成年後見制度の手続きや費用がわかりやすいよう初めての人にやさしく概要を解説
県外や実家で一人暮らしの老親を心配する声は多いと思います。
数ヵ月に1度のペースで様子を見たとしても、老親の身に変化が起こるとすぐに対応はできません。
元気なうちに対策を取ろうとすると「棺桶に入れたいのか!」と激高する老親もいると聞きます。
ホントに難しい問題です。
結局、最終的には身内が対応するわけですが、それにも限度があり、共倒れのリスクは避けなければなりません。
外部のサポートや制度を知っておくことが、適切な対応に結び付きます。
今回は老親を支える制度のひとつである、成年後見制度についてシェアしたいと思います。
もくじ
成年後見制度とは
成年後見制度とは、判断能力の不十分な方々を保護し支援する制度です。
例えば、
- 不動産管理
- 預貯金管理
- 各種契約
- 遺産分割協議
などをサポートします。
認知症、知的障害、精神障害などが理由で判断能力が低下、あるいは低下が予想される人が対象です。
なお、成年後見制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つの制度にわかれます。
法定後見制度
家庭裁判所が申立てによって個々の事案に応じて成年後見人・保佐人・補助人)を選任します。
権限は法律で定められている範囲です。
具体的には、一定の範囲内で代理、本人締結の契約取り消しなどになります。
家庭裁判所に申立てることができるのは、
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 検察官
- 市町村長
などです。
任意後見制度
本人が十分な判断能力を有する間に、委任する事務内容(財産管理など)を決めて、判断能力が不十分になった後に、任意後見人が代行する制度です。
法定後見制度同様に家庭裁判所に申立てます。
申立てができるのは、
- 家族
- 親戚
- 友人
- 弁護士
- 司法書士等
- 法人
などが可能です。
成年後見制度手続きの費用
法定後見制度に関しては、
- 申立手数料(収入印紙) 800円
- 登記手数料(収入印紙) 2,600円
- 郵便切手
- 鑑定料
が必要です。
郵便切手は家庭裁判所に確認が必要ですが、鑑定料は判断能力の程度を医学的に証明するために必要です。
鑑定料の相場は10万円以下と、意外に高額費用がかかります。
診断書の提出で済む場合は、数千円程度に収まります。
任意後見制度の場合は、公正証書を作成することになります。
その際の費用として、
- 公正証書作成手数料 11,000円
- 登記嘱託手数料 1,400円
- 登記所納付の印紙代 2,600円
- 正本の証書代や郵便切手
などが必要です。
後見人への費用
基本的には後見人等の報酬額は、家庭裁判所の裁判官が決めることになっています。
目安としては月額2万円または3万円は少なくとも必要でしょう。
負担は決して軽いとは言えないため、成年後見制度の費用助成があります。
これを利用することで負担軽減を図ります。
- 市区町村
- 法テラス
以上が相談先として適切です。
まとめ
成年後見制度の手続きもマイナンバーカードを利用してオンライン申請を期待したいですね。
難しいかなあ・・。
ちなみに成年後見登記のオンライン申請は、現在、東京法務局民事行政部後見登録課のみです。
費用も手続きと運用の負担が発生しますが、本人の年金から払うという手段もあります。
ただし、親族が後見人を務める場合は無報酬を強いられることが無いよう、本人との事前の話し合いが必要かもしれません。