年金って丸々もらえるんじゃないの?厚生年金・国民年金から差し引かれるもの 手取りはいくら?

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年金は丸々もらえると思っているそこのあなた、実は厚生年金や国民年金の受給額からいくつかの社会保険料や税金が差し引かれ、手取りはもっと少なくなるんですよ。

では一体どれくらい引かれるのか、厚生年金・国民年金の場合を例に具体的に見ていきましょう。また、年金額が多い場合は更に引かれる額も増えることから、受給開始時期を遅らせることのデメリットの面についてもお伝えします。

厚生年金・国民年金のもらえる年金支給額

勤めている企業に社会保険があり、自身もその社会保険に加入している場合、厚生年金に加入していることになります。

受け取れる老齢厚生年金(いわゆる厚生年金)は、給与や賞与によって変わりますが、平均的な年金額は1年に約175万円。月額にすると約14万6000円です。これがを65歳から支払われる厚生年金になりまます。

また自営業者など、厚生年金ではなく国民年金を納めていた方の場合、20~60歳までの40年間(全期間)保険料を納めると、65歳から老齢基礎年金(いわゆる国民年金)が満額支給されます。

満額で受け取れる年金額は年間で78万900円です。月にすると約6万5000円になります。平均的な厚生年金の受給額と比べると半分以下という、かなり少なめということがわかります。

とてもじゃありませんが、国民年金だけでは生活できそうにありませんが。唯一救われている点は、自営業者の場合、定年がないということです。

反対の味方をすると、ずっと働き続けるか、老後のために蓄えを貯めておかないとならないということになるでしょう。

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年金から差し引かれるもの

お一人様の老後の暮らし、年金だけでやっていけるかな…。そんな不安に追い打ちをかけるかのように、さらなる事実がここにあります。

それは、年金は丸々手元に残るわけじゃなく、そこから差し引かれるものがある、ということです。

少ない年金なのに、これ以上一体何が差し引かれるのか?と言うと、次のようなものが年金から差し引かれます。

  • 所得税・復興特別所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料(75歳まで)
  • 後期高齢者医療保険料(75歳以降)
  • 介護保険料

では続いて、厚生年金と国民年金とで、それぞれどれくらい差し引かれるのか見ていきましょう。

※以降、話をわかりやすくするために、毎月の厚生年金の受給額を月12万円、厚生年金を6万5000円とし、年齢は65歳として計算します。なお、65歳未満の場合、65歳以上と比べ控除額が少ないことが一般的であり、そのため同じ年金支給額であってもより多くの税金が発生することがあります。

所得税・復興特別所得税

まずは所得税・復興特別所得税についてです。

年金に所得税や復興特別所得税が掛かるのかということですが、年金受給額は課税対象であるため(所得税・復興特別所得税)が掛かります。

しかし、所得税額の計算は、公的年金等控除額を控除した残りの額に対して課税されます。

公的年金等控除額は、65歳以上の場合110万円となっています。更に一律で基礎控除の48万円も差し引かれます。

そのため、厚生年金月額12万円(年間144万円)だと、

144万円-110万円(公的年金等控除額)-48万円(基礎控除)=ー14万円

控除額を差し引くとマイナスとなるため、所得税・復興特別所得税はかかりません。

同様に国民年金の受給額が月6万5000円(年間78万円)の場合だと、

78万円-110万円(公的年金等控除額)-48万円(基礎控除)=-80万円

控除額を差し引くとマイナスとなるため、所得税・復興特別所得税はかかりません。

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住民税

住民税は住んでいる自治体によって計算方法等が異なります。

横浜市の住民税の場合だと、市民税と県民税とを併せて、厚生年金月額12万円(年間144万円)の場合でも、国民年金月額月6万5000円(年間78万円)の場合でも、共に住民税は0円でした。

おそらくこの範囲内であれば、どのエリアでも住民税は掛からないと思われます。住民税がかかってくるのは、年金収入が月18万円を超える辺りからです。

国民健康保険料(75歳まで)

国民健康保険料の支払いは75歳の誕生日までです。75歳からは、後期高齢者医療制度へ移行となります。

国民健康保険料も住んでいる自治体によって請求額が異なります。

横浜市のウェブサイトが案内する「令和5年度横浜市国民健康保険料の試算シート」のExcelシートより試算した結果、

144万円の厚生年金収入のみの場合:年間1万4460円(月1205円)
78万円の国民年金収入のみの場合:年間1万4460円(月1205円)

と、いずれの場合も年間1万4460円となりました。

国民健康保険料は所得割額と均等割額との合計から算出され、年間144万円の厚生年金があっても所得割額は0でした。つまり、均等割額のみの最低保険料ということになるようです。

介護保険料

横浜市では、市民税が非課税の場合、年額7万8000円の基準額をベースにその割合で決定します。

年収が80万以下の場合:7万8000円×0.25=1万9500円
年収が120万以下の場合:7万8000円×0.35=2万7300円
年収が120万以上の場合:7万8000円×0.6=4万6800円

この分類により、

144万円の厚生年金収入のみの場合だと、年間4万6800円(月3900円)
78万円の国民年金収入のみの場合だと、年間2万7300円(月2275円)

となります。

まとめ

厚生年金・国民年金から差し引かれるものについて調べてみたところ、年金から次のものが引かれることがわかりました。

  • 所得税・復興特別所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料(75歳まで)
  • 後期高齢者医療保険料(75歳以降)
  • 介護保険料

毎月、厚生年金の受給額が月12万円の場合と、国民年金で受給額が月6万5000円の場合で、具体的にシミュレーションしてみると(年齢は65歳とする)次のような手取り結果となります。

144万円の厚生年金収入の場合の手取り額

144万円-1万4460円(国民健康保険料)-4万6800円(介護保険料)=137万8740円(月11万4895円)

78万円の国民年金収入の場合の手取り額

78万円-1万4460円(国民健康保険料)-2万7300円(介護保険料)=73万8240円(月6万1520円)

となります。※横浜市の場合

今回、厚生年金も国民年金も共に非課税内であったため、所得税や住民税などが引かれませんでしたが、受給開始時期を遅らせて受給額が上がると、所得税や住民税が発生し、思いがけず手取り額が少なくなることもあることがわかりました。

仮に受給開始を70歳にずらし、5年遅らせると増額率は42%となり、12万円の厚生年金は17万400円に増額されます。

すると年間の年金収入は204万4800円に増え、

204万4800円-110万円(公的年金等控除額)-48万円(基礎控除)=46万4800円

46万4800円×0.05=2万3240円

2万3000円の所得税が発生し、住民税も発生します。当然、国民健康保険料や介護保険料も増加します。

そういった税金等の増加分を考えると、5年受給時期を遅らせても、実質は42%も増えないということです。おそらく手取りにすると、3割くらいのアップになるのではないでしょうか。

まぁ、3割でも大きいですが、受給開始時期を遅らせることでその分死亡リスクも高まりますので、それまでに貯めた資産などの兼ね合いをよく考えながら、受給開始時期を遅らせることを検討する必要がありそうです。

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