起立性貧血と食事について 起立性調節障害の症状があるときに摂取したい栄養素・控えたい食品
起立性調節障害は、立ち上がった際にめまいやふらつき、失神など、一般に「貧血」と呼ばれる症状が起こります。また、朝起きることができない・食欲が出ないといった自律神経症状が現れることも。小学生の約5%、中学生の約10%に起立性調節障害を抱える児童が存在するといわれています。
症状を改善させるには、栄養面でのサポートが大切とされています。ここでは起立性調節障害の場合の摂取すべき栄養素や、反対に控えたい栄養素など、症状改善に関する食事について解説していきます。
もくじ
起立性調節障害の方が摂取したい栄養素
起立性調節障害の症状を改善するたには、バランス良く栄養素を摂取することが何よりも大切となります。
症状を改善するような特定の栄養素があるわけではありませんが、起立性調節障害と密接に関わっている、特に摂取したい栄養素として、次のようなものがあげられます。
摂取したい栄養素:タンパク質
まず摂取したい栄養素の1つ目がタンパク質です。
タンパク質は、人間の皮膚や筋肉・内臓・血液・骨・歯・爪・髪の毛などを作るうえでの重要な栄養素です。
特に成長期の子供の場合、多量のタンパク質を必要とします。しっかりと食事からタンパク質を摂取しないと、すぐにタンパク質不足に陥ります。
そしてタンパク質が不足すると、体に不調が出やすくなります。筋肉量の低下やホルモンバランスの乱れ、神経伝達物質の生成低下による精神的不安定など、起立性調節障害の症状にも悪影響を及ぼします。
体重あたりのタンパク質必要量は、成長期では大人よりも多くのタンパク質を必要とします。その必要量は、次のとおりです。
成人:体重×1.0g~1.5g
成長期:体重×1.5g~2.0g
そのため、次のような点を意識して、肉・魚・卵・豆、豆製品などから、積極的にタンパク質を摂取するようにしてください。
- 肉・魚・卵などを、毎食1品か2品食べる
- おやつからもタンパク質をとる
- よく噛んで食べる
摂取したい栄養素:ミネラル
摂取したい栄養素の2つ目が、ミネラルになります。
成長期に特に必要なミネラルは、鉄・亜鉛・マグネシウムです。
特に鉄は酸素を運ぶ赤血球の原料の1つであり、鉄が不足すると貧血を起こしやすくなります。
起立性調節障害の症状は貧血症状と似ており、鉄不足が原因で症状が重くなっている場合もあります。
また鉄には、植物性の食品に含まれる「非ヘム鉄」と、赤身の肉に多く含まれる「ヘム鉄」とがありますが、非ヘム鉄は吸収率があまり良くないので、レバーやマグロなどのヘム鉄を豊富に含む食品から積極的に鉄を摂取するようにしましょう。
亜鉛やマグネシウムもタンパク質に多く含まれています。丸ごと食べられる小魚や小エビなどがおすすめです。
摂取したい栄養素:ビタミン
摂取したい栄養素の3つ目は、ビタミンです。
ビタミンは身体の調子を整えるうえで、とても大切な栄養素です。
ビタミンが不足すると精神的に不安定になったり、やる気が出なくなります。ビタミン不足は起立性調節障害の症状とよく似た症状が現れることがあります。
ビタミンの中でも特に意識的に摂取したいのがビタミンB群です。
ビタミンB群を多く含む食品には、豚肉や大豆・魚貝類などがあげられます。
起立性調節障害の症状が出ているときに控えたい栄養素
起立性調節障害の症状が出ている時に控えたい栄養素は、何と言っても糖質です。
糖質の多い食べ物は血糖値を上げ、血糖をコントロールする自律神経に悪影響を与えます。
起立性調節障害は自律神経のバランスの崩れが原因です。そのため糖質の多い食事は症状を悪化させる原因となるのです。
主食としてのお米などの糖質は大きく制限する必要はありませんが、3回の食事をバランスよく摂ることを重要となります。
特に食事以外で摂取する甘いお菓子などは、極力控えるようにしたいところです。
起立性調節障害に良いとされる食事
起立性調節障害を改善するには、朝・昼・晩の3食を決まった時間にしっかり食べることが大切です。
食事の時間は毎回一定にし、体内リズムを整えることで、起立性調節障害のポイントとなる自律神経を整えていきます。
また、一汁三菜を意識して栄養に偏りが出ないような食事を心がけ、冷たいものやジュース、お菓子などは、できるだけ控えるようにしましょう。
まとめ
起立性調節障害は自律神経の調節の乱れによって起こります。 自律神経活動には1日のリズムがあり、早朝は交感神経が活性化し、夜は副交感神経活動が高まり身体を休養させる、といったサイクルを持っています。
しかし、起立性調節障害が起きると、午前中に交感神経が活性化せず、5~6時間以上も後ろにずれ込んで交感神経が活発化してきます。そのため、朝は起きれない、頭がふらふらするといった症状が現れるのです。
起立性調節障害の症状を改善するには、規則正しい生活と、栄養バランスの取れた十分な食事です。
食事ではたんぱく質・ミネラル・ビタミンなどをしっかりとることと、甘いもの・糖質をとりすぎないようにすることです。
また、朝・昼・晩の3食を決まった時間に食べる、夕食後3~4時間後には布団に入る、毎日30分程度の散歩をするなど、生活習慣を整えることもとても重要となります。