般若心経の全文・書き下し文・現代語訳の紹介 般若心経を唱える宗派・お葬式や法要での役割について

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仏教には多くの宗派が存在し、宗派によって唱えるお経もさまざまです。そのなかで般若心経は、宗派を問わず唱えることが多いお経です。そんな般若心経の全文や書き下し文、現代語訳の例をご紹介していきます。また、般若心経を唱える宗派やお葬式・法要での般若心経の役割についてもお伝えします。

般若心経とは

般若心経とは、正式には「般若波羅密多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)」という名称の経典のことで、お葬式や法要で読まれるお経のひとつです。

「西遊記」の三蔵法師として有名な高僧「玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)」が、インドから原典を持ち帰り漢語訳しました。

お経とは、お釈迦さまが弟子たちに説いた教えを伝えるためのものですが、般若心経は大乗仏教の教えの中心ともいわれる「空(くう)」の思想が伝えられているお経です。

般若心経には、「人々が自ら考えることによって、この世の苦しみから救われて悟りの境地へと導かれる」そんな大切な教えが詰まっています。

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般若心経を唱える宗派と般若心経の役割

仏教は歴史や考え方の違いによっていくつかの宗派に分かれています。

般若心経は仏教の普遍的な教えを伝えるお経で、宗派を問わず唱えることが多いです。

真言宗・天台宗・曹洞宗・浄土宗などでは般若心経を唱えます。

「他力本願」を教えとする浄土真宗や、法華経によって悟りが開けるとする日蓮宗では、般若心経は唱えません。

般若心経はお葬式や法要の場で唱えられますが、お葬式での般若心経の役割は、僧侶がお釈迦さまに故人へのご加護を祈るもので、故人の安らかな旅立ちを願って唱えます。

初七日や四十九日といった法要での般若心経の役割は、お経を唱えることで得られる自分の「徳」を故人へ回し向ける「回向」としておこなわれます。

なので、初七日や四十九日では故人との縁に感謝する気持ちを込めて唱えましょう。

般若心経 全文

こちらが般若心経の全文です。

仏説摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩行深般若波羅蜜多
時照見五蘊皆空度一切苦厄
舎利子色不異空空不異色色即是
空空即是色受想行識亦復如是
舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄
不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳
鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至
無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死亦
無老死尽無苦集滅道無智亦無得以
無所得故菩提薩埵依般若波羅蜜多
故心無罣礙無罣礙故無有恐怖遠離一切顛倒
夢想究竟涅槃三世諸仏依般若波羅蜜多
故得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜多
是大神呪是大明呪是無上呪是無等等呪
能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多
呪即説呪曰羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦
菩提薩婆訶般若心経

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般若心経 書き下し文

こちらは般若心経の書き下し文になります。

仏説摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩、深般若波羅蜜多を行じし時、五蘊は皆空なりと照見して、一切の苦厄を度したまえり。
舎利子よ、色は空に異ならず、空は色に異ならず、色は即ち是れ空、空は即ち是れ色なり。受・想・行・識も亦復是の如し。
舎利子よ、是の諸法は空なる相のものにして、生ぜず、滅せず、垢つかず、浄からず、増さず、減ず。
是の故に、空の中には色も無なく、受も想も行も識も無く、眼、耳、鼻、舌、身、意もなく、色、声、香、味、触、法も無し。
眼界もなく、乃至、意識界も無し。
無明も無く、亦無明の尽くることも無し。
乃至、老も死も無く、亦老死の尽くることも無し。
苦も集も滅も道も無く、智も無く、亦得も無し、得る所無きを以ての故に。
菩提薩埵は、般若波羅蜜多に依るが故に、心に罣礙無し。罣礙無きが故に恐怖有ること無く、一切の顛倒せる夢想を遠離して涅槃を究竟す。
三世の諸仏も般若波羅蜜多に依が故に、阿耨多羅三藐三菩提を得たまえり。
故に知るべし、般若波羅蜜多は是れ大神咒なり。
是れ大明咒なり。是れ無上咒なり。是れ無等等咒なり。
能く一切の苦を除き、真実にして虚しかず。
故に般若波羅蜜多の咒を説く。
即ち咒に説いて曰く、羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提娑婆訶
般若心経

般若心経の現代語訳

般若心経を現代語訳にすると、次のような内容となります。

「仏となったお釈迦様が説いてくださった、非常に素晴らしい智慧の完成のための教え」
観自在菩薩が、智慧を完成させる修行をしていた際に、私たちの心と体は全部「空」だということがはっきりとわかり、この世のありとあらゆる苦しみから解放された。
舎利子よ、この世のあらゆるモノや現象には実体がなく、私たちの心もまた空である。
舎利子よ、この世のあらゆることは空なんだから、生まれることも減ることもない、汚れることも綺麗になることもない、増えることも減ることもない。
私たちの心も体もなく、眼・耳・鼻・舌・体・心もない。
またそれらで感じる、色・音・香り・味・触感・心で感じるものもない。
眼に見えるこの世界も、心の中の世界もない。
人生の苦しみの原因もなく、人生の苦しみもない。
「苦諦・集諦・滅諦・道諦」という、お釈迦様が説いたこの世の4つの真理もない。
お釈迦様が説いた方法自体がないのだから、それを知ることも得ることもない。
菩薩は智慧を完成させているので、心を迷わすことがない。
恐れることは何一つなく、悪い妄想もしないようになる。
心を迷わす悪い妄想をしなくなるから、苦しみから解放された安らかな境地にたどり着く。
様々な仏様は智慧を完成させているので、完全なる悟りを得て、苦しみから解放されている。
智慧の完成とは、計り知れない力を持った、他に比べるものがないほど最上の真言で、全ての私たちの苦しみを取り除いてくれる、偽りのない真実である。
智慧の完成の真言はこうです。
羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提娑婆訶
「智慧の完成についての心髄の経」

まとめ

般若心経は宗派を問わず唱えることが多く、最も有名なお経ですので、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

お経とはお釈迦さまが弟子たちに説いた教えを伝えるためのものですが、般若心経とは大乗仏教の教えの中心ともいえる「空」について説いたもので、「人々をこの世の苦しみから解き放つ」という、仏教の大切な教えが詰まっています。

現代語訳を読んでみると、なんだか分かるような分からないような。まるで禅問答でもあるようにも思えますね。

なるほどとは思っても、なかなかこの境地に達することは難しそうです。

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