白血球数値が10000以上とはどういう状態?白血球数の正常値と増加原因・注意点について
人間ドックや健康診断の血液検査で白血球の数が多いと指摘されることがあります。それはいったい何を意味しているのでしょうか。白血球数の正常値とはどれくらいなのか、白血球数10000/μL以上だとどんな状態なのでしょうか。白血球の数が多い場合に考えられる原因や、白血球数が増加時の注意点などについてお伝えします。
白血球数の正常値
白血球数の数値については、人間ドック学会によると次のよう基準値等が定められています。
正常値:3100~8400/μL
軽度異常:8500~9000/μL
要経過観察:9000~9900/μL
要医療:3000/μL以下あるいは10000/μL以上
白血球数はわりと個人差が大きく、時間帯によっても数値が大きく変動しがちです。
基準値内に数値が収まらなくても、1割程度の差なら許容範囲とみなしても大丈夫なようです。
ただし、同じ状況で検査をしたにもかかわらず、以前の数値と大きく変わった場合は、基準値内であっても注意する必要があります。
白血球とは
白血球は骨髄中で作られる血液細胞で、細菌やウイルス、カビなどから身体を守る働きがあります。
また、白血球には大きく分けて5つの種類があり、次のような役割を担っています。
好中球:白血球の半分以上を占め、体内に侵入した細菌などの異物を食べて除去する
好酸球:寄生虫の駆除担当。増えすぎるとアレルギー症状などを引き起こすことも
好塩基球:好塩基球の働きはよくわかっていない。アレルギー症状を引き起こす原因ともいわれている
リンパ球:T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞などの種類がある。連携してウイルスに感染した細胞やがん細胞を駆除する
単球:マクロファージとも呼ばれ、体内に侵入した異物を食べて駆除する働きや、リンパ球による免疫反応を補助する働きがある
白血球数で何がわかるのか
白血球には、身体の組織に侵入した病原体やウイルスなどの異物を取り込み、消化する特徴があります。
そのため、白血球数の増加・減少により、身体のどこかに細菌などが侵入していたり、炎症が起きているのではないかという推測ができます。
また、病気が回復すると数日で白血球数は元に戻ります。そのため、回復を評価するための指標としても白血球数は使われます。
白血球数の増加原因
健康診断の血液検査で白血球数が多いと診断された場合は、原因として次のようなことが考えられます。
- 喫煙
- 肥満
- ストレス
- 月経
- 病気
白血球数が多い場合に考えられる主な疾患としては、偏桃炎や肺炎、急性中垂炎などの急性感染症や、白血病などの血液疾患が考えられます。
白血球数が増加していたときの注意点
白血球数が増加した場合は、ほかの血球(赤血球、血小板)の増減にも注目して判断する必要があります。
白血球数だけが増えている場合
白血球数だけが増加している場合の多くは、肥満や喫煙、感染症などが原因です。
まれにホルモン異常や薬剤、膠原病、アレルギー、がんなどが原因となっている場合もあります。
白血球、赤血球、血小板ともに増えている場合
ほかの血球も増加している場合は、血液のもとになる幹細胞の異常が考えられます。
その場合は、骨髄増殖性腫瘍(慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症など)の疑いがあります。
白血球は増え、赤血球は減少し、血小板は変わらないか多い場合
白血球が増加し赤血球が減少している場合は、慢性の炎症や腫瘍が考えられます。
炎症が続くと、鉄がうまく使えなくなることにより、貧血も起きやすくなります。
白血球は増えているが、赤血球と血小板は減っている場合
白血球が増加し、赤血球と血小板が減少している場合は、急性白血病やがんの骨髄転移、重症感染症などが考えられます。
また、急性白血病の可能性もあるため、緊急で受診する必要があります。
まとめ
白血球数は個人差が大きく、ちょっとした条件の違いでも大きく数値が変わることがあります。
運動やストレスによっても白血球数は変化しますので、静かな状態で検査する必要があります。
白血球の数が増加する原因としては、一般的には喫煙や肥満、ストレスなどが多いです。
また、風邪などの感染症、白血病などの血液疾患も考えられます。
以前の白血球数の値と大きく変動しているかどうか、他の血球に増減があるかどうかという点などにより、考えられる病気は変わってきます。
ただ、白血球数値が10000/μL以上の場合は、数値として高いため、血液内科で精密検査を受けることをおすすめします。