パリ協定とはどんなもの?わかりやすく説明 パリ協定の内容や世界共通目標・日本の目標など
アメリカの脱退表明などでも話題になった「パリ協定」。どのようなことがパリ協定で決められ、どのような取り組みが必要なのか、よく知らない方も多いのでは。そんなパリ協定について、京都議定書や世界共通の目標や日本の目標などと共に、わかりやすく説明していきます。
もくじ
パリ協定とは
「パリ協定」とは、地球温暖化を防止するため、2015年にフランス・パリで開催された国際会議「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)」で合意された国際的な取り決めのことです。
パリ協定の内容を簡単にまとめると、
- 2020年以降の気候変動問題に関する取り決めである
- 世界共通の地球温暖化に対する目標が掲げられている
- すべての参加国に目標の作成・提出が義務づけられている
といったものになります。
これらの内容について、もう少し詳しく説明していきます。
2020年以降の気候変動問題に関する取り決め
1992年に「国連気候変動枠組条約」が採択され、世界各国は地球温暖化対策に取り組んできました。
そして、1997年に日本の京都で開かれた京都会議(COP3)で採択された「京都議定書」により、2020年までの世界の地球温暖化対策目標が示されました。
パリ協定は、この京都議定書の後継となるもので、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みが定められたものです。
京都議定書では先進国だけに温室効果ガスの排出削減が課せられていました。しかしパリ協定では、先進国だけでなくすべての国が対象となっている点が大きな違いとなります。
また、京都議定書では「目標の達成」が求められていましたが、パリ協定では「温室効果ガスの削減・抑制目標の策定・提出」が求められている点も大きく異なる点です。
世界共通の目標
パリ協定では、以下のような世界共通の目的・目標が掲げられています。
目的:世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
目標:できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
これらの目的・目標達成のために、先進国・途上国関係なく、各国の削減目標を自主的に作成・提出し、達成するための国内対策をとることが求められています。
目標の作成・提出義務
京都議定書ではトップダウンで温室効果ガスの削減目標が定められていましたが、パリ協定ではすべての参加国に自主的な取り組みを促す、次のような方法が採用されています。
- すべての国が削減目標を自主的に作成・提出する
- 5年ごとに目標を更新し、前回目標よりも前進した内容を提出する
- 目標の達成状況を第三者が平等・公正に評価する
- 5年ごとに世界全体の進捗を確認し、各国の取り組み強化につなげる情報交換を行う
パリ協定は法的拘束力を持っていますが、成果が出なかったとしても罰則がないかわりに、5年ごとにより洗練された目標を掲げることが求められます。
日本の削減目標
そんななか、日本はどのような削減目標を掲げているかというと、日本は2015年7月に「2030年度に2013年度比マイナス26%」という内容を国連に提出しています。
その後、2021年4月に「2050年ネットゼロ宣言、2030年度に2013年度比マイナス46%」を表明しました。
ネットゼロとは、カーボンニュートラルのことで、「温室効果ガスの排出量から吸収量を引いた数字をゼロにする」ということを意味します。
このような長期目標を達成するためには、これまで以上の技術開発や、エネルギーの使い方、消費行動の見直しなどが必須となってきます。
まとめ
パリ協定とは、地球温暖化を防止するための世界的な取り決めで、絶対に成し遂げなければならないものです。
何も対策をしなかった場合、平均気温が2050年には2℃上昇し、2100年には4℃上昇するともいわれており、このままでは地球環境を守ることはできなくなると考えられています。
今後、このパリ協定がどうなっていくのか、また日本や各国の取り組みに対しても注目していく必要があります。