子どもが大学入試を経験して思うこと キモとなる推薦入試 学校推薦・AO入試とはどんな仕組み?
我が家の子も春から大学生になれました(笑)。我が家では一般入試でなんとか合格したわけですが、このたび大学入試を経験して思うことがありました。それは昨今の大学入試は推薦入試がキモとなっているということです。そんなことを高校3年になってから気づいても遅いのですが…。そんなわけで、いま大学入試を成功させるうえで、絶対に無視できない学校推薦やAO入試といった推薦入試について、どんな仕組みなのかを解説します。
もくじ
近年の大学受験事情
近年の大学受験は、以前と比べて制度がだいぶ複雑化しています。また、受験方法も、親が大学受験をした頃のように、ごく僅かな推薦入試と大半の受験生が受ける一般入試という形式とだいぶ異なっています。
なので、自分の経験をもとに子どもにアドバイスすると、かなりトンチンカンなアドバイスになるなと感じました。
なかでも最も大きな違いの1つに、昨今の大学受験では、合格者の半数以上が推薦入学であるということです。これは我々親世代からすると想像もつかないことですよね。
そして、その推薦入試には、学校による学校推薦(学校推薦型選抜)とAO入試(総合型選抜)というものがあります。親である私たちの頃には、AO入試なんてありませんでした。
つまり今の大学入試のキモは、ズバリ推薦入試にあると言えます。
AO入試(総合型選抜)とは
ところで、AO入試とは一体どんな入試なのでしょうか。
まず、AO入試の「AO」とは何かと言うと、どうやら「Admissions Office(アドミッションズオフィス)」の略のようで、AO入試を翻訳すると「入学事務局入試」となります。
これだけ聞くとなんのこっちゃ?という感じですが、これは各大学の入学事務局が独自に設けた選考基準に基づいて行われる入学試験ということになります。
そしてこの独自に設けた選考基準とは、学力試験よりも主に高校での成績や、数回にわたる面接、プレゼンテーション、小論文などを通して受験生を評価するものになっています。特に志望校への強い入学意志や、大学との適性等を大学側は知りたいため、アピールの上手な子にはわりと有利な試験となります。昔で言う日大芸術学部の一芸入試にやや近いイメージですね。
ちなみにこのAO入試は学校が推薦してくれたわけではないため、「自己推薦入試」と考えるとしっくり来るかと思います。
では、このAO入試で合格する人の割合はどれくらいかというと、国公立大学で3%、私立大学で11%程度です。
ちなみに、AO入試は早いと5月ごろからエントリーが始まり、夏休み中には出願となる学校もあります。試験自体は9-10月ごろに実施されるところが多いです。
AO入試には専願と併願の2種類があり、大半が専願制となっています。AO入試と公募制推薦の両方に出願が可能できたり、AO入試の出願時期を複数回設けていて複数回出願できる大学など、学校により様々です。
学校推薦(学校推薦型選抜)について
AO入試の他に、学校推薦入試の存在も大きなポイントです。というかむしろこちらのほうが大きく影響してくると言えるかもしれません。
というのも、学校推薦で大学に入学する割合は、国公立大学で15%、私立大学においてはなんと40%も占めているからです。
そんな学校推薦入試には、大きく2種類あります。それは、指定校推薦型入試と公募推薦型入試です。
指定校推薦入試とは、高校と指定校で結ばれている大学との間に指定校推薦枠(合格人数)が設けられており、高校内での募集に応募し選抜に選ばれることで受験が可能となります。そしてこの指定校推薦の選抜に選ばれた時点で、ほぼ100%合格が決まります。普段から成績の良い生徒にとっては最もイージーな入試となるわけです。
それに対し公募推薦型入試は、大学からの受験基準と高校からの推薦を得ることで受験できる入試制度です。受験する大学ごとに要求される出願要件等は異なりますが、出願要件を満たし高校から推薦を得ることができれば誰でも出願することができます。
ただし、学校単位で受験できる人数に制限のある大学と、制限がない大学とがあり、制限がある大学に対しては、高校内で選抜が行われます。また、指定校推薦入試と異なり、公募推薦型入試で受験した場合の合格率は100%ではありません。
もちろん学校推薦を受けるには、指定校推薦であろうと公募推薦型であろうと、高校の成績が良くないと受験できません。評定は高校1年生の1学期から高校3年生の1学期までの範囲なので、入学当初から頑張って勉強し良い成績を取り続けておく必要があります。目安としては、全科目で平均4.0以上を取れていれば、大抵の公募推薦(制限なし)の出願条件は満たせるでしょう。
一般入試による受験が難しくなっている
ここまでの話でもうおわかりかと思いますが、今の大学受験は一般受験が始まる前に、相当数の合格者が決まってしまっており、一般受験者の合格枠がかなり減ってしまっています。
推薦合格者の割合は、国公立大学でおよそ20%、私立大学においては51%となんと半数以上が推薦で入学しているという状況です。
何故受験がこの様に変わったのかというと、そこには様々な理由があるとは思いますが、やはり大きな要因は少子化にあると思います。少子化により学生の数も減ったため、大学(特に私大)が存続するためには早く学生を確保したいのです。
また、ある程度優秀な学生を確保(青田買い)しないと、学力レベルの低い学生ばかりが入学してくると大学のランク(評価)は下がってしまいます。そうなるとその大学の人気は更に落ち、学生確保がもっと難しくなる、といったスパイラルを避けたいのでしょう。
このことから、一般受験の合格枠が減り、かつての入試よりも一般受験による合格が難しくなっています。それがさらにAO入試を含めた推薦入試人気につながっているのでしょう。
こういった状況の変化を理解したうえでアドバイスをしないと、私たち親世代の頃の受験感覚でアドバイスをしてしまうと、子どもが痛い目にあってしまいます。
まとめ
最近の高校生を見ていると、我々のころと比べると妙に大人しく、真面目な学生が多いなという印象を受けます。
きっとそこにはこの受験システムの変化もあるのでしょう。高1の頃の成績から既に受験に関わっていると思うと、そうそうバカもやっていられません。
「人生経験としても、がむしゃらに受験勉強をする時期というのは大事」なんて言われたりもしていましたが、今となってはそんなアドバイスさえ時代錯誤なものなのかも。
きっと親の感覚でアドバイスをすると、子供にとってはマイナスとなってしまうものが、受験以外にもあるのでしょう。そんなことを考えると、スマホばかりをいじっている子どもを注意するのも、本当に正しいのかどうか考えてしまいます…。