パワハラで訴えたい!録音効果は?慰謝料は?パワハラ相談窓口は?時効は?
パワハラ被害は増加の一途。
いや、もしかするとくすぶっていたものが顕在化した結果なのかもしれません。
社長や上司の命令は絶対で、叱咤激励のより奮発するのは社員として当たり前、なんていうのは昔の話です。
令和の時代では、そのような社長や上司は「使えない役職者」「コミュニケーションの取れない人」として煙たい存在となり、最悪のケースではパワハラで訴えられることにもなり兼ねません。
しかしながらパワハラの定義の難しさや、自分が悪いんだと思い込んでしまう社員が泣き寝入りするケースなどから、訴えるまでいかない案件も相当数あると思います。
まさかパワハラの相談窓口を設置していない会社は無いとは思いますが、明日は我が身と思って、相談窓口、慰謝料、訴え方、時効などを知っておきましょう。
もくじ
パワハラで訴えられた相手は録音で逃げ場なし
パワハラを受けていると感じたら、まず落ち込むしイヤな気分になりますが、さっさとボイスレコーダーを購入しましょう。
スマホをポケットなどに忍び込ませられるのなら、会話のたびに録音をします。
大体、パワハラをする人間は性格的に粘着質でしつこいタイプが多いですよね。
ネチネチと言い続ける特徴があります。
もしくは瞬間湯沸かし器的に暴言を吐くタイプも存在します。
どちらにしろ録音は証拠として効果抜群ですから、リベンジに備えてボイスレコーダーを手に入れましょう。
さらに決定的に証拠を押さえたいのなら、ピンホールカメラなどで現場を撮影するという手段もあります。
パワハラで訴える場合の慰謝料の相場
慰謝料の相場は世間的な感覚からすると、かなり低い金額が提示されます。
誰もが納得しないのではないかと思えるほど、金額的には心許ないのが相場です。
具体的には100万円ほどの支払い命令が出れば良い方です。
しかしパワハラの内容や期間などによっては、高額な慰謝料になるケースもあります。
ただ弁護士への報酬や諸経費などを考えると、金額的なメリットは期待できないことが多いかもしれません。
そのため慰謝料請求裁判では、金銭的な補償を得ると同時に、原告側からのパワハラを許さないメッセージが残せることに意義があります。
パワハラの慰謝料請求ステップ
パワハラで慰謝料請求をする場合は、以下のステップを踏むことになります。
- パワハラの証拠を集める
- パワハラ被害を会社に相談する
- 加害者および会社に内容証明郵便を送る
- 労働基準監督署にパワハラの相談をする
- 労働審判の申し立てを行う
- パワハラの慰謝料請求裁判を起こす
パワハラの高額慰謝料請求事例
長崎の海上自衛隊員が上官から誹謗中傷で鬱病を発症の末、自ら命を断った事件では、350万円の支払いとなっています。
また、病院の准看護師が勤務中に上司からのパワハラで、自ら命を断った事件では、1000万円の支払いになってます。
パワハラ被害者が同じ結末となっても慰謝料の違いに愕然とするばかりです。
パワハラ防止法施行でハラスメント相談窓口の設置が義務化
厚生労働省は各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などの379か所に、総合労働相談コーナーを設置しています。
2020年6月に「パワハラ防止法」の施行により、企業は「ハラスメント相談窓口」の設置が義務化されています。
パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の第30条では、
雇用管理上必要な措置を講じること
と明記されています。
そのため、まず社内の相談窓口にパワハラを訴えることが先決です。
ハラスメント相談窓口は「内部相談窓口」と「外部相談窓口」があります。
しかしパワハラを受けている人からすると、心情的に内部相談窓口の担当者が社内の人間だと事実が会社に伝わらない、つまり隠ぺいや歪曲を疑いますよね。
そういう場合は、会社に常駐または非常勤の産業医、カウンセラー、弁護士、社労士などプロを頼りましょう。
パワハラの訴えに時効はあるのか
パワハラの時効は、人身損害では5年、そのほかの損害なら3年と、非常に短いものです。
ただし精神的損害においては民法でも触れていないため、不明と言わざるを得ません。
まとめ
パワハラで訴えたいと思っても、いろいろなハードルや知らないこと、不安なことがたくさんあると思います。
判例を参照しても慰謝料は決して満足できるものではありません。
パワハラ防止法の施行により、企業はハラスメント相談窓口の設置義務を負いますが、実効性は会社によるでしょう。
厳しいようですが、現状はパワハラ被害者にやさしい制度やしくみがあるとは言えません。
パワハラを受けたらさっさと逃げる、もしくは覚悟を決めて訴えることで留飲が下がるとは言いませんが、少なくともパワハラから身を守る方法を知っておきたいものです。