検察官と警察官の違いとは?役割りや取り調べにおける目的の違い・所属や上下関係について
ニュースやドラマなどで「検察官」が登場することがありますよね。検察官にはどのような役割があり、「警察官」とどのような違いがあるのでしょうか。検察官と警察官の役割りの違いや、取り調べでの検察官と警察官の目的の違いなどについて解説します。
検察官と警察官の違い
検察官と警察官は、ともに刑事事件に関与し、事件の解決を目指すことを職務としている点で共通しています。
しかし両者の違いを大まかに言うと、「警察官」は第一次的な犯罪捜査を行い、「検察官」は第二次的な捜査と刑事裁判を行うということになります。
また、検察官には警察官に対する一定の指示権及び指揮権が与えられています。
実は所属する組織も警察官と検察官とでは異なります。
検察官は法務省に属する検察庁の職員(国家公務員)ですが、警察官は、警察庁の職員を除き、都道府県警察の職員(地方公務員)という違いがあります。
警察官の役割
犯罪が発生すると、警察官は犯人を見つけ出して逮捕したり、犯人を取り調べたり、証拠を収集したりする「捜査活動」を行います。
そして捜査を終えると、検察官に事件を送致します。
警察で被疑者を拘束できるのは逮捕後48時間と法律で決まっているため、48時間以内に被疑者の身柄と捜査記録を検察官に引き継がなければなりません。
つまり、検察官が被疑者を起訴することができるだけの証拠集めを行うことが、警察官の役割といえます。
検察官の役割
対して検察官の役割は、引き継いだ被疑者が本当に犯人なのかについて、自らあるいは警察を指揮してさらに捜査を行い、被疑者を起訴するかどうかの判断をします。
日本では、被疑者を起訴する権限をもつのは検察官だけなので、これが検察官の非常に重要な役割といえます。
また、法廷で被告人が有罪であることを証明し、刑罰が適切に執行されるように執行機関を指揮します。
取り調べについての検察官と警察官の違い
刑事事件が起きたとき、被疑者の取り調べは警察官と検察官の両方が行います。
しかし、ここにも次のような違いがあります。
警察による取り調べ
刑事事件では、警察官が被疑者を逮捕した場合、担当する警察署に連行され取り調べを受けます。
ここでの取り調べは、目撃証言や物証の収集などの捜査を踏まえたうえで、被疑者から事実を引き出し、自分たちの捜査の裏付けをすることが基本的な目的です。
警察官には、逮捕後48時間以内に検察に送致しなければならないという制限がありますので、この段階での取り調べでは犯行を認めるか否かといった、証拠に沿った事件の大筋の確認が行われます。
また、被疑者以外の事件関係者の取り調べは基本的には警察官が行いますが、事件によっては検察官も取り調べを行うことがあります。
検察官による取り調べ
検察官は、送致されてきた被疑者の取り調べを行います。
ここでは被疑者を起訴するかどうか、という観点から取り調べを行い、有罪判決にまでたどり着けるかを見極めることが目的となります。
そのため、警察で受けた取り調べと全く同じ質問であっても、その意味は大きく異なります。
検察官の取り調べ時間は、原則として送致後24時間ですが、判断ができない場合は10日間の延長が認められています。
つまり、検察では調べる必要がある場合、とことん調べることが可能なのです。
まとめ
検察官も警察官も事件の解決を目指すという点は共通しています。
しかし、それぞれ役割りは異なり、同じ取り調べでも目的が異なります。
また、検察には警察を指揮する権限があり、法務省と行政機関という組織の違いもありますが、検察・警察のどちらが偉いという上下関係はありません。
どちらも社会の安全を守るという、非常に重要な職責を担っています。
これらを理解しておくと、刑事物ドラマを見る時に、内容が深く洞察でき、より楽しめると思いますよ。