パリ協定で日本が批判されている理由とは?日本が受賞した「化石賞」や石炭火力発電の問題点について

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いま地球は温暖化に関するとても深刻な問題を抱えています。このままだと21世紀末には、平均気温が4度上昇し、水不足や農作物の減少・干ばつや森林火災・海面の上昇などが起こるといったものです。そのため、パリ協定により先進国だけでなく、全ての国にCO2削減対策が義務づけられました。

そのなかで日本は「温暖化対策に後向き」と認定され、「化石賞」という不名誉な賞を贈られています。ここではパリ協定での日本批判の理由や、化石賞と石炭火力発電の問題点などについて解説していきます。

パリ協定とは

パリ協定とは、2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みで、2015年12月にフランス・パリで開催された「COP21」(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で合意された協定です。

「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目的で、国際社会全体で温暖化対策を進めていくことを掲げています。

パリ協定は、1997年に定められた「京都議定書」の後継となるものです。京都議定書は先進国のみが対象でしたが、パリ協定は先進国・途上国を含むすべての国が削減目標の対象となりました。

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パリ協定で日本が批判されている理由

石炭などの化石燃料を使用することは、温室効果ガスを増やし、気象災害などが頻発する危険を大きくさせるため、国際社会が進めようとしているCO2の削減に逆行しています。

2019年12月に開催された「COP25」の開会式で、国連のグテーレス事務総長は現在でも石炭火力発電所が計画・建設されている国があることを指摘し、「このままでは気候変動対策が無駄になる」と脱化石燃料への行動を各国に求めました。

しかし、日本は石炭火力発電を今後も建設する計画があるだけでなく、石炭火力発電装置を数多く輸出する計画もあります。

そのためこうした国連の考え方に逆行する行動を取る日本は、「温暖化対策に後向き」だと認定され、「化石賞」という不名誉な賞をこれまで二度にわたり贈られてしまったのです。

化石賞とは

化石賞(Fossil Award)とは、CAN(気候変動アクションネットワーク)という環境NGOが、地球温暖化対策に消極的だと判断された国に対して、COPの会期中に皮肉を込めて贈る不名誉な賞です。

「化石」という名前には、「化石燃料」という意味の他に、「化石のような古い考え方を今も続けている国」という、2つの意味が込められています。

これまでに化石賞を受賞している国は、日本の他にオーストラリア・ロシア・カナダ・サウジアラビア・アメリカといった経済大国がほとんどです。ちなみに、最も多く化石賞を受賞している国はアメリカです。

経済大国である中国が受賞していないのを不思議に思う人もいるかも知れませんが、これは中国はCO2を排出していても、脱炭素へ移行することに前向きな姿勢を示しているためです。

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石炭火力発電が批判される理由と日本の現状

石炭による火力発電は、石油や天然ガスよりもCO2の排出量が多く、発電効率のよい方式の石炭火力発電でも、天然ガスの倍近いCO2を排出します。

そのため、CO2排出ゼロを目指すためには、石油や天然ガスよりも、石炭による発電を止めることが優先されています。

そうとわかりながら日本が石炭火力発電をやめられない理由には、「エネルギー安全保障」の問題があるからです。

日本はエネルギー源として、中東から多く石油を輸入していますが、中東の石油は供給が常に不安定で、値段も激しく変動します。

それに対して石炭は、世界的に埋蔵量も多く、安価にて手に入るだけでなく、オーストラリアなど比較的近い国から輸入することもできます。

そういった理由があり、日本では特に東日本大震災の影響で各地の原発が止まったあと、石炭火力発電所が一気に増えました。

いま石炭火力発電所を減らしてしまうと、更に電気料金は高騰してしまうため、石炭火力発電所を減らせないという状況にあるのです。

パリ協定における日本の目標

パリ協定では、以下のような世界共通の長期目標があります。

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
  • できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

そのなかで日本は、中期目標として「2030年度までに温室効果ガスの排出量を26%削減する」と定めています。

日本の場合は、26%削減の基準を2013年度に指定していますが、これは東日本大震災のあとに原発の代わりに火力発電の割合を増やし、CO2の排出量が一気に増えた年です。

そのため、国際的には日本の目標は不十分だという指摘をされています。

まとめ

なかなか日本が厳しい状況に晒されているということがわかりました。

近年日本では台風や大雨など、異常気象による被害が頻発しています。これらも地球温暖化などの影響と言われています。

脱炭素化が地球温暖化を食い止めるのであれば、それに伴い自然災害も減少するでしょう。これら2つの問題は、常にセットで考える必要があります。

それなのに、日本では矛盾した行動が生じてしまっているわけなんですよね。

2020年からパリ協定の本格的な運用が始まりましたが、パリ協定の目標を達成するためには、国任せにしていては、とてもではありませんが達成は不可能でしょう。

今後は個人レベルでも脱炭素化に対する意識を高めていくことが必須です。

日本がこれ以上「温暖化対策に後向き」と批判されないためには、なんとか石炭火力発電の廃止を行う必要があります。だからといって原子力発電所を再稼働させてしまっては、元も子もありません。

非常に難しい問題です。各個人が電気消費量を減らす努力をする必要があるのでしょう。

そのためには、これまでの生活スタイルや価値観を、根本的に変える必要がありそうです。

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