住宅の月収に対する割合は3割が適切なんていったい誰が決めた?ふんわりとした伝説は信じるな!
前から不思議に思っていたのは、住宅関連費用は月収の3割、あるいは年収の3割を目途にすると良いです、なんてふんわりした根拠がまかり通っていることです。
FPの端くれとしては、どうにも納得できなくてですね・・・。
最も問題なのは根拠が乏しい、建設的ではないということです。
不動産は年収や地域性、面積など、さまざまな要素が複雑に絡み合っているわけで、そんなものを一律の割合で納得させるということはできないと考えています。
3割以内でもマイホームを売り渡さなければならない人もいるわけですから、3割を信じ込んではダメだということについて書いてみます。
もくじ
住宅に関する費用
まず住宅に関する費用について、単純に、家賃だとか住宅ローンの返済額だけではありません。
賃貸や持ち家、一戸建てにマンション(集合住宅)と住宅の形態はあります。
例えば賃貸の集合住宅ですと、
- 家賃
- 管理費(共益費)
- 駐車場代
- 火災保険
が一般的に計上の対象となりますが、これが所有権、つまり購入した物件だと、
- 住宅ローン返済
- 修繕積立金
- 管理費
- 駐車場代
- 固定資産税(および都市計画税)
- 火災保険
がランニングコストになります。
ちなみに火災保険は一括払いが主流ですので、毎月の費用という意識を持たれにくいですが、しっかりと認識してくださいね。
さらに所有権のある一戸建てだと、定期的な工事として避けて通れないのが外壁塗装をはじめとする、メンテナンス費用です。
5年から10年単位で数十万円を計上することになりますので、ある意味で住宅関連費用として考えておくとよいかもしれません。
3割は適性なのか?
住宅に関する費用については、あくまでもランニングコストだけですが、挙げてみました。
本来はイニシャルコスト、つまり購入や賃貸契約時に必要な初期費用ですね、これももろもろあるというこは忘れないようにしましょう。
で、本題に突入ですが、本当に月収の3割という想定、あるいは適切な費用の目安としては信憑性があるのかどうかを考えてみます。
月収と言っても正確には所得、手取りをベースに考えなければ意味がありませんので、ここからは月収=手取りとして読んでください。
まずは月収における3割の金額は以下のとおりです。
- 月収20万円:6万円
- 月収30万円:9万円
- 月収40万円:12万円
何となく違和感を感じませんか?
月収20万円は単身世帯にありがちなケースですが、住宅関連費用を除けば14万円しか猶予がありません。
ここから食費、光熱費、交通費、通信費、交際費など、1日約5,000円以内で賄うことになるわけです。
仮に食費が3万円、光熱費、通信費、交通費を1万円、交際費を2万円としましょう。
残りは6万円です。
その6万円は真に自由に使えるお金ですが、貯蓄あるいは民間の保険代、衣服の調達だの冠婚葬祭だの、自動車や単車の維持費などを細かい支出を考えると、もしかすると余裕はないかもしれません。
ほとんどの人は貯蓄を後回しにしますから、お金が溜まる保証もないわけです。
3割って、結構、キツイ数字なんですよ。
2割から2割5分で考える
もし3割という上限を、2割5分また2割まで落とし込むと、余裕が出てきます。
現実として月収20万円だと4万円から5万円になり、都心部では少し利便性が良くない立地など、妥協する部分はかなり出てきますが、これが地方になると1Rや1LDK、2Kという間取りもゴロゴロあります。
地域性に大きく左右されるのは、みういったところに出るわけですが、もし大都市で月収20万円の単身者が、そこそこ良い場所に住みたいとなると3割では済まないわけです。
すまないどころか実家からの通勤、もしくは少し利便性に何のある場所、または相当な築古物件という選択肢となります。
生活を切り詰めて少しでも良い場所に済むか、それとも住まいを少し妥協して不安なく生活したいか、それはもう価値観になってきますから、月収3割が適切説は成り立ちません。
まとめ
「住宅の月収に対する割合は3割が適切なんていったい誰が決めた?ふんわりとした伝説は信じるな!」というテーマで、住宅に関する費用の考え方について書きました。
お金に関するコラムなどで言われがちな、月収に対する住宅関連費用3割説は、すべての人に当てはまるわけではないことをの認識しましょう。
3割ぐらいで丁度よい人もいれば、問題無いに等しいレベルの人もいますし、厳しい人もいるわけです。
3割をハナから目安にするのではなく、生活における支出を全てはじき出して、最後に、どの程度を住宅の費用に当てられるかを見ると良いです。
住宅費用から固定するから生活にゆとりがなくなるわけで、考え方が逆です。