社会保険と厚生年金の金額はどうやって決まる?各保険料の算出法について
社会保険と厚生年金の金額はどうやって決まるのでしょうか。社会保険そのものと各保険料の算出方法についてご紹介します。マネーリテラシーを上げて、社会保険料の払い過ぎに注意しましょう。
もくじ
社会保険とは
会社員として働く人には、大抵社会保険料として毎月惹かれるものがあります。
その社会保険とは次のものです。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
これらの保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛け、それを2で割った額になります。
保険料=標準報酬月額×保険料率÷2
社会保険料は事業主が半分折半しているので、保険料率を2で割ります。
会社が半分負担してくれていること、忘れずに感謝したいですね。
標準報酬月額とは?
保険料を算出するうえで必要となる標準報酬月額は、どこから導くのでしょうか。
標準報酬月額は、毎年4月から6月の3ヶ月の間の賃金をベースに算出されます。
改定は年に一度きりなので、上記の3か月間で算出した標準報酬月額が、同年の9月から翌年8月まで社会保険料の計算に適用されます。
給与のうち、標準報酬月額に含まれる項目は以下の項目です。
- 基本給
- 賞与
- 役付手当
- 勤務地手当
- 家族手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 残業手当
- 通勤定期券
など
ちなみに、次のものは標準報酬月額の計算に含まれません。
- 出張旅費
- 解雇予告手当
- 退職手当
- 傷病手当金
など
実際の標準報酬月額は、厳密な額ではなく、1万円の範囲内で設けられた等級によって決まっています。
厚生年金とは?
厚生年金は、会社員(公務員)の多くが所属する企業等を通じて加入する年金です。
厚生年金の仕組みがない企業で就労する場合には、国民年金に加入する必要があります。
厚生年金の保険料は給与額に応じて決まり、会社と従業員とで折半して負担します。
年金の目的は停年退職後の生活費として、定収入がなくなった際の資金として毎月受給できるためのものです。
年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)需給の条件は、トータルで10年以上の間年金を支払う必要があります。
厚生年金の支払額の算出法
厚生年金の保険料は以下の計算式から算出できます。
厚生年金保険料=標準報酬月額×保険料率(18.3%)÷2
ここで勘のいい人は気づかれたかもしれませんが、4月から6月に残業をたくさんして通常の月よりもこの3か月間の給料が平均より多かったとすると、年間を通して余計に厚生年金を支払うことになって損するのではないかと考えるかもしれません。
しかし長い目でみますと、標準報酬月額と支払った厚生年金によって、受給時の額も増えますので、一概に損ともいえないのです。
とは言え、年金受給前に死亡してしまった場合には、やはり多く支払っただけで結局損をしたことになってしまいます。
この場合、支払い額に関わらず年金をもらう前に寿命が尽きる場合は、いかなる場合も損をしてしまうのが年金の仕組みなわけですが。
その他の社会保険料の算出方法
健康保険は加入する保険組合により、保険料率が異なります。
詳しくは加入されている保険組合のホームページかお問い合わせ先よりご確認ください。
雇用保険の算出方法は、その他の保険料を算出する際の基準となる標準報酬月額とは異なり、総報酬額をベースに計算されます。
雇用保険料は一般の事業と農林水産・清酒製造製造の事業、建設の事業の3事業で、労働者負担、事業者負担の保険料率が異なります。
労働者負担の保険料率でいえば、一般の事業が0.3%、その他の2事業が0.4%の保険料率となります。
例えば、一般の事業で総報酬額が30万円だとすると、労働者負担の雇用保険料は900円程度となります。
まとめ
サラリーマンの場合、あまり社会保険料がどのように算出されているか、あまり意識することはないと思います。
それ故に知らぬ間に保険料率が上がっていても、あまり気づかない場合がほとんどでしょう。
ところが、この保険料率は気にしていると、意外とちょいちょい上がっていたりすることに気づきます。
給料が上がらないと嘆くばかりでなく、こうした社会保険料の成り立ちや、税金の仕組みなどにも興味を持っていくと、各種の優遇措置で支払いすぎているお金を取り返すことができる場合があります。
特に国や自治体の場合、自分から新生しない限り、勝手に還元してくれることはまずありません(個人の状況をそこまで把握できないため)。
なので広報などで、各種手当や確定申告にチャレンジするなど、少しずつでも自分を取り巻くお金の仕組みに詳しくなる(マネーリテラシーを上げる)ことをお勧めします。
これらの知識の差が、長年の人生では大きな収入の差となることは間違いありません。