上腕骨近位端骨折とは 手術方法や人工骨頭置換術・リハビリについて 高齢者の四大骨折

上腕骨近位端骨折とは、どのような骨折のことでしょうか。また手術方法や入院期間、リハビリテーション期間はどれくらい掛かるのでしょう。上腕骨近位端骨折の人工骨頭置換術は、どのような場合に行われるのでしょうか。高齢者の四大骨折と共に解説します。

上腕骨近位端骨折とは

上腕骨近位端骨折とは、肩の関節の周辺の骨折のことです。肩を地面に強く打ちつけた場合などに、上腕骨近位端を骨折することが多くあります。

上腕骨近位端骨折は、高齢者の代表的な四大骨折の1つでもあります。

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上腕骨近位端骨折の手術方法

上腕骨近位端骨折の手術方法は、骨折の転位があるかどうかによって変わります。

骨折の転位とは、折れた骨の位置が本来の位置からずれた状態にあることを意味します。

転位のない骨折の場合は、保存的治療となります。三角布などで固定し、バストバンドなどで体幹にも固定をします。要は骨がズレて動かないようにする措置です。

転位のない骨折の場合は手術となります。手術は骨折部の転位の程度により手術方法が変わってきます。

手術方法は、主に、

  • 髄内釘固定法
  • プレート固定法

の2つが用いられます。

ただし、脱臼骨折や粉砕骨折の場合は、人工骨頭置換術が行われることもあります。

人工骨頭置換術とは

人工骨頭置換術は、骨折などが原因で複数に転位してしまった上腕骨頭を人工骨頭に置き換える手術です。

肩甲骨側に損傷がない場合に行われる手術で、全人工肩関節置換術とは異なるものです。

肩甲骨側には損傷がないため自身の軟骨のまま、人工骨頭との擦り合わせを行うことで関節機能を再建します。

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術後の入院期間と術後のリハビリ

髄内釘固定法やプレート固定法での手術における入院期間は、概ね2~3日、長い場合だと7~10日というところです。

人工骨頭置換術を伴う手術の場合は、概ね1-2週間程度の入院となります。

入院中のリハビリテーションは、手術の翌日から始まります。

人工骨頭置換術を行った場合は、術後数日後より可動域訓練のリハビリを開始し、経過を見ながら主治医の指示に従い入院期間中は徐々に可動範囲を広げながらリハビリを続けていきます。

退院後は無理のない範囲で少しずつ体を動かすことが自然と筋肉を動かすことになり、リハビリに繋がります。

気をつけたい高齢者の代表的な四大骨折

高齢者が気をつけたいのが、次の代表的な四大骨折です。

  1. 大腿骨頚部骨折
  2. 脊椎圧迫骨折
  3. 橈骨遠位端骨折
  4. 上腕骨近位端骨折

大腿骨頚部骨折は、股関節の大腿骨の骨頭部分の骨折です。高齢者が転倒し、立ち上がれなくなった時は、まず、疑うべき骨折の代表でもあります。主に脚の付け根部に痛みを伴い、ほとんどの場合、立つことすらできません。

脊椎圧迫骨折は、主に骨粗しょう症をもつ高齢者に多く起こる骨折で、尻もちをついたときに起こる背骨の骨折です。寝返りをうったり、起き上がる時などに背中に痛みが生じるのが特徴です。

橈骨遠位端骨折は、手のひらをついて転んだときに起こりがちで、前腕の橈骨が手首のところで折れる骨折です。主に骨粗鬆症で骨が脆くなっている女性が転倒時に手をついたときに起こりがちの骨折です。

これらはいずれも高齢化すると骨がもろくなりやすくなるために起こりやすくなります。骨密度を高めるためにも、普段の食事でカルシウムを摂ることと、骨を支える筋肉をつけるために、適度な運動(筋トレ)を日々行うようにしましょう

まとめ

実は私の母が先日庭で転倒し、その際に肩を打ったことで上腕骨近位端骨折を起こしました。

肩関節近くの粉砕骨折であったため、人工骨頭置換術を行うことになりました。

本当に何気ないことがきっかけで、大きな怪我に繋がります。特に高齢者は骨が弱くなっているため、あまり強く打たなくても骨折することがあります。

骨折の疑いがあった場合は、すぐに病院へ行くことが大切です。骨折したままだと痛みは引きませんし、変形した形で骨が癒着した場合、後の生活にも支障をきたし兼ねません。

歳を取ると些細な段差でも躓くことがあります。慌てずゆっくりと生活するよう心がけましょう。

「注意一秒、怪我一生」ですので。

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