改正空き家対策特別措置法とは 今後相続した空き家が大きな負債となる可能性大 どうすればいい?

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この度「改正空き家対策特別措置法」が可決され、年内中にも施行される予定となりました。この法改正により、今後は相続した空き家が大きな負債となる可能性が出てきました。「改正空き家対策特別措置法」により何が変わったのか、また、どのような問題が生じる可能性があるのか、今後古家を相続する場合はどういった点に注意すべきか、などについてお伝えします。

古くて大きな田舎の家に買い手など見つからない

親が地方に住んでいて自分は都市部で生活している。この先も実家には戻るつもりはない。

そういった人は、今の時代けっこう多いのではないかと思います。

特に結婚して子供が生まれ、都市部での生活が根付いてしまった場合などは、もうなかなか実家のある地方に戻って再び暮らすなんていうのは、ちょっと現実的ではなかったりしますよね。

そのために都市部に家まで買っているわけですから。

実は私の家庭も、まさにその状況にあり、実家は地方にあるものの、この先そこで暮らすかどうか…。

しかし親が高齢化し、しかも既に親も独り身となったいま、亡くなったときは私にその地方の古家が相続されます。

でも超ド田舎にあり、交通の便も非常に悪い古民家を相続したところで、なかなか買い手も見つからないでしょう。

実際、妻の祖母の家がいま既に空き家となっており、買い手が見つからないまま数年が経ち、親族で固定資産税を均等割で払い続けています。

この先誰も住まない家のために…。

この家は売りに出されているものの、まるで買い手がつかないのです。この家も古くて大きくて田舎の家なので。

しかしいま、この古い絵に対して新たな問題が生じようとしています。

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放置中の空き家の税金が高くなる?

これまでも2015年に施行された「空き家対策特別措置法」により「特定空き家」に指定された空き家は自治体が修繕するよう助言・指導、勧告などが行なわれ、改善の見込みのない空き家に対しては固定資産税減額の解除がなされ、実質増税されるというルールがありました。

しかし、実際はなかなか「特定空き家」の判定が難しく、「空き家対策特別措置法」はあるものの増税対象となるケースはほとんどなく、そのために以降も空き家の件数は右肩上がりで増えていきました。

そういった背景から、この度「改正空き家対策特別措置法」が新たに成立し、6月14日の公布から半年以内に施行れることになりました。

その法改正により、今後は相続した実家の取り扱われ方が大きく変わろうとしています。

改正空き家対策特別措置法とは

この度の「改正空き家対策特別措置法」により、放置すれば「特定空き家」になる恐れのある物件に関しては、今後は「管理不全空き家」に認定され、状況の改善がなされない場合は固定資産税等の軽減措置が解除され、固定資産税額が減額時の6倍となります。

住まない家の固定資産税額が6倍に膨れ上がるとなると、さすがに空き家の所有者もなんとかしなければと動き出すであろうというのが、今回の法改正のねらいのようです。

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管理不全空き家に該当する家とは

ここで気になるのは「管理不全空き家」に該当する家とは、どういった家なのかということです。

これは近所から自治体へと苦情などのあった空き家や、市区町村長が指定する空き家等管理活用支援法人が認定した空き家など、これまではスルーされていた多くの空き家がこの「管理不全空き家」に該当してくると予想されます。

数年間誰も住んでいない、窓ガラスが割れている、庭が雑草だらけ、などという家は、まず間違いなく管理不全空き家と認定されてしまうことでしょう。

つまりもう、遠く離れた実家を相続したのであっても、放ったらかしのままにはできないということです。

古家の相続、今後はどうする?

ここで問題となるのが、親から相続した古家です。

特に地方にある古くて大きな古家などは、誰も借り手もいなければ買い手もつきにくいものです。

固定資産税の計算は課税標準額×税率で計算されます。

例えば課税標準額1000万円の土地であれば、17万円(1000万円×1.7%)が年間の固定資産税となります。

これまでは空き家であればその6分の1程度に減額されていたものが、「管理不全空き家」とみなされるとこの減額が認められず、毎年住まない家のために17万円の固定資産税を払い続ける義務が生じます。

こうなるとこの空き家は明らかに負債でしかありません。

今後はそういった面も考慮しながら、家を相続をするかどうかを考える必要が出てくるでしょう。

その他のプラスの遺産がない場合は、住む予定のない古家は相続しないとするか、親の存命中に処分をしておくことを考える必要があります。

この改正法により今後問題となるのが、随分昔に空き家と共に遺産を相続した場合です。

相続したプラスの資産がもう手元にないにも関わらず、古家が売却できないといった問題が、改正空き家対策特別措置法の施行の後、多く現れてくるのではないかという気がします。

まとめ

新たに可決された「改正空き家対策特別措置法」が、年内に施行される予定です。

この「改正空き家対策特別措置法」により、今後は放置中の多くの空き家が「管理不全空き家」とみなされ、固定資産税の減税措置が解除されることにより、大きな税負担が生じることが予測されます。

これまでの「空き家対策特別措置法」では「特定空き家」の認定が難しく、空き家は放置されたままのケースが多かったのですが、改正後は放置中の家はほぼ「管理不全空き家」と認定される可能性が高まります。

そのため、特にあまり需要のない地方の古家や、自身でもこの先住む予定のない古家を相続すると、毎年多額な固定資産税を払う義務が発生し、大きな負債を抱えることになりかねません。

今後は遺産を相続する場合に、古家の扱いに関して十分に検討したうえで、資産を相続するかどうかを見極める必要が出てくるでしょう。

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