運転免許証にはICチップが搭載されており、その中の情報を読み取るには「暗証番号」が必要です。
ところがこの暗証番号、ふだん使う機会がほとんどないため、忘れてしまったという声が非常に多く聞かれます。
さらに、免許更新の際に提出する証明写真にも細かなルールがあり、知らずにNG写真を持参してしまうと再撮影を求められることも。
本記事では、運転免許証の暗証番号に関する基礎知識から、忘れた場合の対処法、変更手続きの流れ、そして写真提出の注意点までを網羅的に解説します。
「免許証に写真を添えるだけ」と思っていると、意外な落とし穴があるかもしれません。
事前に知っておくことで、更新手続きやICチップの利用がスムーズになりますので、ぜひチェックしてください。
運転免許証の暗証番号とは?使い道と設定の仕組み
ここでは、ICチップ付き運転免許証に必須の「暗証番号」について、その役割や使われ方、設定方法までをわかりやすく紹介します。
ICチップ付き免許証とは?
2007年から発行されている運転免許証には、ICチップが埋め込まれています。
このICチップには、氏名・住所・免許番号・有効期限・顔写真などの個人情報が記録されており、外見だけでは読み取れないデータが含まれています。
免許証を提示するだけでなく、ICカードリーダーで情報を読み込ませることで、より高度な本人確認や行政手続きが可能になりました。
暗証番号は2種類ある?その役割とは
ICチップの情報を読み出すためには、2つの4桁暗証番号が必要です。
これは「第1暗証番号」と「第2暗証番号」と呼ばれ、どちらも運転免許証の発行時や更新時に自分で設定する仕組みです。
たとえば、マイナポータル連携、本人確認、各種証明書発行などの手続きにおいて、この暗証番号が必要になります。
暗証番号が一致しない場合はICチップの情報を開示できないため、忘れてしまうと手続きが進まないという事態にもつながります。
設定時に控えたはずなのに…なぜ忘れやすい?
暗証番号は、運転免許証を取得または更新した際に設定しますが、実際にそれを利用する機会が極めて限られているのが現状です。
そのため、多くの人が「設定した記憶はあるけど思い出せない」という状況に陥ります。
特にゴールド免許保持者の場合、更新期間が5年であることから、1度も使わないまま年月が過ぎてしまうことも少なくありません。
第1暗証番号と第2暗証番号の違い
両者は基本的には同じ役割を持ちますが、システムによっては第1・第2の両方の入力を求められることがあります。
番号は重複していても構いませんが、セキュリティの観点から別々の番号を設定することが推奨されています。
万が一、どちらか一方でも忘れてしまった場合には、次章で紹介する再設定が必要になります。
暗証番号の確認はできる?結論:できません
結論から言えば、現在の暗証番号を「確認する」ことは不可能です。
なぜなら、運転免許証の暗証番号は本人しか知らない前提で運用されており、個人情報保護の観点からも、警察署や免許センターであっても照会することはできません。
したがって、暗証番号を忘れてしまった場合は、「再設定」=「再発行」という手続きを取る必要があります。
どこで使う?具体的な利用シーン
暗証番号が必要となる場面には以下のようなものがあります。
たとえば:
- マイナポータルと運転免許証の連携
- コンビニ等での各種証明書発行サービス(将来的予定含む)
- 警察庁や自治体が提供する本人確認サービス
- スマートフォン等を使ったデジタル本人確認
ICチップ搭載の免許証は、将来的にさまざまな行政手続きや民間サービスと連携が進む予定です。
そのため、暗証番号をきちんと管理しておくことが、今後ますます重要になるといえるでしょう。
忘れてしまったときのために:控えはどうすべき?
設定時に控えを紙で残しておく人も多いですが、紛失リスクやセキュリティの面から見ると、暗号化されたデジタル管理が望ましいとされています。
スマートフォンのパスワード管理アプリや、メモ機能を活用して、「運転免許証 暗証番号」というキーワードで自分だけがわかる形で記録しておくと安心です。
暗証番号は変更できる?できる場所と手数料
暗証番号を忘れてしまった場合だけでなく、心配なときは自主的に変更することも可能です。
再設定は各都道府県の運転免許センターで受け付けており、再発行手数料はおおむね400円〜500円程度です(地域によって異なるため、要確認)。
本人確認書類とともに運転免許証を持参すれば、即日再設定が可能な場合もあります。
暗証番号は「使わないからこそ」忘れやすい
運転免許証の暗証番号は、設定して終わりではありません。
使う機会が少ないからこそ、メモや管理ツールで忘れない工夫をしておくことが大切です。
いざというときに手続きが止まらないよう、今一度ご自身の管理状況を見直してみましょう。
運転免許証の写真にカラコンはOK?|不適正とされる写真の具体例と注意点
この章では、運転免許証の写真における「カラコン(カラーコンタクト)」の扱いや、その他の不適正とされる写真の条件、そして却下されやすいパターンについて詳しく解説します。
「せっかく撮った写真が使えなかった」「免許センターで再撮影を求められた」とならないように、撮影時の注意点を事前に知っておきましょう。
結論:カラコンは原則NG
運転免許証の写真において、カラコン(カラーコンタクトレンズ)は原則として認められていません。
特に以下のようなカラコンは不適正写真として却下される可能性があります。
- 瞳の色を変更する目的のカラコン(青・緑・グレーなど)
- 瞳の大きさを不自然に拡大する「サークルレンズ」
- 輪郭を強調して印象を変えるタイプのカラコン
運転免許証の写真は、本人確認を目的とした公的証明書です。
そのため、実際の顔貌や目の特徴が分かりにくくなる加工や装飾はすべてNGとされています。
どうしてもカラコンを装着しないといけない事情がある場合は、事前に免許センターに相談しましょう。
その他のNGな写真の例
カラコン以外にも、運転免許証の証明写真として認められないケースは多々あります。
以下のような条件に該当する写真は、原則として不適格とされ、再提出が必要になります。
顔の大きさ・位置が適正でない写真
- 顔が写真の8割以上を占める(アップになりすぎている)
- 顔が小さすぎて判別しづらい(背景が多すぎる)
適正な写真では、顔が中央に配置され、頭頂からあごまでが適切な比率(写真の65~75%程度)になるように調整されています。
表情や目線に関するNG例
- 笑顔(歯が見えている)
- 目を閉じている、または半目
- 目線が正面を向いていない(左右にズレている)
- 前髪やメガネの反射で目が隠れている
免許証の写真は「無表情・正面・目を開けた状態」が基本です。
スマートフォンなどで撮影したスナップ写真ではこれらの条件を満たしにくいため、注意が必要です。
背景や環境に関するNG例
- 背景が人物と同化していて不明瞭(カーテンや家具と色が近いなど)
- 屋外やカフェなどのスナップ写真をトリミングしたもの
- 背景に他人や物が映り込んでいる
背景は「白、または薄いグレー」が理想とされており、人物の輪郭がはっきり分かる状態が求められます。
写真の品質に関するNG例
- ピンボケしている
- 汚れや傷がある
- 光の反射で顔が白飛びしている
撮影機器や照明の条件によっては、こうした問題が起きやすいため、証明写真専用の機械や写真館での撮影がおすすめです。
装着物や衣類による却下の可能性
写真に写っている装備品によっても不適正とされる場合があります。
- 幅広のヘアバンドや帽子で顔の輪郭が隠れている
- 濃い色のサングラスや色付き眼鏡
- イヤホン・ヘッドホンを装着している
これらは一見無害に見えますが、「本人確認の妨げになる」という理由で却下される可能性が高いです。
なお、耳にかける補聴器や医療的な装着物に関しては、申告すれば認められることもあります。
撮影時に気をつけるべきこと
ここまで紹介してきたNG例を避けるには、以下のような対策が効果的です。
- 証明写真ボックスを利用する場合は「運転免許証用」のモードを選ぶ
- 写真館で「免許証用」と伝えて撮影してもらう
- 自撮りは避ける(左右反転や角度のズレが発生しやすいため)
また、写真を持参する際には、「服が写っておらず裸に見えてしまう」といった意図しないNGも起こり得ます。
襟付きのシャツなど、フォーマル寄りの服装を選ぶことで安心です。
例外的に認められるケース
体質・病気などにより、本人識別が容易であれば、例外的に認められる写真もあります。
たとえば:
- 脱毛症の方がウィッグを着用している
- 宗教的理由でスカーフ等を使用している
- アレルギー等により素顔のまま撮影が難しい
こうした場合には、事前に運転免許センターへ相談しておくことで、個別に対応してもらえるケースがあります。
カラコンだけじゃない!見落とされがちな写真の注意点
運転免許証の写真では、カラコンのように「目元の印象を変えるアイテム」は明確にNGとされています。
それだけでなく、顔の大きさ・目線・背景・装備品など、細かな条件を満たさなければ不適正とみなされる可能性があります。
証明写真ボックスや写真館を上手に活用し、万全な状態で免許更新に臨みましょう。
運転免許証の顔写真を変更したいときの手続き方法|再発行の流れと費用・注意点
「免許証の写真が気に入らない」「撮影時の体調が悪く、顔色が悪く写ってしまった」など、写真に関する不満を抱える人は少なくありません。
以前は、こうした理由で運転免許証の顔写真を変更することはできませんでしたが、2019年12月の制度改正により、現在では本人の希望により写真の変更が可能となっています。
この章では、運転免許証の顔写真を変更したい場合の再発行手続きや流れ、必要書類、費用、注意点について詳しく解説します。
制度改正で写真変更が可能に
かつては、運転免許証の顔写真は「更新時」「紛失時」「破損時」にしか変更できない仕組みでした。
つまり、「写りが悪い」「見た目が大きく変わった」という理由では変更が認められず、最大5年間その写真を使い続ける必要がありました。
しかし2019年12月1日より、任意の理由による写真変更が可能に。
この制度改正により、写真に不満がある人でも、正規の手続きを経れば新たな顔写真付き免許証を取得できるようになりました。
写真変更の具体的な方法
顔写真を変更したい場合は、「運転免許証の再交付申請」を行うことで対応できます。
この再交付手続きは、各都道府県の運転免許センターにて受け付けており、通常の免許更新とは異なる扱いとなります。
手続きの流れは以下の通りです。
1. 最寄りの免許センターに出向く
手続きは基本的に「運転免許センター」で行います。警察署では対応していない場合が多いため、事前に確認しておきましょう。
2. 必要書類を持参する
- 現在の運転免許証
- 新しい証明写真(条件を満たすもの)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、健康保険証など)
証明写真は、縦3.0cm×横2.4cmのサイズで、6か月以内に撮影されたものである必要があります。
また、前章で述べたような写真条件(カラコンNG・正面・無表情など)を満たしていることが前提です。
3. 再交付申請書に記入する
現地で配布される申請書に必要事項を記入し、写真を添えて提出します。
「写真を変更したい」という理由でも申請可能ですので、窓口でその旨を伝えましょう。
4. 手数料を支払う
再交付の手数料は、以前は3,500円でしたが、制度改正により2,250円へ引き下げられました(一部自治体で異なる場合あり)。
更新費用とは別の扱いになるため、時期によっては2回分の支払いが発生する点に注意が必要です。
5. 新しい免許証を受け取る
当日中に新しい免許証が発行される場合と、後日郵送・交付になる場合があります。
再交付の方法やスケジュールは自治体により異なるため、事前確認がおすすめです。
どんな理由でも写真変更できる?
基本的に「本人の希望」であれば理由は問われませんが、以下のような理由が多く見られます。
- 免許写真の写りが悪い
- 病気やけがで顔貌が変化した
- 性同一性障害などで性別移行に伴い外見が大きく変化した
- 髪型や体形、化粧などが以前と大きく異なる
「公的身分証明としての正確性」が重要視されるため、顔の変化が著しい場合は写真の更新が推奨されます。
更新タイミングと重なった場合はどうなる?
もし写真変更を希望するタイミングと、免許更新期間が重なった場合は、通常の更新手続き時に新しい写真を提出するだけで済みます。
この場合、再交付ではなく「更新」として扱われるため、費用は更新手数料のみで済むことがあります。
更新時に「写りの良い写真を持参したい」という方は、事前に撮影しておくと安心です。
写真変更後の注意点
再交付により写真を変更すると、免許証の「番号」が変わることはありませんが、「交付日」が更新されます。
そのため、次回の更新通知が従来より早く届くことがあります。
また、新しい免許証の情報が反映されるまで、各種本人確認システムでの反応にタイムラグが発生することもあります。
マイナンバーカードとの連携にも影響する?
運転免許証とマイナンバーカードの情報を連携させている場合、写真変更による再交付を行うと、再連携が必要になるケースもあります。
とくにデジタル庁の本人確認サービスなどと紐づけている場合には、写真変更後の再設定が必要になることがあるため注意しましょう。
納得できる顔写真で身分証明に自信を
免許証は日常生活のあらゆる場面で「本人確認書類」として使われる重要な身分証明書です。
だからこそ、納得のいく写真を使いたいと思うのは当然のこと。
制度が改正された今、「写真が気に入らない」という理由だけでも、正規の手続きで再発行が可能です。
手数料も以前より安くなっており、必要書類を揃えれば比較的簡単に対応できます。
次の更新まで待つのではなく、今すぐ新しい写真の免許証に切り替えたい方は、ぜひ検討してみてください。
まとめ
運転免許証は重要な身分証でもあるため、暗証番号や写真には細かなルールが設けられています。
カラコンや笑顔の写真はNGとされ、忘れがちな暗証番号も確認できないため注意が必要です。
写真の写りが気になる場合でも、現在は再発行による変更が可能になっています。
手続きの流れや費用を把握し、いざという時にスムーズに対応できるよう備えておきましょう。