認知症ってそもそも何?主な4つの種類と特徴・それぞれの対処法 認知症の予防法について

「認知症」と言う言葉は日常的によく耳にしますが、そもそも「認知症」とはどういうことを指すのでしょうか。ここでは代表的な4種類の認知症の特徴とそれぞれの対処法についてご紹介します。また認知症にならないための予防法についてもご紹介していきます。この機会にしっかりと認知症について理解してください。

「認知症」ってそもそも何?

よく年をとると認知症になると言われますが、そもそも「認知症」っ何なのでしょうか。

認知症とは、様々な原因により記憶や思考といった脳の認知機能が低下してしまい、そのことで日常生活や社会生活に支障が生じる状態を言います。

このような状態がおよそ6か月以上続いた場合、医者は「認知症」と診断します。

一般的には65歳を超えた頃から発症する確率が上がり、85歳以上では4人に1人(25%以上)が発症するとも言われています。

64歳未満の人が認知症を発症した場合、「若年性認知症」と呼ばれますが、若年性認知症という独立した病気があるわけではありません。あくまでも発症年齢で区分した概念的呼称です。

また、「認知症」と一言で言っても引き起こしている原因はさまざまです。そのため認知症には病理学的にも様々な疾患を含んでいます。

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主な4つの認知症の種類と特徴

「認知症」と一言で言っても、さまざまな種類があります。

その中で代表的なものが、

  • アルツハイマー型認知症
  • 血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症

の4種類です。

その割合はと言うと、

アルツハイマー型認知症:67.6%
血管性認知症:19.5%
レビー小体型認知症:4.3%
前頭側頭型認知症:1%
その他の認知症:7.6%

となっています。

4つの主な認知症とその対応について

代表的な4つの認知症についてと、その対応について解説します。

アルツハイマー型認知症

認知症の中でもっとも多く、およそ70%近くを占めるのが「アルツハイマー型認知症」です。

そのため認知症=アルツハイマーと認識している人も少なくないようですが、そうとは言い切れません。

アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβやタウタンパク質といったたんぱく質が蓄積し、それが神経細胞を破壊することで脳の委縮が起こり発症する認知症です。

なぜアミロイドβやタウタンパク質が蓄積されるのか、その原因についてはまだはっきりと分かっていません。

ただ、糖尿病や高血圧の人は、アルツハイマー型認知症を発症しやすい傾向にあることはわかっています。

アルツハイマー型認知症の初期症状は、「物忘れ」が見られるようになることです。そして短期記憶から徐々に失い、新しいことが覚えられなくなっていきます。

さらに進行すると、徘徊や失禁などが起こり、時に性格の変化なども現われるため、日常生活を送るにあたり全般的なサポートを必要とします。

アルツハイマー型認知症の根本療法はなく、薬による進行を遅らせる対処法が取られます。

血管性認知症

血管性認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多く、全体のおよそ20%を占める認知症です。

脳梗塞・脳出血・脳卒中など「脳血管障害」による脳の血液の流れの阻害が原因で、脳細胞の一部が損壊することにより起こります。

血管性認知症の症状は、障害を起こした脳の部位によって異なり、歩行障害や手足のしびれ、麻痺、排尿障害、言語障害、意欲の低下、不眠、嚥下障害などが見られます。

脳梗塞や脳出血を防ぐことで、発症・進行の抑制が可能です。

原因となる脳の病気の再発を防ぐことで、進行を抑えることが可能な認知症です。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳にレビー小体という特殊なたんぱく質の塊ができ、それが神経細胞を破壊することで発症します。

この特殊なたんぱく質「レビー小体」がなぜ脳にたまるのか、その原因はまだ解明されていません。

レビー小体型認知症は手足の震えや身体のこわばり、歩行障害などの「パーキンソン症状」が見られるのが特徴です。

そのため転倒しやすい傾向にあり、骨折により寝たきりとなるリスクが高まります。

また、幻視やうつ症状、睡眠時の異常行動なども見られるのもレビー型認知症の特徴です。

記憶力や判断力が日により変動し、頭がはっきりしている時とぼーっと虚ろな状態とを繰り返しながら進行していきます。

レビー小体型認知症の根本治療はなく、薬による進行を遅らせる対処法が取られます。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉の神経細胞が変性等を起こし委縮することで起こる認知症です。

主に50~60歳代に発症しやすく、10年以上をかけてゆっくりと症状が進行していきます。

前頭側頭型認知症の特徴としては、性格が極端に変わってしまうような人格変化が起き、万引きなどの反社会的な行動(行動障害)を起こすのが特徴です。

その他、

  • 柔軟な思考ができない
  • 身だしなみが無頓着になり非衛生的になる
  • 同じパターンの言動や行動を繰り返す
  • 時間に固執し融通が利かなくなる

といった症状がみられるのも特徴です。

症状が進むにつれて物の名前などが分からなくなり、言葉が出なくなるといった言語障害も起こりますが、初期の頃にはもの忘れ症状などが見られないため、発見が遅くなるケースがままあります。

前頭側頭型認知症の根本治療はなく、抗精神病薬による対症療法が主に取られます。

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治療が可能な認知症

認知症の中には治療が可能な認知症もあります。

それは、

  • 正常圧水頭症
  • 慢性硬膜下血腫
  • 甲状腺機能低下症

が原因となり、認知症を起こしているケースです。

これらが原因として生じている認知症に関しては、適切な治療を行うことで症状が改善される可能性があります。

正常圧水頭症

正常圧水頭症は、脳脊髄液が脳に溜まる病気です。

脳室が拡大し周囲を圧迫することで認知症が起きていますが、「髄液シャント手術」を行うことで治療が可能とされています。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は、頭を打つなどして硬膜と脳の間に血液のかたまりができることで、この血駅のかたまりが脳を圧迫することで認知症を発症します。

「血腫吸引手術」により硬膜と脳の間に血液のかたまりを取り除くことで治療が可能とされています。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌量が不足することで、脳の代謝が低下し活動力が落ちる病気です。

甲状腺機能低下症が発症すると、居眠りや記憶障害などの認知症状が起きますが、「甲状腺ホルモン」を補充することで症状の改善が見込まれます。

認知症にならないために

最後に、「認知症にならないためにできること」をご紹介しておきます

認知症予防を細かくあげたらキリがありませんので、ここでは簡単に5つほどあげておきます。

その5つとは、

  1. 生活習慣病の予防を心がける
  2. 運動の習慣を持つ
  3. 人とのコミュニケーションを持つ
  4. 達成感を味わう
  5. 継続できる趣味を持つ

というものです。

特に1番目の「生活習慣病の予防を心がける」は非常に大切です。「運動の習慣を持つ」は、ここに含まれる部分とも言えるでしょう。

あとの3つは、精神状態を良好に保つためのものです。

要は、心と体が健康であるための習慣を持つことことがとても重要となります。

まとめ

日本人の65歳以上のうち、およそ16%の人が認知症なのだそうです。

80歳代の後半になると、男性は35%、女性は44%が認知症になります。

さらに95歳を過ぎると、男性の51%が、女性の84%が認知症なのだそうです。

つまり長生きをすると言うことは、それだけ認知症になる可能性が高まるということでもあります。

そうはいっても最期まで認知症にならない人もいるわけですから、今回紹介した「認知症にならないためにできること」をよく理解して、認知症予防に励みましょう。

また、代表的なアルツハイマー型認知症をはじめ主な認知症の特徴などをご紹介しましたので、家族などに気になる症状が現れた場合は、速やかに病院にて診察を受けるようにしてください。

早期に発見し対処することで、認知症の進行を遅らせることは可能です。

私も認知症の父の介護をしたことがありますが、なかなか大変な思いをしました。

しかし長く生きるということは、こうした現実にも時に立ち向かわなくてはならないものでもあります。

大変ではありますが、しっかりと向き合って、後悔のない人生にしていきましょう。

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