政府が3人以上の多子世帯に所得制限なしで学費を無償化することって非現実的じゃないか?

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教育費は高騰しています。

確かに家計がキツキツな家庭は、子どもの希望する進学先を限定してしまうどころか、進学さえも危うい状況になります。

無理矢理進学するとなると、その手段としては、

  • 特待生(授業料無料などの特典を受ける)
  • 4年間トータル数百万円もの奨学金に期待する
  • アルバイトをしながら苦学生として学ぶ

どれをとっても、一筋縄ではいきません。

国が救済策を提案するのは素晴らしいことですが、どのみち公平性は保たれないため、いかに納得させれるかが問題です。

ところが今回取り上げるネタは、あまり現実性がないため、私見を述べてみたいと思います。

子ども3人世帯の大学無償化

まず、国が提案している内容を整理すると、

  • 子どもが3人以上の世帯の話し
  • 3人目だけでなく他のきょうだいも対象
  • 大学の授業料を無償化
  • 所得制限はない
  • 限度額は設ける可能性

といった点です。

つまり、一人っ子や2人兄弟姉妹は、なんとか自力でやりくりしてねって話しです。

まだ3人目は現実的な状況の世帯においては、長期的な観点からしても、それまで、この変な制度が機能しているか定かではありません。

ましてや既に末子が中学生や高校生の世帯となると、3人目なんて論外ということの方が多い気がします。

どちらにしろ、有効性は限定的と言わざるを得ません。

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高等教育の修学支援新制度

現時点でも2020年4月から、住民税非課税世帯および準ずる世帯の学生については、

  • 授業料・入学金の免除や減額
  • 給付型(返済不要)奨学金の支給

という制度が実施されています。

言うなれば、この制度を子ども3人世帯を対象にして所得制限も撤廃して、授業料の免除を行うイメージです。

どういう狙いがあるのか、まだ明確にはわかりませんが、

  • 3人目からではない
  • 多子世帯のみが対象

という点が、非常に疑問に感じます。

なんと言いますか、あえて実現性が低いことを承知の上で、とりあえず実績作りのポーズのような気がしてなりません。

逆に言えば、一人っ子と2人兄弟姉妹の世帯は、何のメリットもない制度であることから、そりゃ風当りが強いのは当たり前です。

多子世帯の割合

では、子どもが3人以上いる多子世帯は、日本では、どの程度の割合なのでしょうか。

2022(令和4)年の国民生活基礎調査によれば、児童数ごとに、

  • 1人:49.3%
  • 2人:38.0%
  • 3人以上:12,7%

という割合です。

ね、予想通り、効果は限定的と知りながら、やりますよというポーズを取りたかったものと推測します。

だがしかし、あまりにも効果は限定的なためネットでも炎上してしまうという、悲しい状況です。

一人っ子世帯が一番多いのですね・・・。

一人っ子、あるいは2人兄弟姉妹までも対象としてしまうと、恐らく財政的に大学までの授業料の免除や減額は、国の負担が大きすぎるのでしょう。

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根本は少子化対策

これは教育的な対策ではなくて、あくまでも少子化対策です。

3人以上の子どもを持ちたい世帯に対して、安心して子どもを生み、育ててくださいという意味が込められているのですが、斜め上にもほどがありますよね。

考えたのは役人でしょうか・・・。

一方では、いわゆる学生集めに苦労している私立大学に対して、長い目で見た救済策ではないかと見る意見もありますが、多分、それまで持たない私立大学も出てくると考えます。

自分の学力以外の影響で授業料がタダとなると、能動的な学びをしない学生ばかりになりそうな気がします。

何はともあれ、ヤバい制度になりそうですね、本当に実施するつもりならば。

まとめ

「政府が3人以上の多子世帯に所得制限なしで学費を無償化することって非現実的じゃないか?」というテーマで、妙な少子化対策について書きました。

いやいや、とても少子化対策とは思えない、妙な制度に感じます。

子どものいる世帯の人数別の割合からしても、効果は限定的すぎることは、明らかなのではないでしょうか。

参照

高等教育の修学支援新制度:文部科学省

国民生活基礎調査|厚生労働省

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