日本独自の「軽自動車」の規格について 軽自動車より小さい普通車(小型車)があるってホント?
「軽自動車」は海外にはない日本独自の規格の車。故にあまり海外には輸出もされません。そんな「軽自動車」の規格と、これまでの変遷についてお伝えします。そして、軽自動車よりも小さいにもかかわらず普通車扱いされている車や、今でも新車購入できる外車の軽自動車もご紹介します。
もくじ
軽自動車の規格
2023年現在の軽自動車の規格はというと、
排気量:660cc以下
全長:3400mm以下
全幅:1480mm以下
全高:2000mm以下
で、かつ三輪もしくは四輪の自動車となっています。
軽自動車の規格変遷の歴史
しかし、軽自動車という規格ができた当初は、今よりもサイズも排気量も規格は、もっともっと小さいものでした。
そもそも「軽自動車」という規格が登場したのは1949年(昭和24年)で、当初は三輪と四輪以外に二輪も含まれるものでした。
その時の規格は、
全長:2800mm以下
全幅:1000mm以下
全高:2000mm以下
で、エンジンが2サイクルのものは100cc以下、4サイクルは150cc以下と定められていました。
それが1950年7月に三輪及び四輪に関しては、サイズが
全長:3000mm以下
全幅:1300mm以下
全高:2000mm以下
と拡大され、さらに1954年10月に
排気量:360cc以下
と排気量の規格も拡大されました。
その後、1976年1月に、
全長:3200mm以下
全幅:1400mm以下
全高:2,000mm以下
排気量:550cc以下
と一気に軽自動車の規格が拡大化されました。
更に、1990年1月には、
全長:3300mm以下
全幅:1400mm以下
全高:2000mm以下
排気量:660cc以下
と全長と排気量が拡大。
そして1998年10月に、現在の軽自動車の規格である
全長:3400mm以下
全幅:1480mm以下
まで、ボディサイズの規格が拡大されました。
ちなみに、軽自動車の貨物積載量は350kg以下で、最高出力は64ps以下となるよう自主規制規格が設けられています。
軽自動車より小さい普通車がある?
結論から言いますと、軽自動車より小さい普通車があります。
まず、ボディサイズだけ見ると、軽自動車の規格サイズより小さい車の代表が、クラシックミニです。
今のミニ(BMW)はちっともミニサイズではありませんが、その元となっているイギリスのミニ(最近は現行のミニと区別するためにクラシックミニと呼ばれることが多い)は、とてもボディサイズが小さいです。
クラシックミニのサイズはと言うと、
全長:3075mm
全幅:1440mm
全高:1330mm
というミニマルサイズなので、すっぽりと軽自動車規格に入ってしまいます。
しかし、クラシックミニは軽自動車ではなく小型自動車(普通車)として扱われます。その理由は排気量が660cc以上あるからです。
その他にイタリアのフィアット500(チンクチェント)という車も、軽自動車よりボディサイズは小さいです。
フィアット500のサイズは、
全長:2970mm
全幅:1320mm
全高:1320mm
とクラシックミニよりもさらに小さいですね。
しかもエンジンも500ccと軽自動車の規格内です。
でもこのフィアット500が軽自動車ではなく小型車として扱われる理由は、生産時の年式で規格が分類されるためです。
フィアット500(現行モデルのニューフィアット500とは別物の車)は、1977年まで作られていました。
そして1976年1月に軽自動車の規格は排気量が550cc以下となっため、おそらく1976年式と1977年式のフィアット500はひょっとすると軽登録できるかも知れませんが、それ以前の年式だと軽自動車の規格枠に入らないため、普通車扱いになってしまいます。
そして、フィアット500の後継モデルで1972年にデビューしたフィアット126も、全長が3054mm、全幅1378mm、全高1302mmで、日本の軽規格に収まる小さな車です。
エンジンが594cc、652cc、702ccの3種類あり、イタリア製は1972~1980年まで製造され、ポーランド製は1973年~2000年まで製造されました。
1990年1月に660cc以下まで軽自動車の排気量の規格は拡大されたので、1990年式以降のフィアット126の702ccモデル以外であれば、軽自動車として登録できるようです。
フィアット500にしろフィアット126(702ccモデルを除く)にしろ、並行輸入をして新規登録をすれば、年式問わず軽自動車登録できるといった話もあります。
このあたりは日本の法律の問題なので、ある意味いい加減なんですよね。
軽自動車登録で乗れる超おすすめの車
実は外車でありながら税金の安い軽自動車登録で乗れる超おすすめの車があります。
それは何かといいますと、ケータハムの「セブン160」と「セブン170」です。
サイズは、
全長:3100mm
全幅:1470mm
全高:1090mm
で、エンジンはスズキ製の660ccエンジンを積んでいますから、軽自動車の規格内として登録できます。
このセブン160・セブン170は、あのケーターハムのスーパーセブンをサイズダウンした車で、もともとのモデルとなるあるロータス・セブンならではの独特のスタイリングを継承している車です。
しかも超軽量ボディなため、加速は0-100km/hを6.9秒と恐ろしく速いスポーツカーなので、乗って最高に楽しい車のようです。
セブン170はケーターハムのセブン160の後継モデルで、現在も新車での購入が可能です。
維持費も安く、エンジンも安心の日本製でバッチリ!
ただし、車両価格は軽自動車の範疇を超えており、6,765,000円からとお高めです(笑)。
まとめ
軽自動車は日本ならではの規格です。
以前は排気量も360cc、550ccと小さめだったので、出力も弱かったものの、現在は660ccとなっています。
ボディサイズもどんどんと大きくなり、今では全長:3400mm以下、全幅:1480mm以下、全高:2000mm以下となっています。
乗車定員は4名まで、最高出力は64ps以下の規制はあるものの、これだけのパワーと広さが確保できれば、大昔の軽自動車と比べて十分にファミリーカーとしても活用できます。
軽自動車のメリットは何と言っても税金の安さです。最も小型の普通車(排気量1000cc以下)の自動車税が年間2万5000円であるのに対し、軽自動車の自動車税は年間1万800円と半額以下です。
外車の中には軽自動車の規格内に収まるフィアット500やフィアット127といった車もありますが、生産時の軽自動車規格が当てはめられるため、普通車扱いとなっていることがほとんどです。
ただし、ケーターハムのセブン160・170はスズキ製の660ccエンジンを搭載し、ボディサイズも軽自動車規格内に収まるため、現行で販売される新車でも軽自動車登録できる数少ない車です。