多血症は水分不足が原因?水分不足で起こる相対的多血症とその他の主な症状 水分の重要性
エアコンによる空気の乾燥や、長時間のマスクの着用などは、水分不足の原因になるといわれています。もしも健康診断などで「多血症」だと診断された場合、それは水分不足が原因かもしれません。水分不足による主な症状や水分不足を防ぐ方法、水分不足で起こる相対的多血症などについて説明します。
多血症とは
血液は血漿(けっしょう)と呼ばれる液体成分と、赤血球・白血球・血小板などの血球成分からできています。
多血症とは赤血球が異常に増えてしまう疾患のことで、赤血球増多症とも呼ばれています。
多血症には、赤血球量が実際に増加する「絶対的多血症」と、赤血球量は正常でありながら循環血漿量が減少するために起こる「相対的多血症」とがあります。
さらに絶対的多血症には、血液細胞の中にある遺伝子の異常で起こる「真性多血症」と、心臓・肺の病気や喫煙の影響で起こる「二次性多血症」があります。
相対的多血症には、明らかな原因がない「ストレス多血症」と、嘔吐・下痢などによる一時的な脱水や水分不足のために血しょう量が低下する多血症もあります。
水分不足で起こる相対的多血症
血漿は91%が水分です。
血液全体に占める有形成分の割合 (ヘマトクリット値) は、
男性:40~50%
女性:35~45%
程度ですが、水分不足によって血漿が少なくなると、有形成分の割合が相対的に高くなります 。
一般にヘマトクリット値が
男性:55%以上
女性:50%以上
となると、多血症と判定されます。
相対的多血症は、液体成分が少ないだけでなく、血漿に溶けている様々な物質の濃度も高くなります。
そのため血液の粘度が高くなり、血液が細い血管に詰まりやすく、脳梗塞や心筋梗塞を起こす原因となります。
水分の重要性について
体内の水分の割合は、
高齢者:約50%
成人:約60%
子ども:約70%
胎児:約90%
と年齢によって変わります。
水分の役割には、
栄養や老廃物などを運搬する血液としての役割
汗をかき体温が上がりすぎないようにする体温調節の役割
血液によって集められた老廃物を体外に排泄する排尿の役割
などがあり、生命活動を行ううえで欠かせない存在です。
水分不足で起こる主な症状
体内の水分が不足すると、熱中症を引き起こすことがあります。
熱中症の症状は、軽度の場合はめまい・立ちくらみ・足がつる・お腹の筋肉が痙攣を起こすなどがあります。
中度の場合で、頭痛・嘔吐・脱力など、重症の場合は意識障害・全身の痙攣・高体温などが現れ、場合によっては命の危険につながることもあります。
他にも、水分が不足することで、便秘や老廃物を排出する代謝機能の低下によるむくみ、血液の流れが悪くなることによる脳梗塞などの症状を招くこともあります。
また水分不足は、うつ病発症とも関係があるといわれています。
水分不足を防ぐには
一般的に、日本の気候では、一日に約800~1300mlの水分補給が推奨されています。
一日に約800~1300ml摂るには、1回150~200mlの水を、7~8回に分けて補給するイメージです。
特に運動前や入浴前・睡眠前・暑い場所へ行く前などは、意識的に水分を補給しましょう。
水分補給に適した飲み物は、糖分やカフェインの含まれていない水や麦茶などです。常温に近いものがよく、5~15度くらいの冷たすぎない温度がおすすめです。
糖分を含むものは水分の吸収率を下げ、カフェインには利尿作用があるので、水分補給にはあまり適していません。
運動強度が上がるほど発汗量が増え、水分だけでなくミネラルも多く失います。
そのため、激しい運動時や1時間以上継続して行う運動の時は、ミネラルを含むスポーツドリンクなどがおすすめです。
喉の渇きは体の水分が不足しているサインです。喉の渇きを感じる前に水分を摂るようにしましょう。
まとめ
水分不足により血液中の液体成分が減少すると、相対的多血症になる恐れがあり、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなります。
また、水分不足は熱中症の原因にもなり、頭痛や意識障害、場合によっては命の危険につながることもありますので注意してください。
それだけ人体にとって水は重要ということです。水分不足を防ぐために、200ml程度の水を、1日に8回程度に分けて補給するのがおすすめします。