令和4年度国土交通省税制改正概要を解説!住宅ローン減税は今後どうなるのか?
実は昨年の12月に、令和4年度税制改正の大綱が閣議決定されていたのは、ご存知だったでしょうか。
まあり日常会話で出ないですからね、税制改正の話題って(汗)
しかも反応良くないだろうし・・・。
ところが個人の生活に関わることが多いので、さまざまな改正案件の中から、独自にピックアップして解説したいと思います。
今回は、住宅ローン減税です。
適用期限が2025年(R7年)まで4年間延長となったので、マイホームゲットの予定がある人はチェケラ!ということで新築あるいは新規購入に関連することをメインにお伝えします
もくじ
住宅ローン減税のしくみ
住宅ローン減税は、住宅ローンの返済中の方を対象に、一定の条件(年収、残高など)をクリアした場合に所得税の負担を軽減する制度です。
年末の融資残高、つまり住宅ローンの未払いの金額に応じて、個人で所得税額の節税額は変わりますが、例えば、年末の住宅ローン残高が2,000万円あるとしたら、
2,000万円 × 1.0% = 20万円
つまり20万円を所得税から差し引きます。
所得税で差し引きできない場合は住民税から差し引きします。
このような節税の特典が10年間も続くのですよ。
住宅ローンでマイホームを新築または購入した人だけの特典ですが、これを不公平だと、とやかく言う人のために政府が用意したのは「投資型減税」です。
自己資金でマイホームの新築または購入をした方に向けて、所得税を控除するしくみになっています。
大体、不公平って、どんな言い掛かりやねんっ!て個人的には思いますけどね。
税制改正による変更部分
さて、本題の税制改正で変更になった部分ですけど、住宅ローン減税については、相対的に特典の魅力が下がっています。
下がってはいますが、やはりオイシイ特典であることは間違いありません。
ただし省エネ性能に優れた住宅の方が、今後はもっとオイシイのではないかというニオイのする改正内容ではありました。
変更の概要としては、
- 税率(控除率)の引き下げ
- 減税される期間の延長
- 借入限度額の縮小を含めた大幅な変更
- 所得制限(上限)の引き下げ
- 床面積要件の拡大(緩和)
です。
パッと読んでメリットデメリットがわからないでしょ?
ひとつずつ整理して参りますが、下2つは割愛します。
税率(控除率)の引き下げ
これは痛い・・・。
改正前の税率(控除率)は1%だったのに対して、今回の改正では、0.7%にダウンします。
前述した例では20万円から17万円と3万円も下がるわけですが、たった3万円では済まないのです。
後に続く変更点を先に説明しないと、どれだけ痛いか、具体性を伝えられないので、とりあえず先に進めますね。
ここでのポイントは、控除率が1%から0.7%に下がったということです。
減税される期間の延長
改正前は10年間でしたが、控除率が引き下げとなるので、その分をカバーするわけじゃないでしょうけど、減税される期間が13年間と3年延びました。
この件についても、パッと読むと3年も延びたので、一見お得な感じはしますが・・・。
なんというか数字の妙と言いますか、複雑怪奇な税制だからこそできるトリックとでも言いましょうか、ともかく、ウェーイ!!と喜ぶほどではないこと、後になってわかると思います。
では次です。
借入限度額の住宅性能別細分化
借入限度額内で控除率が計算されるのですが、この用語の意味を説明しておきます。
改正前の借入限度額は、どのような仕様の住宅でも4,000万円でした。
仮に、年末に3,000万円の住宅ローンが残っていると、全額が控除の計算の対象になりますが、これが5,000万円も残っていたとすると、4,000万円までしか計算の対象にならないというのが限度額の意味です。
よろしいですかね?
この借入限度額が、今回の改正では住宅の性能によって、以下のように変わります。
- 長期優良住宅・低炭素住宅:5,000万円(4,500万円)
- ZEH水準省エネ住宅:4,500万円(3,500万円)
- 省エネ基準適合住宅:4,000万円(3,000万円)
- その他の住宅:3,000万円(0円)
カッコ内は2024年(R6年)から適用となる借入限度額です
えーっと注意して欲しいのは「その他の住宅」でゼロになってますが、入力ミスでも何でありません。
ゼロです・・・。
限度額が青天井という意味ではなく、はい、減税の対象じゃないことを意味します。
適用を受けるチャンスはあるにはありますが、のちほど総括するので、先にいきますね。
省エネ性能が高い住宅に優遇傾向
何と言いますか、姑の嫌がらせのような印象を受けたぐらい、はっきりとしたメッセージ性が見えますよね。
確かに、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするというカーボンニュートラルを宣言しているため、省エネ性能の高い住宅を促進する宿命があります。
だがしかし住宅性能を高くするということは、それなりの費用もかかるわけで、それを配慮しての住宅ローン減税ではありますが、減税の効果は実際にシミュレーションしなければわかりません。
ゆえに、まずマイホームを検討するなら、
- 自己資金を含めた資金計画
- 求める住宅の省エネ性能レベル
- 費用負担と節税効果の確認
という3点を重視すると良いかもしれません。
ハウスメーカーの動向
ハウスメーカーの中には自社の標準住宅の仕様を、省エネ基準適合住宅としてラインナップしはじめています。
何もない一般住宅は、下手すると住宅ローン減税の適用がなくなるわけですから、売り物としてはマズイですからね。
仮に何もない一般住宅でも、2023年(R5年)年末までに建築確認を受ける住宅ならば、限度額を2,000万円として10年間の節税は適用されますが、そのためにバタバタ購入するなんて本末転倒でしょ。
格安住宅が格安ではなくなる日も近いのかもしれません。
まとめ
「令和4年度国土交通省税制改正概要を解説!住宅ローン減税は今後どうなるのか?」というテーマで、FPと宅建士のどちらもペーパードライバーな筆者がお伝えしました。
ぶっちゃけ、長期優良住宅とか低炭素住宅とか、カネかかるんですよね(汗)
認定されるためには、省エネ設備はもちろん、部材レベルで使わなければならい、あるいは施工しなければならないとかありますから、相対的にコストは上がります。
そのコストアップした分を節税がカバーできるかどうかは、シミュレーションしなければわかりませんので、ぜひ、不動産業者やハウスメーカーの協力のもとでやってみてくださいね。
いやー、家買うの大変・・・。