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斡旋とあっせんは漢字と平仮名の違いだけではない!労働紛争を解決する手段の「あっせん」とは?

よく知らない者同士が集うことになる職場。

求人を見ると、フレンドリーな会社、アットホームな会社など、中小企業や比較的小規模な事業所ほど強調します。

が、裏を返せば、人の入れ替わりがないばかりに、そこを仕切るベテランを中心に新人が来ると集団で無視、いじめ、いやみ、悪口などもあるとか。

そのような「あるある」な状況を知ってか知らずか、いけしゃあしゃあと文字にして公開できるものだと思います。

もちろん大多数の事業所はコンプライアンス遵守を掲げて、日々、従業員を教育管理しているわけですが、パート・アルバイトさんまでは浸透しづらいことも。

ともかく職場で、自分には非がないのにイザコザに巻き込まれるということがあったら、すかさず「あっせん」を検討してみてください。

あっせんとは

あっせんという言葉を聞けば、ほとんどの人は「斡旋」を想像すると思います。

今回、取り上げるのは「あっせん」というひらがな表記の方です。

簡単に違いを説明すると、

  • 斡旋: 人や物事の仲介をすること
  • あっせん: 労働紛争解決手続の一つ

なのです。

主要な部分を表にまとめると、以下のようになります。

項目 斡旋 あっせん
対象 人や物事 労働紛争
手続 民間ベース 公的な手続
専門家 特定の資格不要
労働問題の専門家 (あっせん委員)
合意 当事者間の合意
あっせん調書作成
強制力 なし

あっせんの概要

あっせんは、労働者と使用者の間に入り、公正かつ中立な立場で解決案を提示し、自主的な合意による紛争解決を促す手続きです。

その目的は、円満な労使関係の維持・促進にあります。

あっせんの手続きは簡便で迅速かつ無料で行われ、非公開性が確保されています。

また、第三者の判断ではなく、当事者間の合意に基づく解決を目指すことが基本で、労働問題の専門家であるあっせん委員が紛争解決をサポートするしくみです。

対象となる紛争としては、例を挙げると、

  • 賃金、解雇、配置転換など、労働条件に関する紛争
  • いじめ・嫌がらせなどの職場環境に関する紛争
  • 会社の設備・物品の破損に伴う損害賠償をめぐる紛争

などがあっせんの対象となります。

あっせん手続きの流れ

あっせん申請から合意成立まで、手続きの流れを具体的に説明します。

  1. あっせん申請
    労働者または使用者から、都道府県労働局または紛争調整委員会へあっせん申請書を提出。
  2. あっせん開始
    あっせん委員が選任され、あっせん開始通知書が送付。
  3. あっせん期日
    双方の主張を聴き、解決案を提示。
  4. 合意成立
    双方が合意すれば、あっせん成立。合意内容は「あっせん調書」にまとめられる。
  5. 合意不成立
    合意に至らない場合は、あっせん不成立。

あっせんのメリット

あっせんのしくみを利用することで、どのようなメリットがあるのかをお伝えします。

まず、裁判や労働審判と比べて手続きが簡便で、迅速に解決を目指すことが可能です。

第三者による判断ではなく、当事者間の合意に基づく解決を目指すことが特徴で、ケースバイケースですが、問題が解決されれば円満な労使関係を維持しやすいこともあります。

裁判沙汰になると弁護士費用など、かなりの経済面と心身の負担がかかりますが、あっせんは無料で対応してくれます。

さらに心強いのは、労働問題の専門家であるあっせん委員が、解決に向けたサポートを行ってくれることです。

あっせん委員は選任制で、

  • 弁護士
  • 社会保険労務士
  • 大学教授
  • 元裁判官
  • 元労働基準監督署長
  • その他、労働問題に関する専門知識と経験を持つ者

が担当します。

ちなみにあっせん手続は非公開で行われるため、プライバシー保護に配慮されるため、周囲に漏れることは基本的にはありません。

が、ウワサ好き、情報通といった人は職場には必ずいますし、まあ、雰囲気でもわかりますよね、きっと・・・。

あっせんのデメリット

メリットもあればデメリットもあるわけで、もっともなのは、合意に至らない可能性があるということです。

また、あっせん案は強制力を持たないため、合意に至っても履行されない可能性があることも。

複雑な案件の場合は、解決までに時間がかかりますし、何より当事者同士が直接話し合うことが基本であることから、心理的な負担は甚大です。

その負担、気まずさ、嫌悪感などは、離婚調停レベルかもしれません・・・。

最悪なのは、あっせん委員の質によって、あっせん結果が左右される可能性を否定できないということです。

あっせんの向き不向き

実は、案件によっては、あっせんの向き不向きがあります。

あっせんが適しているケースは、

  • 迅速な解決を希望する場合
  • 円満な労使関係を維持したい場合
  • 費用負担を抑えたい場合
  • 複雑な案件ではない場合

が例として挙げられます。

逆に、あっせんが不向きなケースとしては、

  • 強制力のある解決を求める場合
  • 心理的な負担が大きい場合
  • 複雑な案件の場合

になります。

まとめ

「斡旋とあっせんは漢字と平仮名の違いだけではない!労働紛争を解決する手段の「あっせん」とは?」というテーマで、労働紛争の解決手段についてかきました。

このあっせん、あまり知られていないかも知れませんが、いざというときは、頼ってみてもよいのではないでしょうか。

労働者だって、自分で自分を守る術のひとつとして、あっせんを覚えておいて損はありません。

参照

個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん) |厚生労働省

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