年金世帯の介護費用は家計に深刻なダメージ!子や親族の援助が期待できないときは?
70代も半ばで年金生活にも関わらず、障害を負ってしまった場合、ほとんどのケースでは障害年金の受給が見込めません。
なぜならば、障害年金は65歳以下を前提とした現役世代を対象とする、高齢者に厳しい制度だからです。
70歳まで雇用が延長される場合は、かろうじて障害厚生年金の受給の可能性も残されていますが、自営業者の場合は望みがなくなります。
つまり老齢基礎年金1本が生活の糧となるわけです。
早い話、夫婦ともに70代の年金生活者で、どちらかが障害者となれば、介護費用で家計が破綻する可能性が高くなります。
もくじ
年金の過信は禁物
自営業一筋の夫と、特段の雇用歴もなく70代を迎えた主婦の世帯は、決して少なくありません。
身体が動くうちは何とかなるものですが、病気というのは予測できないからこそ、民間の保険などで資金確保することになります。
それが出来ていない場合、仮に夫が障害者となってしまうと、介護費用などで家計がひっ迫する世帯もあるわけです。
自営業者と主婦の年金は、老齢基礎年金のみ。
老齢基礎年金の満額は年間でも80万を下回るレベルなので、夫婦合算しても年収は150万円台なわけです。
あとは預貯金や保険などで凌ぐしかありませんが、果たして、どれほどの人が若いうちから資産を確保することをやっていたか・・・。
介護費用の相場
障害者を含め、介護に要する費用の相場はどれぐらいなのでしょうか。
公益財団法人生命保険文化センターの生命保険に関する全国実態調査では、令和3年度において、
- 一時的な介護費用:74万円/年
- 月々の介護費用:8.3万円/月
という数字が出ています。
年金生活での介護における出費としては、非常に負担が重い印象です。
夫婦合算で年金収入150万円であれば、半分以上が介護費用で占めるわけですから、どう考えても預貯金を取り崩すしか方法がありません。
しかも平均寿命を考えると、介護期間は10年前後となるケースも多いわけですから、資金が底をつくのは時間の問題です。
介護費用は限度額がある
実は介護費用には、世帯ごとに負担限度額が設定されているため、前述した月額8.3万円の負担というのは、自己負担分も含まれています。
厚生労働省は、
月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く。)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給されます。
という高額介護サービス費制度を設けています。
例えば、市町村民税世帯非課税で公的年金等収入金額やその他の合計所得金額の合計が80万円以下ならば、負担の上限額は、
- 世帯:24,600円
- 個人:15,000円
が上限額になります。
ただし市区町村に申請する必要があり、何もしなければ高額介護サービス費を受けることはできません。
この制度を知っているのと知らないのとでは、負担度合も相当に変ってくるはずです。
誰に相談すべきか
介護費用の負担が大きくて生活がひっ迫してしまった場合は、誰に相談すべきなのでしょうか。
一般的には、高齢者の場合は親族や子に相談が向きがちですが、はっきり言って意味はありません。
近しい人が介護保険などに精通していれば話しは別ですが、大抵の場合は、お金の話も混じることなので進展しないことが多いものです。
お互いに生活があるわけですから、親だから、子だからという関係性だけを理由に金銭援助も成り立ちません。
ゆえに以下の機関での相談が合理的です。
- 役所
- 地域包括支援センター
- 医療機関
- 介護サービス事業者
- 社会福祉協議会
すでに介護サービスを受けている場合は、ケアマネージャーに相談することをおすすめします。
まとめ
「年金世帯の介護費用は家計に深刻なダメージ!子や親族の援助が期待できないときは?」というテーマで、介護費用についての情報をシェアしました。
年金だけでは生活がギリギリ、その上で介護サービスの負担が重なってしまうと、長生きリスクという言葉の重みが想像できるかと思います。
健康であっても病気を負ったとしても、収入が年金に依存しているようでは、安心はできないということです。
参照
生命保険に関する全国実態調査|公益財団法人 生命保険文化センター