身内による生活保護の受給申請に親族として迷惑や恥だと考えている人へ
生活保護の受給が必要な状況なのに、当の本人の心情としては、
- 世間体が・・・
- 周りの目が・・・
- 親族に迷惑が・・・
- メンツが潰れる・・・
- プライドが許さない・・・
といった感情が支配するものと想像に難くありません。
また当の本人以外の親族においても、
- 一族の恥だ!
- 生活保護なんて甘え!
- 今後一切関わりたくない!
- 援助なんて無理!
という否定的な意見が出てくることが多いはずです。
筆者は親族の申請による照会を受けた経験があることから、生活保護についてシェアしたいと思います。
もくじ
生活保護は申請してもらう方が得策
生活保護の受給を申請する側と照会を受ける側、どちらの気持ちも理解できます。
筆者は照会を受けた側、つまり申請者への何らかの援助ができるかどうかを、公的機関から打診された側の経験しかありませんが、感情的なものは何もありませんでした。
なぜならば「金銭的援助はできない」と公的機関に宣言できるからです。
プライドがとか、世間体がとか言っている人は、照会を受けることに対しては、これ以上ない得策だということに気付いていません。
なぜ得策なのか、わかりますでしょうか?
申請してもらうことでトラブル回避
さて、生活保護は申請してもらう方が得策だと言いました。
前述した公的機関とは、役所の生活保護担当部署のことですが、その役所が間に入って双方の調整を行ってくれるわけです。
こんなに確実なことはありません。
例えば、本人から直接、金銭的な援助の申し入れ、または金の無心、借金の申し込みなどを受けたとしましょう。
相談を受けた方は、あまり気分が良いものではありません。
情に流されて援助したとしても、借金や金の無心は複数回に渡ることが定番であり、援助する側も懐事情が厳しくなれば落ち着いて生活もできません。
拒否することで揉め事に発展する可能性もゼロではなく、後々、面倒くさい事になり、最悪、事件に発展するケースもあるわけです。
役所が間に入ることで未然にトラブルも避けられることに気付かず、
- 一族の恥だ!
- 生活保護なんて甘え!
- 今後一切関わりたくない!
- 援助なんて無理!
と憤ったところで問題は解決しないことを知りましょう。
ゆえに生活保護は申請してもらう方が得策なのです。
生活保護の照会の実態
照会は、たったの一度きり!
めちゃくちゃ楽です。
金銭的な援助以外にも精神的なサポートとして、定期的な電話連絡などが可能かどうか、書面によって打診されるわけですが、全てを拒否しても良いのです。
その拒否に対して、
- なんて冷たい親族だ
- 電話ぐらいしてやったらどうか
なんて、役所から追及されたり、援助をさせようとする行為は一切ありません。
本人と会わずに、たった1度だけの書類の取り交わしのみで、照会は済むわけです。
扶養義務はあっても無理なものは無理
実は生活保護申請者に対して、扶養義務があるのはご存知でしょうか。
関連条文としては、生活保護法第4条と民法第877条があります。
生活保護法第4条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
2 民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。民法第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
しかし義務があったとしても筆者は一切の扶養をしていません。
法律に基づいて役所が援助は不可能だと判断したからです。
まとめ
「身内による生活保護の受給申請に親族として迷惑や恥だと考えている人へ」というテーマで、実際のケースをシェアしました。
はっきり言えば、生活保護は申請してもらう方が得策です。
理由も述べました。
実情を少しでも知ってもらえると生活保護の制度の見方が変わるのではないでしょうか。
当人だけでなく、本来なら扶養義務を負う親族に対しても、ある意味ではセーフティネットの存在でもあるわけです。
税金のムダ使いだと言う人もいますが、日本国が法の下に制度化している以上は、必要な人に使ってもらうことを願うしかありません。
参考