サルコペニアとは?症状と症状チェック法・原因・予防と対処法 ロコモやフレイルとの違い
加齢と共に筋力が落ちていく「サルコペニア」という現象があります。そんなサルコペニアの症状や自分でできる症状のチェック法をご紹介します。また、原因となることや予防・対処法もお伝えします。よく似た言葉のロコモやフレイルとの違いについても解説します。
もくじ
サルコペニアとは
サルコペニアとは加齢により筋肉量の減少や筋力の低下が起こる筋肉減少症のことです。
以前は現象として捉えられていましたが、2016年に疾患として位置づけられるようになりました。
サルコペニアになると筋線維数と筋横断面積の減少とが同時に起こりはじめ、生涯を通して進行していきます。
65歳以上のうち15%程度がサルコペニアに該当するため、現在では500万人程度がサルコペニアになっていると言われています。
サルコペニアの割合は加齢に伴い増加し、女性よりも男性の方に多くいということがわかっています。
サルコペニアの症状と症状チェック
サルコペニアになると筋肉量が減少するため、握力や下半身・体幹の筋肉など、全身の筋力の低下が起こります。
筋力が落ちることで、歩くスピードは遅くなり、歩行に杖や手すりを必要とするようになってきます。
また、歩いたり、立ち上がったりといった日常の動作にも影響が生じ、転倒リスクが増す上に、介護が必要となったりもします。
サルコペニアの症状のセルフチェック法としては、
- 歩くのが遅くなり横断歩道を渡りきれない
- 手すりにつかまらないと階段を上がれない
- ペットボトルのキャップが開けにくい
といった点でチェックできます。
実際の筋肉量の測定は専門の医療機関でないと行えません。
上記のチェック項目の中で気になる点がある場合は、整形外科にて相談されることをおすすめします。
サルコペニアの原因
人間の筋肉(筋力)は、おおむね40歳頃から少しずつ減少し、60歳を超えるとその減少率は加速していきます。
そして70歳を超える頃には、筋力の低下を自覚するようになります。
サルコペニアの原因は、タンパク質の摂取不足と運動量の減少とされています。
人間はタンパク質を摂取した上で体を動かすことで、筋肉を作り上げていきます。
しかし、タンパク質も摂取せず運動もしないとなると、筋肉が作られないため、当然筋力が落ちていきます。
また、加齢に伴いタンパクの吸収率も悪くなります。そのため若い頃と同量を食べていても、筋肉は自ずと減少しがちです。
このような加齢による筋力の減少を原因とするものは「一次性サルコペニア」と呼ばれます。
また、若くしてサルコペニアを発症する人もいます。
この場合の発症原因としては、
- 神経の問題
- 慢性的な炎症状態
- 酸化ストレス
- ホルモンの減少
- 運動量の減少
- 栄養不良
などの要因が関係していると考えられます。
このような加齢以外に原因があるものを「二次性サルコペニア」と呼びます。
サルコペニアの予防と対処法
サルコペニアに対しての予防や対処法に特効薬を求めても、それは残念ながらありません。
サルコペニアの予防や改善には、現在の生活習慣を見直し、十分な栄養補給(特にタンパク質の補給)と運動を心がけることです。
具体的な予防・対処法としては、
- 食事
- 運動
- 節酒、禁煙
の3点です。
食事においては、筋肉の素となるタンパク質を意識的に摂取ることが大事になります。
具体的な食材で言うと、
- 肉
- 魚
- 卵
- 大豆製品
- 乳製品
になります。
食事は米やパンなどの主食ばかりでなく、必ずタンパク質を多く含む主菜をしっかりと食べましょう。
運動に関しては、適度な運動習慣で筋肉量を増やすことを意識しましょう。
奨励する運動は、
- 筋トレ(スクワットなど)
- 有酸素運動(ウォーキング、水泳など)
の両方です。
毎日少しの時間で良いので、生活の中に習慣として取り入れましょう。
3つめの節酒、禁煙ですが、特に喫煙習慣のある人はこれを機にタバコをやめましょう。
タバコを吸うことで満腹中枢が刺激され、食欲が減退します。そのために、十分な栄養が取れなくなってしまいます。
また、過度なアルコール摂取は肝臓に負担を与える原因となります。肝臓が弱ると栄養の吸収率が下がり低栄養状態となります。
サルコペニアの予防や対処には十分な栄養補給が必要です。それを阻害する過度なアルコール摂取は避け、飲酒習慣のある方は節酒を心がけてください。
サルコペニアとロコモとフレイルの関係
サルコペニアとよく似た言葉に、ロコモ(ロコモティブシンドローム)やフレイルという言葉があります。
これらはよく似ているので混同しがちですが、意味合いが少しずつ異なります。
サルコペニアは、全身の筋肉が減少していくことです。
ロコモは、骨や関節、筋肉、神経といった体を動かすうえで必要な仕組みがうまく機能しなくなることで、立ったり歩いたりすることが難しくなる状態のことをいいます。
フレイルは、筋肉や骨などの身体機能の低下に加え、認知機能の低下、うつなどの精神・心理機能の低下、高齢によるストレスへの耐性の低下、などが合わさり、要介護一歩手前の状態のことをいいます。
つまり、サルコペニアはロコモに含まれ、さらにフレイルがロコモを含んでいるといった包括関係が、これら3つにはあります。
まとめ
人間は40歳頃から少しずつの筋肉が減少し、60歳を超える頃から更に減少率が加速します。
それは加齢に伴って栄養の吸収率が落ちるからです。タンパク質の摂取量が減り、加えて運動不足になると、筋力はどんどんと落ちていきます。
筋力が落ちると、やがて体を動かす機能もままならなくなり、起立や歩行が困難となり要介護へと繋がります。
そうならないためにも、40歳頃からは意識的にタンパク質の摂取と運動習慣とを心がけるようにしましょう。