ゆで卵を始めとした卵料理の消化時間とカロリーについて 卵の栄養素と調理法による吸収の違い
卵は良質なたんぱく質を持った食品で、「完全栄養食品」ともいわれています。そんな卵ですが、実は卵は生で食べるか、半熟で食べるか、固ゆでで食べるかによって、栄養の吸収や効果に違いがあるのをご存知でしょうか。
ここでは、調理方法によるゆで卵の、消化や栄養素、カロリーの違いなどについて説明していきます。
もくじ
ゆで卵の消化時間
卵は調理法によって、消化時間も異なるといわれています。
その消化時間は、半熟卵、生卵、卵焼き、固ゆで卵の順に長くなっていきます。
消化時間の測定例をあげると、
半熟卵:1時間30分
生卵:2時間30分
卵焼き:2時間45分
固ゆで卵:3時間15分
となっており、加熱すればするほど消化時間は長くなることがわかります。
これは、卵の白身は加熱するほど消化が良くなり、黄身は加熱するほと消化が悪くなるという特徴を持つためで、白身と黄身との加熱具合がちょうど中間である半熟卵が、一番消化がよくなるということになります。
なんだか、面白いですよね。
ゆで卵のカロリー
ゆで卵のカロリーは、100gあたり151kcalです。
卵黄は100gあたり387kcal、卵白は100gあたり47kcalと、卵白に比べ卵黄のほうが8倍くらいカロリーが高いです。
卵1個分(可食部約60g)で考えてみると、全体のカロリーが約95kcalです。そのうち、卵黄は約20gなので77kcal、卵白は約40gなので18kcalとなります。
つまり、ゆで卵のカロリーの多くは、卵黄が占めていることになりますね。
ちなみに、生卵とゆで卵のカロリーの差はほとんどありません。
卵の栄養素
卵には多くの栄養素が含まれており、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素がほとんど含まれていてると言われています。
特に卵の中ですぐれている栄養素は、
- アミノ酸
- レシチン
- コラーゲン
- ビタミン群
となります。
それぞれをもう少し詳しく見ると、次のようになります。
アミノ酸
体内で合成することのできない9種類の必須アミノ酸が、バランス良く含まれています。
レシチン
神経伝達物質を生成する働きや、コレステロール値を下げる働きがあり、老化や動脈硬化を予防します。
コラーゲン
コラーゲンの素になるアミノ酸が多く含まれているので、肌にハリやツヤを与えてくれます。
ビタミン群
ビタミンは健康維持に欠かせない成分で、卵にはビタミンA・B1・B2・D・Eなどが豊富に含まれています。
卵がこんなにも栄養価が高いのかとわかると、俄然食べなくちゃ!と思ってしまいますね。
卵の栄養素と調理方法
卵には他にも葉酸・鉄・カルシウムなど、体によい栄養素が多く含まれています。
ただし、加熱する時間の長さにより、栄養の吸収や効果が変化するため注意が必要です。
各調理方法による栄養素の違いは、次のようになります。
生卵の栄養素
卵に含まれるビタミンB群やレシチンは熱に弱いため、加熱すると減少してしまいます。栄養素を効率よく摂取するためには、生で食べるのがおすすめです。
半熟卵の栄養素
半熟卵は、もっとも体に負担をかけずに、豊富な栄養素をすばやく吸収することができます。
加熱時間によってトロトロ具合が変わってきますが、最も吸収がよいのは温泉卵くらいの状態です。
ゆで卵の栄養素
ゆで卵は、しっかり火を通しているので、食あたりの心配がなく安心して食べられる調理方法です。
また、ビオチンという栄養素を十分に取ることもできます。白身に含まれるアビシンという成分は、ビオチンの吸収を妨げてしまいがちですが、ゆで卵は白身と黄身を混ぜずに加熱・摂取することができるからです。
ビオチンには髪の毛を作る成分が含まれており、育毛効果が高いといわれています。
目玉焼き・卵焼きの栄養素
脂溶性のビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどは、油と一緒に摂取することで吸収率がアップします。そのため、これらの栄養素を効率よく摂取するためには、油を使う調理法がおすすめです。
ゆで卵の作り方
最後に、ゆで卵の作り方をご紹介しておきます。手順は以下のとおりです。
- 鍋に卵が浸るくらいの量の水を入れ、火にかけ沸騰させる
- 中火にした鍋に、冷蔵庫から出したばかりの卵をそっと入れる
※最初の2分間、菜箸などで卵をゆっくり動かすと、黄身が真ん中に固定されやすくなります。 - 好みの固さまでゆでたら、卵を取り出して冷水に入れる
※ゆで時間の目安は、温泉卵:6~7分、半熟:8~9分、固ゆで:10~11分です。 - 完全に冷めたら、卵の丸い部分をたたいて割り、殻をむく
※水の中で殻をむくとむきやすくなります。
まとめ
卵には幅広い料理法がありますが、加熱するかどうかや加熱する時間等によって、栄養の吸収や消化のしやすさが異なることがわかりました。
調理方法による好みもあると思いますが、栄養面などを考慮する場合は、加熱時間の違いによる栄養素の吸収の違いも良く理解して、効率よく卵の栄養素を摂取するのも一考かと思います。
以前は卵はコレステロールが高いので、1日に1個までと言われていましたが、レステロールは食事より体内で合成される割合のほうが高いことがわかって以来、卵の摂取制限についてはあまり耳にしなくなりました。
卵は栄養価も高いので、倹約レシピにも大いに役立てていきたいところです。