教員不足の対策に5億円補正予算を文科省が盛り込んでも実効性にはほど遠い理由とは
公立学校の教員不足は、今に始まったことではありません。
はっきり言えば、文科省を始めとする上部組織の動きが遅すぎました。
もう、取り返しのつかないレベルにまでなっているのが実情であること、親族に教員がいる身としては、部外者でも見て取れます。
教育委員会も、せいぜい5人ぐらいの小さな集団なので、教員不足の問題を押し付けたところで改善するチカラもないでしょう。
で、5億円の予算を盛り込む方針ということがわかったわけですが、そのお金は教育委員会への支援になる模様・・・。
付け焼刃感が否めないのですが、なぜ、実効性に乏しいのかを、個人的に考察してみます。
もくじ
教育委員会の実態
教育委員会と言うと、何かものすごい権限を持っているイメージがあると思いますが、昔は、確かにそうした組織だったかもしれません。
一応、文科省による定義としては、
教育委員会は、都道府県及び市町村等に置かれる合議制の執行機関であり、生涯学習、教育、文化、スポーツ等の幅広い施策を展開。
と書かれています。
同時に制度の意義は、
- 政治的中立性の確保
- 継続性、安定性の確保
- 地域住民の意向の反映
であり、さらに特性に関しては、
- 首長からの独立性
- 合議制
- 住民による意思決定(レイマンコントロール)
が掲げられています。
住民の意向や意思決定の部分に関しては、全く、そうは感じないんですけどね・・・。
補正予算案の使い道
文科省の狙いは、教職に興味がある、教員免許を持っていても教職に就いていない、そんな人を対象としたイベントがひとつ。
もうひとつは、教職にこれから就く人への事前研修、民間企業で働く教員免許保有者への期限付き免許(臨時免許か)の発行です。
それやっても増えないでしょ。
イベント自体がショボそうですし・・・。
そもそも、教育委員会の数は令和3年5月1日現在、1,806教育委員会に上ります。
単純に5億円を各教育委員会に均等に振り分けたとすると、大体、28万円ぐらいの分配でしかありません。
講師の1か月分の報酬レベルです。
ね、これで支援と言って実績に仕立て上げるんですよ、文科省としては。
ちなみに、委員の定数は原則として5人(都道府県政令市等では6人、町村では3人とすることも可)です。
こんな人数で何ができる?
教育委員会も頭を抱えてるでしょうね。
教員は2558人が不足
あくまでも2021年度の調査に基づく数字ですが、今だと、もっと多いと予想しています。
年度の途中で精神をやられて脱落する人もいるからです。
何より担任の業務過多が一番の問題なのに、最も難しいとされる人を増やす、つまりリクルーティングにばかり目が向いてるのが、現場とのズレを感じます。
余計な仕事を減らす方が先。
そうすれば余力が生まれますし、他の先生のフォローも可能なんですよ。
もちろん教員の数は多いに越したことはありませんが、実態としては志望者数も落ちているわけですから、イベントごときで集まるとは到底思えません。
教員不足の解消には、
- 学習指導要領の見直し(教育課程を減らす方向に)
- 副担任として非常勤採用者を付ける
が不可欠です。
特別支援学級対応も急務
これはマジでビビッたのですが、先日、就学時健診が行われた模様。
就学時健診とは、翌年度に入学する予定の小学校で、健康診断や教育相談が行われる行事です。
その中で、特別支援学級への相談者数が、明らかに増えていることを目の当たりにして、職員一同が驚愕したとのことでした。
特別支援学級とは、小学校の場合は軽度や中程度の発達障害を持つ子どもが学ぶクラスです。
なぜ、そんなに増えているのか、さっぱりわかりませんが、筆者の時代には学校全体で1人いるかいないか程度だったのですけどね。
1,000人超える児童数の小学校ではありましたが、当時も、そんな隠れ発達障害が居たのかなあ・・・。
ともかく、特別支援学級に該当する子どもも劇的に増加している印象のため、専任教員の確保も必要な気がします。
まとめ
「教員不足の対策に5億円補正予算を文科省が盛り込んでも実効性にはほど遠い理由とは」というテーマで、教員不足問題に触れました。
前から言ってるのですが、義務教育に関しては、もう希望は見出していません。
親族も定年前に引退するみたいですし、それを筆者も勧めています。
今の制度では、人生を掛けてまで他人の子を導くというのは、かなり厳しいと感じます。