飲酒による仕事は許さないのに睡眠不足による作業性の低下は全く意に介さない企業の末路

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会社とは実に不思議な場所です。

公立学校のようにブラック校則改め、ブラックな慣習や伝統がまかり通っている部分は否定できません。

しかし「上司との飲み会は嫌」といった若手社員の声が、SNSなどを中心に上がり続けて結果、ようやく嫌われていることを自覚した管理者が大人しくなったことを喜んでいる人は、きっと多かったはずです。

飲みにケーション?それって何がメリット?

メリットが無いから嫌われたのです。

このように酒絡みは社内で嫌われるわけですが、次に目を向けるべきは睡眠不足と作業性ではないかと考えます。

健康経営を唱える企業ほど従業員の睡眠時間にも配慮して欲しいところです。

日本の労働者の睡眠

さて、かつては「24時間働けますか?」というキャッチフレーズが大人気となった昭和時代。

今だと「何を言っとんねん」と冷めたツッコミを食らうだけでなく、下手すると炎上騒ぎになるようなフレーズです。

当時は時代背景もあって受けたわけですが、今、日本人の睡眠は減り続けているという調査結果があります。

ちょっと古いデータではありますが、国立保健医療科学院が刊行している保健医療科学の第64巻第1号(2015年2月)を参照すると、経済協力開発機構加盟26カ国では、

  • 男性:3位
  • 女性:1位

という睡眠時間の短さです。

労働者に限ると、5時間や6時間未満はザラであることは、よく耳にしているのではないでしょうか。

ましてや令和時代は、もっと少なくなっている可能性もあります。

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睡眠不足と作業能力

いわずもがな、徹夜作業は効率が悪いということは、よく知られていますが、痛い男性となると、

「オレ、あまり寝てねーわ!」
「昨日、徹夜してさぁ~」
「マジ2時間ぐらいしか寝てないし」

という「寝てない自慢」を聞いたことはないでしょうか。

そういったセリフを吐く意図が全くわからないのですが、

オーストラリアで行われた実験によれば,とるべき睡眠を省いて覚醒し続けることは飲酒時と同じように作業能力が低下することが示されている

と前出のジャーナルでは書かれています。

さらには、

睡眠時間が充分でないために,疲労が蓄積し,作業能力は日々悪化した

と米国の実験では検証されています。

つまり睡眠不足は作業能力の悪化を溜め込んでいくに過ぎないと解釈できるわけです。

残業は睡眠を妨げる

新卒で入社した会社でも組合員が率先して、残業をせずに帰りましょうという運動を行っていましたが、とてもウザかったです。

旗を振るだけで具体的な施策は全く行われなかったことが、ウザく感じた原因とになります。

毎週金曜日は定時退社日と銘打っておきながら、ただ担当者が巡回して「早く帰れ」と言うだけのお仕事。

この程度では改善はされません。

働く人々の睡眠時間は業務量とのバランスは不可欠ですが、現実的には、ほとんどの人が定時間内で上がれる保証はないに等しいのではないでしょうか。

早く帰ると気が引けるような雰囲気の職場は、もはや改善の見込みは無いでしょう。

上司の顔色を見ながら退社しなければならない部署もダメ。

ましてや上司が帰らなければ部下も帰らないという、わけのわからない職場は勤務する価値はあるのでしょうか。

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時間外労働と冠動脈疾患

最後に、ちょっとゾッとする話を。

過剰に長い労働時間は第一の標的である.最も悲劇的な結末と言える過労死等(業務における過重な身体的若しくは精神的な負荷による疾患を原因とする死亡[自殺による死亡を含む.]又は当該負荷による重篤な疾患)は長時間労働と密接に関連する

このようにジャーナルでは明確に書かれています。

それと同時に、精神障害に関する労災保険給付の請求件数についても、相当な増え方になっているはずです。

厚生労働省の令和3年度のデータでは、

  • 請求件数は2,346件で前年度比295件の増加
  • 支給決定件数は629件で前年度比21件の増加

となっていますが、何となく氷山の一角という感が否めません。

健康経営ってバズワードじゃないよね?

まとめ

「飲酒による仕事は許さないのに睡眠不足による作業性の低下は全く意に介さない企業の末路」ということで、睡眠不足と労働性について書きました。

わかりきっていることですが、実行が難しいのが、残業を無くして睡眠時間を十分に取るということ。

責任の所在も自分にあるのか企業側にあるのか、線引きが難しい部分が多いからこそ、最悪な状況にならないと改善に動き出さないという面もあります。

睡眠の重要性を知りながら短時間睡眠って、そりゃ疲れは抜けないですよ。

参照

睡眠と健康―ライフステージとライフスタイル― 保健医療科学.2015 | 国立保健医療科学院

令和3年度「過労死等の労災補償状況」|厚生労働省

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