【ネタバレ注意!】『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ』の感想 気になる結末は…
『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ』を観ましたので、その感想などをお伝えします。この「リミテッド・イベント・シリーズ」はツイン・ピークスの25年後の世界ということで、放送時から当に25年経った2017年に公開されたシリーズです。25年ぶりのシリーズに、当時のキャストは出演しているのか、ストーリーはどう繋がっているのか、そして今度こそ明確な結末があるのか…。といったことについてお伝えします。ネタバレが含まれるので、まだ観ていないという人はご注意ください。
もくじ
『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ』について
まずは『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ』について、簡単に触れておきましょう。
このリミテッド・イベント・シリーズは、『ツイン・ピークス オリジナル・シリーズ』および映画『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』ともつながっており、オリジナル・シリーズの25年後の世界を描いた、言わば続編になります。
オリジナル・シリーズはファースト・シーズン(8話)とセカンド・シーズン(22話)で構成されており、それぞれ1990年4月8日~1990年5月23日、1990年9月30日~1991年6月10日に放送されました(アメリカでの放送日)。
そして続編のリミテッド・イベント・シリーズは全18話で、2017年5月21日~2017年9月3日に放送されましたので、もうすでに6年ほどが経過しています。
オリジナル・シリーズが放送された当時は、かなり話題となった作品だったため、視聴率は相当良かったようですね。日本でもツイン・ピークス旋風が巻き起こりました。しかし、終盤に向けてどんどんと視聴率が低下し、最終的には打ち切りとなったようです。
監督のデイヴィッド・リンチとしては、ツイン・ピークスに相当の思い入れがあるようで、オリジナルシリーズでローラが「25年後に会いましょう」といった言葉を受け、公開時から25年後にあわせてリミテッド・イベント・シリーズを公開するよう制作したのでしょう。
リミテッド・イベント・シリーズの感想
放送後、既にかなり時間は経っているのですが、私はやっとこれをU-NEXT(独占放送)で今回観たわけです。
リミテッド・イベント・シリーズを観るにあたり、オリジナル・シリーズと映画『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』も見直しました。
なにしろリミテッド・イベント・シリーズを観たのは30年近く前。ということで、地味に毎日コツコツと初めから見ていきましたよ。
ツイン・ピークスのあの独特の雰囲気は覚えているものの、当時もビデオで一度しか観ていないこともあり、ストーリーはかなり忘れていました。
なので、おさらいをせずにリミテッド・イベント・シリーズを観たら、きっと何のことだか良く分からなかったと思います。そういう意味では、一から見直して大正解でした。
まず、見ていて良かったのが、おなじみの登場人物が大勢出てくるところです。当然25年の月日が経過しているので、役者もそれぞれその分だけ歳を取ってはいますが、あの世界が今も続いているとった感じがしてとても良かったです。
ツイン・ピークスにはとても多くの登場人物が出てきますが、脇役的な人も含め相変わらずのキャラクターぶりを見せてくれたり、変わらず店が経営されていたりして、そういう日常の何気ないところのディテールがきちんと再現されているところがいいですね。こういうところに監督のこだわりを感じます。
それとオリジナル・シリーズの中に多くの伏線が張ってあり、それがリミテッド・イベント・シリーズで解明されていったのも良かったです。
デイヴィッド・リンチ監督の映画は、何がどうという明確な結末はないものが多いのですが、それでも点と点とが結びつき、「なるほど。そういうことだったのね!」と納得する部分が多々ありました。
その中でもひときわ大きかったのが、ダイアンでしょう。
オリジナル・シリーズではいつもクーパー捜査官がカセットに向かってダイアンに状況を語っていましたが、リミテッド・イベント・シリーズでダイアンが実存し、クーパーとどういった関係の人物であるかなども明らかになりました。
その反面、リミテッド・イベント・シリーズで新たに設定された人物などもいたりして、そのあたりはまた妙な緊張感が漂って良かったですね。
結局なんだったんだろうという人達も結構いましたが(笑)。
それから毎回最期にロードハウスでバンドの演奏があり、そこに登場するミュージシャンがとても良かったです。
普段の姿とは少し異なり、リンチ風にアレンジはされていたようですが、怪しくとても魅力的なアーティストたちであふれていました。
ツイン・ピークスは、映像やストーリーのみならず、音楽が大きな雰囲気作りに貢献していると思います。
少し気になっ点をいうと、リミテッド・イベント・シリーズはオリジナル・シリーズと比べると映像のトーンが少し違い、ややハイトーンで現代風な画質になっている感じがしました。
これは当時はアナログだったものがデジタル化したなどの技術の違いなのでしょうが、妙にザラついた感じもツイン・ピークスの持ち味だったので、そのあたりはちょっと残念に感じました。
でもミステリアスな雰囲気は相変わらずで、25年の歳月を経てもなおツイン・ピークス感は十分に存在していました。
おそらく、またいつの日か、再視聴する日が来るように感じています。
リミテッド・イベント・シリーズの出演者について
リミテッド・イベント・シリーズにはオリジナル・シリーズのときの役者の多くが、そのまま出演していますが、ツイン・ピークスを語る中で外せない2人の重要人物が出演していない点が、悔やまれます。
その2人とは誰かといいますと、1人は保安官のハリーです。ツイン・ピークスではクーパー捜査官とタッグを組み、事件解決に臨んでいた人で、クーパーとも厚い信頼関係ととも友情が生まれていた仕事上の強力なパートナーだっただけに、今回はストーリー上では存在するものの姿を表さなかった(精神の不調をきたしていることに)のが残念でした。
そして最も残念だったのは、ローラの親友のドナ・ヘイワードが出てこなかったことです。
ドナは映画版でも役者が差し替えられ、少し違和感を感じていましたが、リミテッド・イベント・シリーズにも登場しませんでした。
ローラ以外だと、オードリー、シェリー、ドナは、ツイン・ピークスの美人3人娘なだけに、登場しなかったのはとても残念です。
それと引き換えに、リミテッド・イベント・シリーズから登場したのがダイアンとジェーンです。
ダイアンは架空の人物かと思いきや、リミテッド・イベント・シリーズで実物が登場し、実存する人物であり、しかもクーパーとの深い関係性についても明らかにされました。
また、今回のリミテッド・イベント・シリーズで追加された内容に大きく関係するのがジェーンです。
ジェーン役はナオミ・ワッツでしたが、わりとマイナーな役者で固められれているツイン・ピークスに、メジャーなナオミ・ワッツを起用したのもちょっと驚きです。
ナオミ・ワッツは映画『マルホランド・ドライブ』でも主人公役を演じていましたし、デイヴィッド・リンチ監督のお気に入りの女優なのかもしれませんね。
ちなみにダイアン役も、リンチ作品ではおなじみの女優のローラ・ダーンでした。
それからなんと、日本の俳優である裕木奈江さんも出演しています。非常に難しい役回りです。どこに出ているか、ぜひチェックしてみてください。
気になる結末はというと…
オリジナル・シリーズの最期が釈然としないまま終わったので、今回は流石にきちっと終わらせてくるかなと思いましたが、一件落着かと思いきや、最後の最後で「ん?」と思わせる感じで終わりましたね。
これはまた続編があるのか、といったようにも受け取れる終わり方でしたが、どうなのでしょう。
個人的にはもちろん続編を作って欲しいところですが。
まとめ
『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ』の感想についてお伝えしました。
一部ネタバレ的な内容も書きましたが、ストーリーについては語らなかったので、気になった方は十分に新鮮な気持ちで楽しめると思います。
オリジナル・シリーズの25年後に、まさに作品世界の25年後の話を公開するなんて、リンチ監督もなかなかなのエンターテイナーだなと感じました。
まるで今もどこかで、ツイン・ピークスの世界が続いているような、そんな気にさせられます。
ツイン・ピークスの中でわりと重要な役割をしていた保安官のハリーと、ローラの親友であるドナが、リミテッド・イベント・シリーズには登場していないのがなんとも残念でした。
しかし、これまで謎の存在だったダイアンが登場し、しかもかなり重要な役割を担っていたりして、リミテッド・イベント・シリーズならではの楽しみもありました。
見ようによってはまだ続編が作られそうな感じのエンディングでしたから、ひょっとするとこの先も続編があるかも?なんて密かに期待している次第です。