。

厚生労働省の令和5年雇用動向調査結果の概要から、転職入職者の状況を見ると、45歳から54歳、いわゆるミドル・シニア世代の転職入職率は、なんと5%台。

いやぁ、厳しい・・・。

一般的に、企業が中途採用を行う際、特にミドル層以上の年齢層に対しては、

  • 体力面・健康面への懸念: 長時間の勤務や、変化の激しい環境への適応力に対する不安視
  • 新しい技術や知識の習得への懸念: 最新のITスキルや業界トレンドへのキャッチアップに対する疑問視
  • 組織文化への適応への懸念: 既存の組織文化や若い社員との協調性に対する不安視
  • 若年層と比較した場合のコスト: 同等のスキルを持つ若手人材と比較した場合、人件費が高くなる可能性

といった点を懸念材料として抱く傾向があります。

これらの懸念が、書類選考や面接選考の段階で年齢によるスクリーニングとして表れ、結果的に年齢の高い転職希望者にとっては不利な状況を生み出している側面は否定できません。

また、求人情報の絶対数においても、ミドル・シニア世代をターゲットとした求人は、若年層向けの求人に比べて少ないのが現状です。

特に、管理職層や専門職層以外の一般職においては、年齢制限を設けている、あるいは年齢よりもポテンシャルや将来性を重視する企業が多いことも、ミドル・シニア世代の転職活動を厳しくする要因の一つといえます。

希望の光:経験と実績へのニーズ、政策の後押し

しかしながら、ミドル・シニア世代の転職市場は、決して暗い状況ではありません。

少子高齢化が深刻化する日本において、労働力不足は多くの企業にとって喫緊の課題となっており、特に、高度な専門スキルやマネジメント経験を持つ人材は、どの企業も喉から手が出るほど欲しい存在です。

ミドル・シニア世代はその貴重な人材の宝庫と言えます。

企業側の意識も変化しつつあり、

  • 即戦力採用へのシフト
    人材育成に時間をかける余裕がなく、経験豊富な人材を即戦力として活用したいというニーズの高まり
  • 特定分野における人材不足
    ITエンジニア、DX推進、AIなど、特定の専門分野においては、年齢に関わらず経験者が求められる状況
  • 多様な働き方の推進
    フレックスタイム制度、リモートワーク、短時間勤務など、高齢者も働きやすい柔軟な勤務形態導入企業の増加

といった動きが顕著になっています。

さらに、政府も高年齢者雇用安定法を改正し、70歳までの就業機会確保を企業の努力義務とするなど、高齢者の就労を積極的に後押しする政策を推進中です。

再就職支援セミナーや職業訓練給付金制度など、高齢者の転職活動を支援する公的な制度も充実してきています。

実際に、年齢不問、あるいはミドル・シニア歓迎を明示する求人も、以前に比べて増加傾向で、経験豊富なベテラン人材を積極的に採用し、その知識やスキルを組織の成長に活かそうとする企業も確実に存在しています。

市場の二極化:求められる人材、そうでない人材
重要な点は、ミドル・シニア世代の転職市場は、二極化が進んでいるということです。

市場価値が高いとされる人材

  • 高度な専門スキル・経験
    特定の分野における深い専門知識、実績、資格を持つ人材 (例: IT、医療、金融、法務、技術開発など)
  • マネジメント経験
    組織マネジメント、プロジェクトマネジメント、人材育成経験豊富な人材
  • ポータブルスキル
    コミュニケーション能力、問題解決能力、リーダーシップ、交渉力など、業種・職種を問わず汎用的に活用できる能力
  • 最新の知識・スキル
    DX関連スキル、グローバルビジネススキル、変化への適応力など、 さまざまなビジネス環境で求められるスキル

市場価値が低いとされる人材

  • 特定の業界・職種に特化した経験のみ
    汎用性の低いスキル、特定の企業文化に依存した経験
  • スキル・経験の陳腐化
    長年アップデートされていない知識、時代遅れのスキル
  • 受け身の姿勢
    指示待ち、変化を嫌う、新しいことに挑戦しない
  • 健康状態に不安がある
    長期的に働くことが難しい、体力的に不安がある

ミドル・シニア世代の転職における圧倒的な強みとは

転職市場において、ミドル・シニア世代は年齢という側面で厳しい現実に直面する一方、若手には決して真似できない、圧倒的な「強み」を持っています。

それは、長年にわたる実務経験を通して蓄積された専門知識と、多岐にわたる業務経験から得られた実践的な知恵です。

単に年数を重ねただけでなく、様々なプロジェクト、困難な課題、成功と失敗の経験を通して、教科書では決して学ぶことのできない、生きた知識を身につけています。

これこそ、長年のキャリアで培ってきた「経験」という名の無形の財産です。

その「経験」が具体的にどのような強みとなり、転職活動において武器となるのかについて考えてみました。

専門分野における深い知識と洞察力

特定の業界、職種において長年研鑽を積んできたミドル・シニア世代は、その分野における深い知識と、物事の本質を見抜く洞察力を持っています。

市場動向、業界特有の商習慣、競合企業の動向など、表面的な情報だけでは捉えきれない、深層的な知識は、企業にとって非常に貴重です。

多角的な視点と応用力

多様なプロジェクトや職務を経験してきたことで、物事を多角的に捉え、複雑な状況を理解する能力に長けています。

また、過去の経験を応用し、未知の課題に対しても柔軟に対応できる力は、変化の激しい現代ビジネスにおいて、非常に価値ある資産と言えます。

問題解決能力と意思決定力

数々の修羅場を乗り越えてきた経験は、問題の本質を見抜き、迅速かつ的確な意思決定を行う能力を鍛え上げています。

緊急時や予測不能な事態においても、冷静沈着に対処し、組織を正しい方向へと導く力は、経験豊富なミドル・シニア世代ならではの強みです。

コミュニケーション能力

社内外の関係者との円滑なコミュニケーションは、ビジネスを進めるための基礎となる能力です。

ミドル・シニア世代は、年齢や役職、立場が異なる多様な人々とコミュニケーションを築き、信頼関係を構築する能力に長けています。

傾聴力、共感力、説明力、交渉力など、多岐にわたるコミュニケーションスキルは、組織を内外で機能させる上で欠かせません。

リーダーシップとマネジメント能力

チームをまとめ、目標達成に向けて牽引するリーダーシップ、組織を活性化・機能させるマネジメント能力は、経験豊富なミドル・シニア世代ならではの強みです。

人材育成、チームビルディング、プロジェクト推進、組織運営など、多岐にわたるマネジメントスキルは、組織の中心として活躍する上で不可欠です。

まとめ

変わりゆく転職市場において、ミドル・シニア世代が直面する現実は決して容易ではありません。

しかし、長年のキャリアで培われた経験は、何物にも代えがたい強力な武器となります。

専門知識、ビジネススキル、人脈、プロフェッショナリズムは、あらゆる企業にとって貴重な資産です。

年齢を重ねることは、キャリアの終焉ではなく、新たなステージへのはじまりとも捉えることができます。

過去の成功体験を遺産とするのではなく、自信の礎に変えて、強みを活かした戦略的な転職活動を行うことで、セカンドキャリアを構築することが期待できます。

出典・参照

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