ダイハツが安全性確認の認証試験で不正!元製造業社員が原因を従業員の観点から切れ込む!
この年の瀬に、とんでもない大ニュースが出てきましたね。
軽自動車業界をけん引してきたダイハツの不正・・・。
しかも安全性を確認する認証試験という、なかなか薄ら怖いことをやってきたという事実は、まるで自動車版サイレントキラーです。
静かに危険が及ぶという意味ですけど、今、もっとも欲しい情報は、どの車種の何が不正だったのかという詳細。
いちユーザーとしては、通勤などに必要としていることから、乗り止めることもできません。
ダイハツは故障しにくくてタフであるという印象で、実際に、エンジントラブルはありませんでしたが、正直、複雑な思いがあります。
そこで今回は、ダイハツの不正問題について、私見を述べたいと思います。
もくじ
ダイハツの影響
これまた随分と思い切ったことをやったもんです。
国内外向けの全車種について、出荷を停止するという措置ですが、シンプルに一般ユーザーだけでなく、
- ディーラー
- 販売代理店
- 自動車修理工場
- レンタカー業者
- リース業者
などの法人にも大きく影響することが予想されます。
一番痛いのはダイハツではあるんですけどね。
出荷停止は売上が立たないということですし、恐らく、生産工場は操業も停止している可能性があります。
国土交通省の立ち入り検査が実施されますから、一時的にも動きは止まります。
なぜ、このようなことになったのでしょうか。
青天井の生産性向上
実際に、製造業界に身を置いた経験がある筆者からすると、生産性の向上という魔物に取り付かれたと言えます。
聞こえは良いですし、実際に、生産効率を上げるということは、生産部門の至上命題です。
ところが、生産性の向上には限界がないと、布教して回る節も垣間見えて、筆者は勤めていた時から違和感を感じ続けていました。
いろいろと突き詰めて、MAXに近い生産性に達しつつあると、無理矢理にでも成果を出そうとする心理が働きます。
毎年毎年、目標というものがあり、それに応えなければなりませんから、次第に追い詰められるんです。
日本の製造業における生産性って、優秀過ぎるレベルがゴロゴロと存在しているので、自己満足の世界に見えてしまうこともあります。
いやいや顧客は、そこまで求めてないよと、明らかに当事者も気付いているのですけど、全社的に生産性の向上を掲げ続けられると、止められない・・・。
ここに落とし穴、つまり禁じ手が発動されるトリガーがあると、見ています。
不正は最速
裏を返せば、不正は最も手っ取り早い生産性の向上策です。
いわゆる手抜き。
やっているように見せることって誰にでもできますし、チェックが素通りされるだけで、かなりの違いが出てきます。
ただし、一旦、味を占めてしまうと元に戻れないので、ダイハツも30年以上放置している事案もあったことが、その証左と言えます。
不正を行うのは、得てして上からのプレッシャーです。
上と言うのは、経営陣や直属の上司であり、恐らくダイハツは短期的な開発の成功体験があったばかりに、生産性向上という曲面でプレッシャーになっていたものと想像します。
現場レベルでも、見て見ぬふりや昔からの慣習で、一部の検査は「なあなあ」になっていた部分もあったのではないかと。
スピード重視は危険
生産性の向上って、要は「早く作る」というだけなんです。
もちろん品質基準は定められてはいますから、それを蔑ろになるようなことは出来ませんけど、実際に、両立って無理が重なります。
どっちを取るかというトレードオフな部分もあって、でもそれは、作業者にとっては重要なんだけども、管理側としては関係なくて、結果がすべて。
結果が伴わなければ、工夫が足りない、改善の目の付け所が悪い、なんて、もはや重箱の隅を突くことが生産性向上のカギとなってることもあります。
それって、かなり危険です。
競争を履き違えている。
生産性向上って、あくまでも内輪での問題解決であって、企業間でコンテストをやるわけじゃないです。
アホな上司は、生産性の向上が売上につながると、よく言っていたのですが、まったくと言っていいほど関係ありません。
少しは寄与するかもしれませんが、欠品しない程度の生産力があれば、充分のはずなんです。
ゴールのない競争
これからも製造業は、生産性向上に取り組み続けることと思います。
ゴールもなく天井も見えないマラソン。
人は使い倒され、プレッシャーの毎日。
これのどこが「働き方改革」でしょうか。
筆者は製造業を辞めたお蔭で、バランスの良い生活が送れています。
ホントに見切って良かったです。
生産性向上は薬にも毒にもなることが、ダイハツで露呈したように、妄信すると裏切られますよ。
まとめ
「ダイハツが安全性確認の認証試験で不正!元製造業社員が原因を従業員の観点から切れ込む!」というテーマで、生産性向上という面から今回の事件に言及しました。
日本の製造業は強いです。
中を見れば、時間に追われて、疲弊している人がいてこそ、生産性の向上は成り立っているケースもゼロではありません。
生産性の向上に囚われると、大きなものを失うという例ですね。