日本初の「給与のデジタル払い」が9月25日スタートしたばかり!想定されるメリット・デメリットは?
2024年9月25日は、日本で初めてPayPayによる「給与のデジタル払い」が正式にスタートしまし記念の日です。
全ての利用者が対象ではなく、ソフトバンクグループの希望者のみで、ある意味、テストマーケティングを含めているような印象です。
仮に今後、全てのキャッシュレス決済利用者が、給与のデジタル払いを利用可能となった場合、そのメリットやデメリットは、何が考えられるでしょうか。
もくじ
PayPayの現状
先陣を切ったPayPayですが、現状では、
- 給与のうち20万円を上限とする
- 残りは銀行口座
ということだけしか情報がありません。
PayPayだけでなく、今後はau PAYと楽天ペイも当局に申請中です。
給与デジタル払いで想定されるメリット
給与のデジタル払いは、企業、従業員、そして社会全体にさまざまななメリットをもたらすと予想しています。
あくまでも独断ではありますが、それぞれの立場から主なメリットについて、言及してみます。
企業側のメリット
- 事務処理の効率化
給与計算や振込手続きの自動化が可能になり、人事部門の業務負担が軽減されます。
ペーパーレス化により、給与明細の印刷・配布コストが削減されます。 - コスト削減
銀行振込手数料の削減が期待できます。
現金取り扱いに関するセキュリティコストが低減します。 - 従業員データの詳細な分析
給与関連データの収集と分析が容易になり、より効果的な人事戦略の立案に活用できます。
従業員側のメリット
- 即時アクセス
給与日に即座に資金にアクセスできて、緊急の出費にも対応しやすくなります。
銀行の営業時間に縛られず、24時間いつでも利用できます。 - 資金管理の容易さ
スマートフォンアプリなどで簡単に残高確認や利用履歴の確認ができます。
予算管理や家計簿アプリとの連携により、より効率的な家計管理が可能になります。 - 多様な利用方法
オンラインショッピングや電子マネー対応店舗での支払いがスムーズになります。
家族や友人への送金が容易になります。 - 特典やキャッシュバック
デジタルマネーの利用に応じたポイント還元や特典が受けられる可能性があります。
社会全体へのメリット
- キャッシュレス化の促進
現金取り扱いの減少により、社会全体の取引コストが低減します。
感染症対策としての非接触決済の普及にも貢献します。 - 経済の透明性向上
デジタル取引の増加により、経済活動の可視化が進み、脱税や不正の防止に寄与します。 - イノベーションの促進
フィンテック企業の参入機会が増え、新しい金融サービスの開発が加速する可能性があります。
給与のデジタル払いは、このように多岐にわたるメリットを社会にもたらす可能性を秘めています。
ただし、これらのメリットを最大限に活かすためには、適切な制度設計と利用者の理解が不可欠です。
給与デジタル払いの課題とデメリット
給与のデジタル払いには多くのメリットがある一方で、いくつかの重要な課題やデメリットも存在が考えられます。
これも独断ではありますが、言及してみることにします。
セキュリティとプライバシーの懸念
- データ漏洩のリスク
給与情報や個人情報がデジタル化されることで、サイバー攻撃のターゲットになる可能性が高まります。
大規模なデータ漏洩が発生した場合、従業員のプライバシーが深刻に侵害される恐れがあります。 - 不正アクセスの危険性
アカウントの乗っ取りや不正利用のリスクが増大します。
従業員の認証情報(パスワードなど)の管理が重要な課題となります。 - 監視の懸念
雇用主やスタッフが給与使用状況を把握できるのではないかという疑念が生じる可能性があります。
プライバシー保護と企業の利益のバランスをどう取るかが課題となります。
デジタルリテラシーの問題
- 高齢者や技術に不慣れな従業員の困難
スマートフォンやデジタル決済に不慣れな従業員にとっては、新システムへの適応が困難な場合があります。
特に高齢の従業員や技術に苦手意識を持つ人々への配慮が必要です。 - 教育・トレーニングの必要性
企業は従業員に対して、新システムの使用方法や安全な利用に関する教育を提供する必要があります。
そのため、企業側の教育関連の負担が、一時的に増加する可能性があります。 - デジタル格差の拡大
デジタルスキルの有無による給与管理や金融サービスへのアクセスの格差が生じる可能性があります。
銀行システムとの調整や移行期の混乱
- 既存の銀行システムとの互換性
従来の銀行口座と新しいデジタル払いシステムとの連携が課題となります。
銀行側のシステム更新や対応が必要となる可能性があります。 - 二重管理の煩雑さ
振込での支払い方法とデジタル払いの両方を管理する必要があり、事務負担が一時的に増加する可能性があります。
その他の潜在的な問題
- システム障害のリスク
デジタルプラットフォームの障害時に、給与へのアクセスができなくなるリスクがあります。
バックアップシステムや緊急時の対応策の整備が必要です。 - 手数料の問題
デジタルマネーから現金への換金や他の口座への送金時に手数料が発生する可能性があります。
これらの手数料負担をどう扱うかが課題となります。
給与のデジタル払いの導入には、これらの課題やデメリットを十分に考慮し、適切な対策を講じていく必要がありそうです。
企業、従業員、そして規制当局が協力して、安全で公平なシステムを構築していくことが重要です。
今後の展望
最後に、デジタル給与払いが日本の労働環境に与える影響について、エラそうに語ってみます・・・。
企業の動向
先進的な企業は、もうしばらく時間を要することになると考えますが、率先して導入を始める気がします。
おそらく、ソフトバンクグループの次は、KDDIと楽天グループになるでしょう。
問題は中小企業で、経理部門の人手不足解消に繋がるのか、業務効率は良くなるのか、多分、未知数なのではないかと考えます。
従業員の意見が反映されやすい職場なら、慎重な導入になるでしょうが、ワンマンな会社だと、面倒くさいから何もしない、なんてことも?
どの道、導入コストや従業員の理解促進が課題かなという印象です。
年齢層で反応は異なりそう
これ、キャッシュレス決済の利用頻度が、そのまま給与デジタル払いの利用と比例する気がします。
今の時点では、現金払いが必要なケースって、かなり多いですし、現金こそ信用と考えている世代もあるますからね・・・。
まず、若年層を中心に、デジタル給与払いに対しては、前向きな反応があると見ています。
一方、中高年層では、従来の銀行振込を好む傾向が強そうです。
さらに独身と既婚では、サイフの意味が違ってきますからね。
ただし、会社に所属しないフリーランスや個人事業主は、報酬次第ではデジタル払いのほうが都合が良い可能性があります。
まあ、振込手数料とか、間接的な負担の金額次第ですけどね・・・。
まとめ
デジタル給与払いは、個人的には「やっとか」という印象です。
IT関連については先進国とは言えないなんて、揶揄されつつある日本ですが、それは国が絡んだ技術だけの話のような感じです。
マイナンバーカードなんて、ちっとも役に立ってないのが、その証左。
保険証と免許証に関しては、躍起になって何とか面目だけは保とうとしている姿勢が見えて、ニーズなんて全く無視。
そもそも、お年寄りがデジものに付いていけないという、大きな問題もネックですけどね。
なんだか、混迷する未来像しか見えてこないですが・・・。