国産小麦粉の安全性について考える前に、その小麦粉が本当に国産かどうか確認してみて!

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「国産小麦粉は値段が高いけど、無農薬なので安全性も高い」「外国産小麦粉は農薬が使われていて、遺伝子組み換え小麦も混じっているかも」。小麦粉にはこのような、さまざまなイメージがあるかもしれません。しかしそれって、本当にそうなのでしょうか?また、国産小麦粉だと思っているものも、本当に国産小麦100%で作られているのでしょうか?国産・外国産の小麦粉や、小麦粉の安全性について、調べてみました。

「小麦粉(国内製造)」は外国産小麦100%?

パンやめん類などの原材料欄に「小麦粉(国内製造)」と表示されていたら、それは「国内で製粉した小麦粉を使用している」という意味にしかすぎません。

食品表示法では、重量割合がもっとも大きい原材料や、製造地(加工食品の場合)を国名で表示すルールとなっています。

パンやめん類などは、重量割合がもっとも大きい原材料が小麦粉となります。なので、小麦粉を製造した国名が表示されています。

ただし、これは「小麦を製粉して、小麦粉を製造した国」にすぎず、「小麦が採れた国」という意味ではありません。

そのため「小麦粉(国内製造)」と表示されていたら、それは国産小麦ではなく、外国産小麦だと考るのが正しいでしょう。

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「国産小麦使用」は国産小麦100%?

では、パンやめん類などの原材料欄に「国産小麦使用」と表示されていたらどうでしょう?

この場合は、割合(%)の表示があるかどうかを確認してみてください。

食品表示法では、特色のある原材料を使用していることを消費者にアピールする場合に、その使用割合を表示することが義務付けられています。

このとき、使用割合が100%の場合は、割合の表示を省略することができます。

つまり、「国産小麦使用」とのみ書かれて割合(%)表示がない場合、もしくは「100%」と表示されている場合は、「国産小麦が100%使用されている」ということになります。

もしも国産小麦80%と表示があれば、20%は外国産の小麦が使用されているということです。

今後ちょっと意識して、この表示を確認するようにしてみてください。

外国産小麦粉の安全性

外国産小麦粉の安全性について話題にあがる場合、大抵は農薬と遺伝子組み換えについてでしょう。

遺伝子組み換え小麦に関していうと、商業用として栽培されている小麦においては、遺伝子組み換え小麦は現在は存在していないとされています。

また農林水産省でも、輸入小麦については遺伝子検査をしており、国内で遺伝子組換え小麦が流通する可能性は、極めて低いでしょう。

農薬については、収穫前に散布されるプレハーベストと、収穫後に使われるポストハーベストとがあります。

プレハーベストは、収穫直前にグリホサートという除草剤を散布する処理のことです。日本の小麦栽培では、プレハーベスト処理は認められていません(大豆栽培では認められています)。

ポストハーベストは、船に積載された外国産小麦が、長時間の船旅の間にカビの発生や害虫被害に遭わないよう、収穫後に使用される農薬のことです。

ただし、グリホサート・殺虫剤に関わらず、農薬の残留基準値は国産小麦でも外国産小麦でも同じです。日本でも小麦の栽培に農薬は使われていますので、「外国産小麦粉は危険、国産小麦粉は安全」とは、一概に決めつけることはできません。

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国産小麦粉の安全性

「国産の小麦=安全」とは言い切れないことは、これまでの話しから理解できたかと思います。つまり国産小麦でも、「無農薬」と表示されていない限り、農薬が使用されている可能性は高いということです。

現在日本で販売される小麦粉は、アメリカやカナダから輸入されるものが圧倒的に多いです。そのおかげで小麦粉の価格が抑えられているという、メリットを受けています。

国産小麦だけで生成された小麦粉では、希少性と製造コストからどうしても高額になります。なので、スーパーやホームセンター、ディスカウントストアなどで、国産と表示されている安価な小麦粉は、農薬が使われたものと思ってほぼ間違いないでしょう。

小麦粉の安全性がどうしても気になるのであれば、有機栽培された小麦を使ったものを選ぶようにしてください。有機栽培されたものであれば、国産でも外国産でも、化学的に合成された肥料や農薬は使われていません。

そばも小麦粉70%かも?

家庭で食べるで蕎麦の乾めん(干しそば)も、ほぼ小麦粉から作られているものが普通に流通しています。

というのも、干しそばは、そば粉の比率が30%以上であれば、そば粉の比率を表示する義務がないからです。

つまり、そば粉が30%以上使用されていれば、残りの70%が小麦粉であっても、商品名には「そば」と表示されるわけです。

また、干しそばには「標準」「上級」といったJASマーク(日本農林規格)が付いているものもあります。これは、「標準」はそば粉の割合が40%以上、「上級」はそば粉の割合が50%以上であることを示しています。

そば粉の値段は小麦粉の約3倍しますので、できるだけ小麦粉の比率を増やしたほうが、蕎麦のコストは抑えられるわけです。

「標準」「上級」などの表示のない干しそばは、価格を抑えるために作られた、そば粉が40%以下で、他は小麦粉など別のもので作られたもの、ということです。

まとめ

外国産小麦粉には、農薬や遺伝子組み換え小麦が混じっているといったイメージが、なんとなくついて回っています。

しかし現在では、遺伝子組み換え小麦は外国産でも使用されていないない、ということがわかり、ひとつ安心できました。ただ反対に、農薬に関しては国産であるかどうかにかかわらず、使用されている小麦はあるということです。

今回調べたことに留意すると、手に取った小麦粉がどういった素性のものか、判別がつくようになったと思います。また、つなぎに小麦粉が使用されることの多い乾麺の蕎麦なども、表示をよく見ることで、蕎麦粉の含有率などもわかり、蕎麦らしい蕎麦を選ぶこともできます。

最近は小麦粉の安全性について、問題視されることも増えました。小麦粉に限らず小麦粉を原料としたパンやパスタなどでも、価格の安い商品は、あまり質の良い小麦粉は使われていないのが現状です。

体に対する害が気になる場合は、そういった商品を避けることも一つの工夫です。どうしても安く販売されているものは、コストを下げるために質の低い混ぜ物の含有率が増えてしまうのです。

あまりに気にしすぎると、食べるものがなくなってしまいそうのので、無理のない範疇で意識して、あとは割り切るしかないのかもしれません。

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