スクリューフレーションとは何?なぜいま日本の中流家庭が貧困化しているのか その原因と対策について
スクリューフレーションという言葉を聞いたことがありますか?これはある経済現象を表す言葉なのですが、いままさに日本で起きている現象を指す言葉でもあります。そしてこのスクリューフレーションこそが、日本の中流家庭までもが貧困化した理由でもあるのです。その原因と対策についてお伝えしていきます。
もくじ
スクリューフレーションとは
スクリューフレーションという言葉を聞いたことはありますか?
最近にわかに耳にするようになった言葉のように思いますが、実は10年くらい前からある言葉で、もとはアメリカで作られたある経済現象を表す造語です。
スクリューフレーション(Screwflation)の語源は、スクリュー(screw)とインフレーション(inflation)が合わさったものです。
スクリューは「(低中間所得層の)締め付け」を表し、インフレーションは「物価上昇」のことです。
スクリューフレーションが起こると、中流家庭までもが貧困化していきます。
その理由とは…。
日本の中流家庭が貧困化した理由
スクリューフレーションは低中間所得層の所得が伸び悩む中、生活必需品の物価が上昇し、家計の支出が膨らむ状況のことを意味します。
生活必需品は高所得層よりも低中間所得層の方が比率は高いものです。
そのため、給料が増えないにも関わらず、生活必需品の価格が上がってしまうと、生活するための支出の割合もどんどんと増えてしまい、生きていくだけで精一杯となってしまいます。
この現象がいま日本の低中間所得層を襲っており、かつては世界的には富裕層よりであった日本の中流家庭までもが、貧困化がしつつあるのです。
どうしてスクリューフレーションが起きるのか
いまこのスクリューフレーションは、日本だけでなく、アメリカやその他の国でも起きています。
特にエネルギーや食料など、生活と密接なものを輸入に頼っている日本のような国ほど、スクリューフレーションが起こりやすくなります。
その理由は、世界経済がグローバル化したことを発端に、テクノロジーの進歩や非正規雇用者の増大などが影響していると考えられています。
生活必需品を海外からの輸入に頼っている場合、各国間との為替価格の差の影響をモロに受けやすくなり、また国内で独自の価格調整もしづらくなります。
テクノロジーが進化すると、一部の高いスキルを持った人以外の雇用機会も減少するため、非正規雇用者が増加して低所得者層の割合も増えます。
更には人口減少と共に、仕事の量自体も減っていくことでしょう。
こうしたことが重なれば重なるほど、その国でスクリューフレーションが起きやすくなるのです。
実はここ10年で生活必需品が大幅値上げ傾向に
かつて日本の中流は、世界的に見るとわりと富裕な状況に位置していました。
しかしいつの頃からか、あまりそういったことは言われなくなりました。
それどころか、国内では年収もそこそこありそうな家庭でさえも、だんだんと「生活が苦しい」などということを耳にするようになりました。
その理由は、この10年の間に、実は日本の生活必需品の価格が大幅に値上げ傾向にあったからと言えるでしょう。
主に値上がった生活必需品とは、食料品や水道光熱費、家賃、服飾品、交通費、保健医療費です。
改めて自分の生活を振り返ってみると、いつしか食料や衣類など、より安いものを探して、安いショップや安いブランドへと購入先をシフトしていませんでしたか。
また、外食や外出・旅行なども、回数が減ってきていないでしょうか。
それはおそらく、給料が上がらないからだけでなく、それらの価格が以前ほど安いと感じなくなっていたからかと思います。
というのも、わたしたちの気づかぬ間に、この10年間で少しずつ生活必需品の価格が上昇していたからです。
まとめ
日本でもスクリューフレーションが起きていることを知ったいま、次にできることは、どう対処していくかですね。
日本の自給率を上げる?賃金を上げる?
これらは、なかなか個人では難しいかもしれません。むしろ政府が方向性を考え、行うべきことでしょう。
個人でできることは、無駄な消費を抑え、所得を増やすことです。
今年の春闘は「賃上げ交渉」が主となり、大手企業を中心に給与アップの見込みが期待されそうです。
しかし、日本の多くは中小企業ですから、恩恵に与れる人もそう多くはないのかもしれません。
もちろん、大手企業の社員の給与が増え、消費が増えれば、中小企業も徐々に潤ってくることもないとは言えませんが。
もしくは、大手企業は下請けの企業に対しても、社員に対してと同様に値上げしていく必要があると思います。
ただこればかりはどうなるのか、未来のことはわかりませんので、私たち個人でできることは、家庭が破綻してしまわないように、いまの生活をスクリューフレーションの視点から、もう一度見直し、対策を練るということでしょう。