村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』は、あの作品とつながっている!【ネタバレあり】

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村上春樹のおよそ6年ぶりとなる新刊『街とその不確かな壁』が、2023年4月13日に発売になりました。早速購入して読んでいますが、今回はなんと!あの作品世界とつながっているではないですか!村上作品としてはかなり初期の代表作でもある問題作。その続編というか、後日譚やスピンオフ的内容に、ドキドキしながら読み進めています。そんな『街とその不確かな壁』をより楽しむためのコツについて、お伝えします。本記事にはネタバレを含みますので、ご注意ください!

村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』

村上春樹の6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』が、4月13日に発売になりました。早速購入して読んでいます(もうすぐ読み終わる)。

この6年ぶりとなる『街とその不確かな壁』は、前作の『騎士団長殺し』以来の長編作品となります。

私はこれまで村上作品に関して、長編はもちろん、短編集も全て、ほぼ発売と同時に購入して読んできました。なので、今回の作品についても色々と気づいたところがありますので、少しご紹介したいと思います。

少しネタバレも含まれますので、あまり内容を知りたくないと言う人は、ここから先はあまり読まないでくださいね。

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『街とその不確かな壁』はあの小説とつながっている

往年の村上ファンなら、新作のタイトル『街とその不確かな壁』を見た瞬間に、すぐにピンときたのではないかと思います。

私もすぐにピンときました。もしや今回の作品は、あの作品と関係あるのでは?読む前からそう感じましたね。

しかし、例のあの作品は40年近く前の作品です。さすがに今更あの作品を引っ張り出してくることは…。

なんて思いながらも、私個人では村上作品心のベスト3に入るあの作品だけに、期待半分、いやいやありえないでしょと期待を打ち消す気持ち半分で、発売日を待ちました。

そして、発売日の午前中、近所の本屋さんが開店するのを待ち早速購入してきました。そして心を落ち着かせ、ページをめくると…。

「きたーーーーっ!」

そうです、想像通りやはりあの作品と関係深いい物でした。その作品とはそう、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』です。

『街とその不確かな壁』を読む前に

おそらく、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んだことがない人でも、今回の新作『街とその不確かな壁』は楽しめることでしょう。

しかし、やはり『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んだ方が、『街とその不確かな壁』の作品世界はより深く楽しめると思います。

なので、早く新作を読みたいという気持ちもわかりますが、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んだことのない方は、『街とその不確かな壁』を読む前に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』から読んでほしいと思います。

また、過去に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んだことのある人でも、それが10年前に1度きりという人であれば、もう一度読んで、あの作品を頭に入れたうえで今回の新作を読んだほうが、絶対に面白いと思います。

ちなみに私は、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は単行本と文庫本とを所有しており、これまでに少なくとも5回は読み返しています。

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『街とその不確かな壁』は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のスピンオフ作品?

更に強力なネタバレをこの先に話しますので、気になる方は要注意です。

さて、今回の『街とその不確かな壁』ですが、この話は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のラストシーンからの続きの物語とも言える内容となっています。

また、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のなかの「世界の終り」の方の主人公が、あの世界に行く前の話なんかも描かれています。

ということで、『街とその不確かな壁』は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のスピンオフ作品とも取れるといえるでしょう。

しかし、実は色んな部分で『街とその不確かな壁』と『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』とでは異なる箇所も出てきます。

詳しくは書きませんが、この相違はなぜなのでしょうか。ごくごく近い世界の話を書いてはいるが、2つはあくまでも別の作品ということなのでしょうか。

なにしろ40年近くの時間が隔てられていますからね。それにかつて、なにかのインタビューで、村上春樹氏は自身の作品をあまり読み返すことはないと言っていました。

それ故に、今回の新作を書き上げるにあたっても、ひょっとすると『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読み返さず、記憶の断片を頼りに、似てはいるものの別世界の作品として『街とその不確かな壁』を描いているのかもしれません。

「著者直筆サイン入り愛蔵版」が発売

ところで、この『街とその不確かな壁』ですが、実は「著者直筆サイン入り愛蔵版」が秋に発売されるそうです。

直筆サイン入り!ということで、ファンにとってはとても気になるところかと思います。

この直筆サイン入り愛蔵版は通常版と異なり、意匠を凝らした特別仕様の上製本担っています。そして販売数はシリアルナンバー入りで限定300部だそうです。

発売の2か月前に先着順で予約開始の予定だそうですが、価格はなんと10万円(税・送料別)!

直筆サインはファンなら喉から手が出るほど欲しい気もしますが、10万円は流石に…。なんだかこれまでの村上さんらしくない企画のような気がするのは、私だけでしょうか。

まとめ

『1Q84』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』『騎士団長殺し』など、近年の作品は、互いに関連はなく、また過去の村上作品ともだいぶかけ離れてきた感を抱いていました。

しかしここに来て、初期の代表作とも言える『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』とシンクロした作品をリリースされたことに、久しぶりに胸が踊りました。

これは往年の村上作品ファンにとっては、同じ気持ちを抱いた人も少なくないと思います。実際私の周りの村上ファンの間でも、けっこう今回の期待値は相当なものでした。

『騎士団長殺し』から6年ぶりの長編。まだまだ元気で近年はラジオまではじめている村上春樹氏ですが、そうは言っても御年74歳。

あとどれだけ氏の長編作品が読めるのか。『風の歌を聴け』から読み続けている一村上ファンとしては、この先の作品も非常に気になります。

できることなら、もっともっと読み続けたいのです。

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