クマが街に降りてヒトを襲い田畑を荒らす事案が急増している理由とは?駆除は可哀そう?
今年はクマが出たというニュースが多い気がします。
はっきり言って、街中で出会った日には、最悪のケースを頭がよぎることは確実です。
「森のくまさん」という童謡がありますが、騙されてましたね・・・。
合っていたのは、「あとからついてくる」という部分だけ。
しかもクマへの対処法は、基本的にはないに等しいと言うではありませんか(汗)
そんなクマですが、なぜ、こんなにも遭遇案件が多いのか、一応、調べてみると驚くべきことがわかりましたので、シェアします。
もくじ
出没情報・人身被害件数・捕獲数
まず統計から調べてみると、環境省がデータを公開していますが、いずれも令和5年の速報値ではありますが、
- クマ類の出没情報:13,132件
- クマによる人身被害件数:180人(他5名死亡)
- クマの許可捕獲数:捕殺4,204、非捕殺101
となっています。
ちなみに、
九州・沖縄8県については、クマが生息していないので、調査外としています。
と書かれており、これにはびくっりしました。
野生のクマは居ないんですよ・・・。
熊本県の阿蘇地域には「クマ牧場」があるんですけど、野生のクマがいないというのは、初めて知った次第です。
クマ出没の特徴
今年(2023年)においては、街中で見かけるクマは、親子連れが多いという傾向が見て取れます。
親子で街にエサを求めて山から降りてくるわけです。
子連れの母グマは、攻撃的になりやすいということですから、迂闊に「かわいい」などの理由で、小グマに近づくものではありません。
その前に、突然、目の前に現れるケースが多いようですから、小グマをひょっこり見かけるのは珍しいことだと推測します。
さて、エサを求めてクマが山から降りてくるには、大きく理由がふたつあります。
- ブナの実(ドングリ)の不作
- 冬眠のための脂質補給
ブナの実が大凶作の年ほど、クマが山から降りる傾向が強いことは、すでにわかっていることなのです。
好物はハチミツじゃないんです・・・。
クマのプーさんの影響を受け過ぎました(汗)
では、親子連れで降りてくるのは?
その理由は次の章で説明します。
ブナの実とクマの活動
ブナの実、つまりドングリが豊作ならば、クマは人里に降りる必要性がありません。
たっぷりと食べて、冬眠に備えればよいのです。
ちなみにクマの繁殖の時期は夏であり、出産時期は冬眠中なのが定番のパターンとなっています。
冬眠中に生まれた子グマは、その中でスクスクと育ち、冬眠明けには立派な小グマになっているわけです。
で、冬眠を終えて、エサのドングリなどが少なければ、親子でひもじい思いをしますから、人里に降りざるを得ない状況になります。
これが親子でのクマ出没のカラクリです。
腹が減っている、子どもも連れている、そんな母グマですから少しの刺激で、攻撃的になるのは理解できますね。
ハンターの高齢化
さて、人に危害を加えてしまった場合は、基本的にハンターによって駆除されることになります。
そのハンターも高齢化がすすみ、しかも人数も減っていることから、そもそもクマの捕獲も効率的ではありません。
これまでは頭数の調整が上手く機能していたわけですが、増えすぎると困る面も、見えてきたのではないでしょうか。
クマの駆除はダメなのか?
クマを駆除するなんて可哀そうということを、わざわざ区役所などに電話する人もいるそうです。
言うだけではなくて対案を出した方が建設的だと感じますが、いかがなものでしょうか。
クマにケガを負わされた人の前で、可哀そうな理由などを話してみることは、絶対にしないんですよね、そういう人たちって。
感情だけで動くのは説得力のかけらもありません。
実はクマだけでなく、鹿、イノシシ、ハクビシン、イタチなども人里に下りて被害が出たり、屋根裏に潜んだりする事案も増えています。
クマに関して文句言う人は、その辺は一切、触れないんですよね。
多分、テレビのニュースで見て、感情的になっているだけというのが想像できますから、対応する役所などに対して大変だなあという印象です。
ある意味、カスハラ。
まとめ
「クマが街に降りてヒトを襲い田畑を荒らす事案が急増している理由とは?駆除は可哀そう?」というテーマで、クマ出没に関する情報について書きました。
クマはこれからも人里に降りてくる可能性は高いです。
特に山のふもとで農園を営んでいる場合は、作物が荒らされることが多いのではないでしょうか。
そうなってしまうと、せっかくの農産物が流通せず、市場への供給が少なくなると価格が上がってしまうことは、誰でも想像できることです。
一番いいのは、ブナの実が毎年、充分に育ってくれることなのですが、それだとクマが増えすぎて、トレッキングなどの自然との触れ合いも難しくなるのかもしれないですね。
難しい問題です。
参照
クマに関する各種情報・取組 || 野生鳥獣の保護及び管理[環境省]